【事例あり】経営の可視化とは?見える化すべき指標・進め方・ツールの種類を徹底解説
経営の可視化とは何かをわかりやすく解説。見える化すべき指標を4領域で整理し、注目される背景・ツールの種類・進め方4ステップから、税理士法人の成果事例2件まで紹介します。

王浩南
Founder & CEO
「経営判断の材料が必要なのに、データを集めるだけで一日が終わってしまう」「自社が今どんな状態なのか、感覚でしか説明できない」などの悩みを抱える方は少なくありません。
この状態が続けば、問題に気づくのが遅れたり、打つべき施策が後手に回ったりする可能性があります。
その解決策として広がっているのが経営の可視化であり、売上や利益、現場のKPIといった判断材料を、誰が見ても同じように理解できる形へ整える取り組みです。
本記事では、経営の可視化の概要から、見える化すべき指標・注目される背景・ツールの種類・進め方の手順までを、実際の事例も含めて整理しましたので、経営の可視化の具体的な方法を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
経営の可視化とは
経営の可視化とは、企業の業績や戦略、現場の状況などの経営に関わる情報をデータで明らかにし、誰が見ても理解できる形で表示することです。
単に数字を並べるのではなく、グラフやチャートを使って状態がひと目で伝わるように整える点に特徴があります。
経営の可視化が重要であると言われている背景には、市場の動きが速くなり、勘や経験だけでは判断が追いつかない場面が増えてきたことがあげられます。
経営層が現場の実態をつかみきれないまま意思決定をしてしまうケースは少なくありませんが、経営の可視化は、こうした課題を解決し根拠を持って次の打ち手を選ぶために必要な判断材料をそろえることができる取り組みと言えるでしょう。
「可視化」と「見える化」の違い
「可視化」と「見える化」に厳密な使い分けのルールはないですが、実際に使われる場面には少し傾向があります。
それぞれの特徴を以下の表に整理しました。
項目 | 見える化 | 可視化 |
|---|---|---|
概要 | トヨタ生産方式(TPS)に由来 | データ分析・デジタル技術で使われる |
主な文脈 | 製造業・現場の業務改善 | BI・DX、経営分析 |
特徴 | 問題を誰もがひと目でわかる状態にする | 情報を視覚的に表現する |
「見える化」はトヨタ生産方式から生まれた言葉であり、製造ラインで異常が起きると表示灯で知らせ、誰もがすぐ気づける状態をつくるといった現場の改善活動に由来しています。
一方の「可視化」は、目に見えないデータをグラフやチャートで表現する、という技術や分析に関連する文脈で使われることが多いです。
BIツールやDXの広がりとともに、双方のワードとも経営分析の文脈で使われる機会が一気に増え、情報を見える状態にするだけでなく、改善につながる形で活用する視点も含まれています。
経営の可視化で得られる4つのメリット
経営の可視化に取り組むと、日々の判断から組織のあり方の検討まで、幅広い場面で効果が期待できます。
ここでは、実務で特に大きいと感じられやすい4つのメリットを取り上げます。
意思決定のスピードと精度が上がる
組織全体の方向性が統一される
問題・異常値の早期発見ができる
属人化・ブラックボックス化を防げる
意思決定のスピードと精度が上がる
経営の可視化のいちばん分かりやすいメリットは、判断が速く、根拠に基づいた意思決定ができることです。
必要な数字がそろわないまま決断をすると、どうしても勘や過去の経験に頼りがちになります。
経営状況がひと目でわかる状態を整えておけば、客観的な数値を元に判断でき、以下のような場面で役立ちます。
月末の締めを待たず、月の途中でも現状を確認して軌道修正できる
「どの数字を見ているか」の確認作業が消え、議論そのものに時間を割ける
会議で議論が発散した際に、数字に立ち返って建設的な議論をしやすい
変化の速い市場では、早く状況を把握し、必要な打ち手をすばやく選ぶことが重要です。
可視化によって判断材料が整理されていれば、迷いや確認に時間を取られず、次のアクションに移りやすくなります。
組織全体の方向性が統一される
同じ数字を全員が見られるようになると、部門や役職を越えて目線がそろい、組織が同じ方向を向きやすくなります。
部門ごとに別々の資料で別々の数字を見ていると、会議で前提となる内容がかみ合わず、実のある議論につながりにくくなるでしょう。
共通のデータを元にすれば、認識のズレが減り、以下のようなメリットがあります。
経営層・管理職・現場が同じ指標を同じタイミングで確認できる
経営方針に沿って各部門の役割や目標を整理しやすい
自分の仕事が全体にどう影響しているかが見え、納得感が高まる
数字を根拠として議論できるようになると、曖昧な内容が減りすれ違いも起きにくくなり、組織の一体感にもつながります。
問題・異常値の早期発見ができる
経営を可視化することで、売上やコストの異常な動きにいち早く気づき、早い段階で手を打てることにつながります。
月次報告を待ってから問題を知るのと、変化が出た時点で気づけるのとでは、打ち手のスピードと内容の質が全く異なります。
以下のようにグラフやチャートなどで普段と違う動きが目に入れば、見落としも減らせるでしょう。
予算から大きく外れた科目をその場で把握できる
急なコスト増や売上の落ち込みを、月をまたぐ前に検知できる
資金繰りの悪化につながる兆候を早めにつかめる
小さな違和感を感じる段階で原因を確認できるため、問題が大きくなる前に対策を練りやすくなります。
属人化・ブラックボックス化を防げる
経営の可視化は、特定の担当者しか分からない数字や判断を、誰でも追える状態に変えてくれます。
経営状況を一人の頭の中やExcelファイルだけで抱えていると、その人がいなくなった途端に実態が見えなくなってしまいます。
仕組みとして共通化しておけば、以下のように担当が替わっても同じ基準で状況を読み取れるでしょう。
ベテランの「肌感覚」を数字とグラフに置き換えて共有できる
引き継ぎの際も、見るべき画面と指標がそのまま残る
「なぜこの判断をしたのか」の根拠を後から確認できる
情報が一部の人にしか分からない状態では、組織全体で状況を正しく共有しにくいため、誰が見ても同じように理解できる状態を整えることが重要です。
経営の可視化が注目されている背景
経営の可視化が重視されるようになった背景には、技術の進歩だけでなく、国の政策や投資家の影響などもあります。
ここからは、可視化への関心が高まっている理由を5つの切り口で整理します。
データドリブン経営が浸透し意思決定が高速化した
人的資本開示の義務化とESG投資が拡大した
健康経営の可視化が国の政策の柱になった
クラウド・SaaSの普及でデータ集約が現実的になった
サイバーセキュリティ領域でも経営リスクの可視化が広がった
データドリブン経営が浸透し意思決定が高速化した
データドリブン経営とは、売上や顧客行動、従業員データなどを元に、経営判断や施策の改善を行う考え方です。
市場の変化が速くなるにつれ、勘や経験だけに頼る判断では追いつきにくくなってきたため、データを根拠に判断するデータドリブン経営が広がり、経営の可視化への期待が高まっています。
ただし、取り組みが成果に結びついているかどうかには国ごとの差もあります。
IPA「DX動向2025」によると、米国とドイツは8割以上の企業が「成果が出ている」と回答した一方、日本は6割弱にとどまりました。

引用・参照:「DX動向2025」IPA
データを集めるだけでなく、判断に活かせる形まで可視化できているかが成果を上げるためには重要であり、現場で継続的に活用される仕組みを整えることが、データドリブン経営には欠かせません。
人的資本開示の義務化とESG投資が拡大した
企業が人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、その状況を外部へ説明する流れが広がっています。
内閣官房・金融庁・経済産業省がまとめた「人的資本可視化指針」では、自社の経営戦略がどのような人的資本に支えられているかを明確にし、投資家などに分かりやすく示すことの重要性が整理されています。
開示内容も具体的であり、人的資本に関するリスクと機会を「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの要素にそって示す形です。

引用・参照:「人的資本可視化指針(改訂版)」内閣官房、金融庁、経済産業省
また、ESG投資の広がりとあわせて、人や組織の状態を数字でどのように可視化するかどうかが、企業価値の評価にも関わる時代になってきました。
投資家と対話する場面でも、人的資本のデータをいかに分かりやすく示せるかが今後も重要になってくるでしょう。
健康経営の可視化が国の政策の柱になった
従業員の健康を経営課題として扱う「健康経営」も、可視化との親和性が高いです。
経済産業省は2025年度の重点方針として「健康経営の可視化と質向上」を3本柱のひとつに掲げています。
健康経営の認定制度も広がっており、「健康経営優良法人2026」では、大規模法人3,765法人(昨年度3,400法人)・中小規模法人23,085法人(昨年度19,796法人)が認定され、前年度から大きく伸び、健康への投資を「見える形」にして社内外へ示す動きが、定着しつつあると言えるでしょう。
以下の図のように認定制度は大規模法人・中小規模法人それぞれで段階的に設計されており、企業規模に応じて取り組みを可視化・評価する仕組みが整えられています。

引用・参照:「健康経営」経済産業省
また、従業員の健康状態や施策の実施状況を数値で把握することで、課題を早期に発見し改善策の優先順位をつけることへもつながります。
採用や取引先からの評価にも影響があるため、健康経営の可視化は人材確保の面でも欠かせない重要なテーマになっています。
クラウド・SaaSの普及でデータ集約が現実的になった
これまで経営データは、システム部門や専門家でなければ扱いにくいものでしたが、クラウド会計が広がるにつれて、日々の取引が蓄積され、誰でも参照できるようになってきました。
freeeの有料課金ユーザー企業数は、2026年3月末時点で71万社を超え、多くの企業に導入されています。


引用・参照:「サービスサイト」freee
専門知識が多くなくてもデータを集めて見られる環境が整い、可視化のハードルは大きく下がったと言えるでしょう。
経営の可視化は一部の大企業だけの取り組みではなくなり、さらには各種SaaSがAPIで連携できるようになったことでツールごとに散らばっていたデータを一か所に集めることができるようになりました。
サイバーセキュリティ領域でも経営リスクの可視化が広がった
経済産業省はIPAとともに「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」を策定し、サイバーリスクを経営者が把握すべき経営リスクとして位置づけています。
このガイドラインは、ITの活用が欠かせない大企業・中小企業の経営者を対象に、認識すべき「3原則」と、担当幹部(CISO等)に指示すべき「重要10項目」を整理したものです。

引用・参照:「解説3 経営者が認識すべき3原則と指示すべき重要10項目」IPA
財務の数字だけでなく、普段は見えにくいリスクもできるだけ数値や状況で把握することが、経営者に求められるようになっています。
サイバー攻撃や情報漏えいなどの問題は一度起きると、企業の信頼や業績に大きく影響する可能性があるため、問題が起きてから対応するのではなく、日ごろからリスクを見える形にしておくことが大切です。
【領域別】経営で可視化すべき指標
財務、人、現場のオペレーションなど、見るべき指標は立場や目的によって変わります。
ここでは、可視化の対象を大きく4つの領域に分けて解説します。
財務・収益状況・予実(売上・利益・CF・損益分岐点など)
顧客・営業(受注率・パイプライン・顧客単価など)
人的資本・組織(エンゲージメント・離職率・採用KPIなど)
業務プロセス・オペレーション(進捗・工数・リードタイムなど)
財務・収益状況・予実(売上・利益・CF・損益分岐点など)
経営の可視化において、まず押さえるべきは、何よりも財務・収益状況・予実の数字です。
売上・利益・キャッシュフロー・損益分岐点といった財務指標は経営判断にとって大事な要素であり、主な指標を以下に整理しました。
指標 | 意味する内容 |
|---|---|
売上高・売上総利益 | 事業の規模と稼ぐ力 |
営業利益・経常利益 | 本業および全体の収益力 |
キャッシュフロー(CF) | 手元資金の増減と資金繰りの余裕 |
損益分岐点 | 赤字にならないために必要な売上水準 |
予実差異・着地見込み | 計画とのズレと、このまま進んだ場合の着地 |
利益が出ていても現金が足りなければ会社は継続的に経営できないため、売上や利益だけでなくキャッシュの動きまでセットで見る姿勢が欠かせません。
また、予算と実績のズレを早めにつかめれば、早めに対策を立て対処することができます。
顧客・営業(受注率・パイプライン・顧客単価など)
今後の売上を見通すためには、過去の実績情報である財務だけでなく、営業の数字を確認することが必要です。
受注率やパイプラインといった先行指標を可視化しておくと、将来の売上を早い段階で見通せるようになります。
主な指標を以下に整理しました。
指標 | 意味する内容 |
|---|---|
受注率(成約率) | 商談がどれだけ売上につながっているか |
パイプライン(商談量) | この先の売上の見込みと厚み |
顧客単価 | 1顧客あたりの売上規模 |
解約率・リピート率 | 顧客が定着しているか |
新規顧客数 | 成長の勢い |
たとえば、商談量が減ったり受注率が下がったりしている場合は、数か月後の売上減少につながる可能性があります。
その変化を早めに把握できれば、営業活動の見直しや顧客への働きかけなど、次の打ち手を考えやすくなります。
人的資本・組織(エンゲージメント・離職率・採用KPIなど)
事業を継続的に成長させていくうえでは、人と組織が欠かせません。
エンゲージメントや離職率、採用の進捗といった人的資本の指標は、売上や利益に影響が出る前に、組織の変化や課題を把握する手がかりになります。
以下に可視化すべき指標を整理しました。
指標 | 意味する内容 |
|---|---|
エンゲージメント | 従業員の意欲・組織への愛着 |
離職率 | 人材の定着と、その裏にある課題 |
採用KPI(応募・内定・入社) | 採用活動の進み具合 |
人件費・労働生産性 | 投じたコストに対する成果 |
残業時間・有給取得率 | 働き方の健全さ |
たとえば、エンゲージメントが下がったり離職率が高まったりすると、生産性が下がったり、採用コストが増えたりする可能性があります。
早めに変化を把握できれば、働き方の見直しや人材定着の施策など、組織の課題に先回りして対応しやすくなるでしょう。
業務プロセス・オペレーション(進捗・工数・リードタイムなど)
最後は、日々の業務がどれだけスムーズに進んでいるかを確認するための指標です。
進捗・工数・リードタイムといった現場の数字を見える化すると、どの工程に時間がかかっているのか、どこにムダや負荷が集中しているのかが見えやすくなります。
以下の表に主な指標を記載しました。
指標 | 意味する内容 |
|---|---|
進捗率 | 計画に対する作業の進み具合 |
工数 | 業務ごとにかかっている手間 |
リードタイム | 着手から完了までの時間 |
稼働率 | リソースの使われ具合 |
不良率・ミス発生率 | 品質と業務の安定度 |
たとえば、工数やリードタイムが増えている場合、特定の工程に負荷が集中していたり、手戻りが発生していたりする可能性があります。
早めに変化を把握できれば、業務の進め方や人員配置を見直し、生産性や品質の改善につなげやすくなるでしょう。
経営の状況を正しく把握するには、既存システムにある営業・人事・業務管理ツールなどに蓄積された社内データをつなげて見ることが重要です。
最近ではMCP※などの仕組みによって、こうした異なるデータを連携しやすくなっており、ひとつの数字だけでは気づきにくい変化も把握しやすくなっています。
たとえば、離職率が高い部署で顧客満足度も下がっている場合、人手不足や引き継ぎの不足が、顧客対応に影響しているかもしれません。採用コストが増えているのに売上が伸びていない場合は、採用した人が慣れるまでに時間がかかり、配置がうまくいっていない可能性があります。
※MCP:「Model Context Protocol」の略で、複数のシステムやツールにあるデータをつなぎ、AIが必要な情報を扱いやすくするための仕組みです。
経営の可視化に使われるツールの種類
経営を可視化するツールはひとつではなく、可視化したい領域によって得意分野が分かれています。
前章で整理した指標と照らし合わせながら見ることで、自社がどの領域に対してどのツールを選ぶべきかが判断しやすくなります。
ツールの種類 | 主に扱う領域 | 得意なこと |
|---|---|---|
BIツール | 全領域(横断的) | 社内データを集めて自由に分析・可視化 |
生産管理ツール | 業務プロセス・オペレーション | 生産の進捗・在庫・工程の管理 |
CRM / SFA | 顧客マーケティング・営業 | 顧客情報と商談・営業活動の管理 |
タレントマネジメントツール | 人的資本・組織 | 従業員のスキル・評価・配置の管理 |
ERP・会計ツール | 財務(+基幹業務) | 会計・販売・在庫などの一元管理 |
経営管理・予実管理ツール | 財務・予実・着地予測 | 会計データを経営目線のダッシュボードへ |
BIツール
BIツールは、社内のあちこちに散らばったデータを集めて分析・可視化する、汎用性の高いツールです。「BI」はビジネスインテリジェンスの略で、特定の領域に限らず幅広い文脈で使われる言葉でもあります。
代表的な製品にはTableau、Microsoft Power BIなどがあり、複数のデータソースをつないでグラフやレポートを自在に組み立てられます。
表現の自由度が高い一方で、設定や運用にはある程度の専門知識が求められ、どんな指標をどう見せたいかが固まっていないまま導入すると、使いこなしづらい点には注意が必要です。
データ分析の担当者がいる企業や、領域をまたいで数字を横断的に見たい企業には向いていると言えるでしょう。
生産管理ツール
生産管理ツールは、製造現場の進捗・在庫・工程といったオペレーションを管理し、ムダや遅れを見える化するツールです。
どの工程がボトルネックになっているか、納期に間に合いそうかといった現場の状況を、リアルタイムでつかめる点が強みとしてあげられます。
また、製造部門だけでなく、営業や購買など関係する部門が同じ情報を確認しやすくなるため、連携ミスの防止にも役立ちます。
在庫の持ちすぎや欠品も数字で把握できるため、ムダなコストの削減にも直結し、製造業だけでなく、受注生産や多品種少量生産といった複雑な現場ほど、可視化による効果が大きくなりやすい領域です。
CRM / SFA
CRMとSFAは、顧客情報や営業活動を管理し、受注率やパイプラインといった営業の数字を可視化するツールです。CRMは顧客との関係づくり、SFAは営業プロセスの効率化が主な対象であり、いずれも営業の文脈で使われます。
代表的な製品にはSalesforceやHubSpotなどがあり、商談の進捗や顧客とのやり取りが蓄積されていきます。
誰がどの商談を抱え、どこで止まっているのかが見えるため、売上の先行きを早めに読みたい場面で活用できるでしょう。
属人化しがちな営業のノウハウをチーム全体で共有できるようになる点もメリットです。
タレントマネジメントツール
タレントマネジメントツールは、従業員のスキルや評価、配置、エンゲージメントといった情報を一元管理する、人的資本の可視化に欠かせないツールです。誰がどんな強みを持ち、どこで活躍できそうかを把握しやすくなります。
蓄積したデータを使えば、離職しそうな社員やエンゲージメントの低下を早めに察知し、配置転換や育成といった手を打ちやすくなるでしょう。人的資本開示への対応が求められる中、組織の状態を数字で示すツールとしても注目が集まっています。
勘や印象に頼りがちだった人事の意思決定を、客観的なデータで裏づけられる点が大きな価値と言えます。
ERP・会計ツール
ERPや会計ツールは、会計・販売・在庫などのデータを扱い、財務の数字を正確に記録・管理するツールです。たとえば、freee、マネーフォワードといったクラウド会計ソフトがあげられます。
大企業では販売・在庫・人事までを一体で扱うERPが選ばれる一方、中小企業ではまず弥生会計などのクラウド会計ソフトから始めるケースが一般的です。ただし記録や管理が主目的のため、経営目線での分析や将来予測までは手が届きにくい面もあります。
そのため、経営管理ツールと組み合わせて、貯めたデータを「使える形」にしていく企業が増えています。
経営管理・予実管理ツール
経営管理・予実管理ツールは、会計ソフトと自動連携して、財務・予実・着地予測を一枚のダッシュボードにまとめて見られるツールです。手元のデータを、そのまま意思決定に活かせる形へ変えてくれる存在と言えるでしょう。
予算と実績の差などをリアルタイムでわかりやすく追えるため、月末を待たずに着地の見通しを立て、早めに軌道修正できる点が強みです。Excelでの予実管理に限界を感じている企業ほど、導入の効果を実感しやすい領域と言えます。
その中でも、当社が開発・運営するmetricsは、freeeやマネーフォワードとAPIで自動連携し、財務状況から予実管理、将来の着地予測までを直感的なダッシュボードで確認できるクラウド経営分析ツールです。

会計データの可視化を起点に、月次報告から経営の意思決定までをまとめてサポートできます。
経営管理・予実管理ツールで経営を可視化したい方はぜひ以下のmetricsのサービスサイトをご覧ください。
経営の可視化を進める4つのステップ
経営の可視化は、ツールを入れれば自動的に進むものではありません。
順番を踏んで取り組むことで、「導入したけど使われない」という失敗を避けやすくなります。
ここでは、進め方を4つのステップに分けて解説します。
ステップ | 項目 |
|---|---|
STEP1 | 経営課題と優先指標を定める |
STEP2 | データソースを洗い出し、収集・整備する |
STEP3 | ダッシュボード・レポートで一元表示する |
STEP4 | 定期レビューと改善サイクルを回す |
経営課題と優先指標を定める
可視化に取り組むときに最初に考えるべきなのは、どのツールを使うかではなく、何を明らかにしたいのかを整理することです。財務なのか、顧客・営業なのか、人的資本なのか、それとも業務プロセスなのか、自社が解決したい課題を決めて的を絞ることが大切になります。
たとえば、売上が伸びない原因が受注率にあるのか、解約にあるのか、現場の工数にあるのかによって、見るべき数字は変わります。
目的が曖昧なまま進めると、指標が増え、結局どこを見ればいいのか分からなくなってしまうため、優先度の高い数字に絞り込むほうが、現場にも定着しやすいでしょう。
また、「売上を伸ばす」といった漠然とした目標ではなく、「受注率を5%改善する」のように、追うべき指標がひとつに定まる粒度まで落とし込むのがコツです。
データソースを洗い出し、収集・整備する
見たい指標が決まったら、次に必要なのは、その数字がどこにあり、どのような状態で管理されているのかを整理することです。会計ソフト・販売管理・勤怠など、データの場所を整理し、どう集めて、どう整えるかという運用面まで決めておくことが欠かせません。
たとえば、売上や費用は会計ソフト、受注や顧客情報は販売管理ツール、労働時間は勤怠システムに分かれていることがあります。
手作業での転記が多いと更新が続かないため、会計ソフトと自動でつながる仕組みがあるかどうかも確認しましょう。データが部門ごとにバラバラの形式で管理されていると、後から突き合わせる作業に多くの手間がかかります。
ダッシュボード・レポートで一元表示する
集めたデータは、必要なときにすぐ確認できるよう、一画面でまとめて見られる形に整えます。ダッシュボードとは、売上・利益・KPIといった重要な指標をひとつの画面に集約し、状況をひと目でわかるようにした仕組みです。
たとえば、売上・粗利・受注率・在庫状況などを同じ画面で確認できれば、数字の変化と現場の状況を結びつけて見やすくなります。
重要な指標は大きく、関連する数字は近くにするなどといったレイアウトの工夫も大事です。誰が見るのかを意識し、経営層向けには全体像を、現場向けには担当領域の数字を、といった具合に表示を作り分けると、より伝わりやすくなります。
最初から作り込みすぎず、使いながら必要な指標を足していくことで実用的なダッシュボードになっていきます。
ダッシュボードの作り方をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
経営ダッシュボードとは?基本機能から導入のポイントまでキャプチャ付きで解説
定期レビューと改善サイクルを回す
ダッシュボードは、一度作ったら終わりではなく、数字を見ながら改善に使い続けていくことが大切です。定期的に数字を見て、気づいたことを次の打ち手につなげ、必要なら指標を見直すというサイクルを回し続けることが欠かせません。
たとえば、月次会議の始めに全員が同じ画面を確認し、異常値が出たら誰がいつ対応するかを決めておく、といったルールが必要です。
また、前回決めた施策が実行されたか、その結果として数字に変化が出ているかまで確認すると、改善の流れが続きやすくなります。
数字を見て終わりにせず、「なぜそうなったのか」「次に何をするか」までその場で言語化することが、可視化から行動に変えるポイントです。事業環境が変われば追うべき指標も変わるため、半年に一度は指標を見直す機会を設けるとよいでしょう。
経営の可視化による成果事例
ここまで可視化の進め方を見てきましたが、実際に取り組むと何が変わるのでしょうか。
ここからは、当社が開発・運営するmetricsを活用した士業(税理士法人)の事例を2つ紹介します。
※当社開発・運営の「metrics」を活用した税理士事務所の事例になりますが、データの可視化により報告準備を効率化し次の一手を議論しやすくなる点は、事業会社でもコアな部分では同様の効果が得られるでしょう。
経営データの可視化で、報告から意思決定の対話へ変わった事例
財務の可視化が経営伴走支援を変え、顧問先5社が最高売上を更新した事例
経営データの可視化で、報告から意思決定の対話へ変わった事例

項目 | 内容 |
|---|---|
課題 | 試算表中心の報告では【過去⇒現在】の説明に時間を取られ、踏み込んだ話まで進めなかった |
取り組み | 報告で使うウィジェットを全社でそろえ、誰が担当しても一定水準の報告ができる形に整備 |
成果 | 経験の浅いメンバーも重要指標を提示でき、未来に向けた対話中心の面談が増えた |
エンジョイント税理士法人様では、クライアントとの面談を「過去・現在・未来」の流れで進めることを大切にしてきましたが、経験の浅いメンバーほど過去や現在の説明に時間がかかり、いちばん大切な未来の話まで十分にできない課題がありました。
そこで、面談で使う画面を社内でそろえ、担当者の経験によって報告の内容に差が出ないようにし、誰が担当しても一定の質で話せる形に整えています。また、日々の業務でもmetricsでの報告を意識し、必要な情報を整理して活用するようにしています。
数字がグラフで見えるようになったことで、経験の浅いメンバーでも、どの数字を見るべきかを分かりやすく伝えられるようになりました。その結果、顧客の課題やこれからの方向性について話し合う「未来」に向けた対話が、面談の中心になっています。
財務の可視化が経営伴走支援を変え、顧問先5社が最高売上を更新した事例

項目 | 内容 |
|---|---|
課題 | レポート作成に1社1〜2時間、月次で最大30時間。担当者で品質にムラがあり、一方的に数字を見せる関係にとどまっていた |
取り組み | AI CFOとAPI連携でレポーティングを刷新。データ取得・更新を自動化し、ウィジェットを統一 |
成果 | レポート作成が約3分に短縮。伴走支援中の5社すべてが最高売上を更新、対応顧問先も5社→10社程度へ拡大の見通し |
みらいと税理士法人様では、財務分析やレポート作成に1社あたり1〜2時間、月次では最大30時間かかっていました。担当者によってアウトプットの品質にばらつきが出やすく、時間をかけて作っても「一方的に数字を見せる」状態でした。
そこで、AI CFOとAPI連携を組み合わせ、レポーティングを刷新したことで、会計ソフトとのAPI連携でデータの取得・更新を自動化し、準備の手間をほぼゼロに。画面を統一しAI CFOを使って「なぜこの数字が下がっているのか」を会話形式で深掘りできる環境を整えました。
その結果、1〜2時間かかっていたレポート作成は約3分にまで短縮され、「人をもう一人雇ったらどうなるか」といった将来の意思決定に踏み込んだ対話が自然に生まれるようになりました。伴走支援を続ける5社はすべて最高売上を更新し、対応できる顧問先も、5社から10社程度へ広げられる見通しです。
経営を可視化するなら「metrics」
経営の可視化を実現するツールを探しているなら、当社が開発・運営するmetricsをぜひ検討してみてください。
metricsは会計データを「見える化」し、経営判断に必要な情報をリアルタイムで把握できるクラウド経営分析ツールです。税理士事務所から中小企業の経営企画まで、幅広い現場で使われています。
2026年にはAI機能が大きくアップデートされ、AI CFOで予算管理やダッシュボード構築まで対話形式で行えるようになりました。主な特徴は次の4つです。
見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現
予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援
AIが経営データを読み解き意思決定をサポート
ストレスフリーな初期設定と自動API連携
見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現
metricsのダッシュボードは、経営支援に必要な情報をひとつに集約し、月次の報告準備を効率化します。
これまで、Excelで報告レポートを毎月組み直すためにかかっていた数時間を、ダッシュボードを開いて、そのまま共有するだけの流れに変えられます。

準備時間を大幅に削減し、会議では数字の報告だけで終わらず、経営課題の整理や今後の打ち手、未来に向けたディスカッションにより多くの時間を使えるようになります。
予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援
metricsの強みは、過去と現在を把握するだけでなく、「この先どうなりそうか」まで示せるところにあります。AIサポートや入力ヘルパーを使いながら予算を入力すると、損益のプレビューがリアルタイムで更新されていきます。

細かく予算を組む余裕がない場合でも、過去の実績から期末の着地を自動で予測できます。作成した予算と自動予測はダッシュボード上でワンクリックで切り替えられるため、「今どこまで来ているか」「このまま進むとどうなるか」を経営者と一緒に確認しながら話を進められるでしょう。
AIが経営データを読み解き意思決定をサポート
metricsには、経営データの分析からダッシュボードの自動構築、予算案づくりまでをこなすAI CFO(AIエージェント)が搭載されています。資料の読み込みや異常値の拾い出し、論点の整理をAIが代行するため、見落としを抑えながら重要なポイントに集中できます。

たとえば「売上と費用を並べて見たい」「来期は売上を20%伸ばしたい」と伝えるだけで、目的に合ったダッシュボードや予算案をAIが組み立ててくれるでしょう。2026年のアップデートで予算管理やダッシュボード構築まで対話でできるようになっています。
実際の操作画面は、以下のYouTube動画でも確認できますので、ぜひご覧ください。
metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube
ストレスフリーな初期設定と自動API連携
metricsは、freee・マネーフォワードとAPI連携しており、連携を許可するだけで仕訳・帳票を自動で取り込み、勘定科目からキャッシュフロー項目までマッピングが完了します。初回連携時に過去分を含む全期のデータをまとめて取得するので、手作業でのデータ整備は要りません。

データはmetricsが定期的に自動更新するため、面談や会議の直前に慌てて数字を引き直す必要もなくなります。準備にかけていた時間を、分析や提案に回せるようになるでしょう。
経営分析を効率化したい企業の方や、工数の削減や付加価値をアップさせたい税理士の方も、まずは無料デモで実際の画面に触れてみてください。
まとめ
経営の可視化は、売上や利益などの数字をただ見るためのものではありません。会社の今の状態を正しく知り、次に何をすべきかを考えるための仕組みです。
最初からすべての数字を見えるようにしようとすると、分かりにくくなることがあります。まずは、「売上の見通しを知りたい」「利益が残らない理由を知りたい」「現場の負担を減らしたい」など、自社がいま解決したい課題をひとつ決めることが大切です。
そのうえで、必要な数字を集め、ダッシュボードやレポートで見やすく整理し、定期的に確認する流れをつくりましょう。数字を見ながら原因を考え、次の行動につなげていくことで、可視化は経営改善に役立つものになります。
とはいえ、手作業で数字を集計したり、毎月レポートを作り直したりする運用では、担当者の負担が大きくなり、継続が難しくなることもあります。そのため、多くの企業にとっては、最初から経営管理に使いやすい形でダッシュボードやAI機能が組み込まれているSaaSを活用する方が、取り組みやすい方法といえるでしょう。
metricsは、freeeやマネーフォワードとAPI連携し、会計データの取得からダッシュボードでの可視化、予実管理、将来予測までをサポートするクラウド経営分析ツールです。経営の可視化を無理なく始めたい方は、ぜひmetricsのサービスサイトもあわせてご覧ください。
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