税理士の仕事はAIでなくなる?代替される業務・活用シーン・取り入れ方まで整理

AIに置き換わりつつあるのは、記帳や証憑の読み取りなど手順の決まった作業です。AIの種類、代替されやすい業務・されにくい業務、税理士業務での活用シーン、事務所への取り入れ方までまとめて解説します。

「AIで税理士の仕事はなくなる」という話を耳にし、不安を感じたことがある方もいるのではないでしょうか。

AIによって置き換わりつつあるのは、税理士という仕事そのものではなく、記帳や証憑の読み取りなど、一定のルールに沿って進められる作業です。

経営者それぞれの事情を踏まえたサポートや、税務調査への対応のように、状況に応じた判断や責任が求められる仕事は、今後も人が担う部分として残っていくでしょう。

本記事では、AIの種類を押さえたうえで、なぜ「税理士の仕事がなくなる」と言われるのか、AIに任せやすい業務と任せにくい業務、具体的な活用例、事務所への取り入れ方まで順に解説します。

AIをどこまで、どのように取り入れるべきか迷っている税理士の方は、ぜひ参考にしてください。

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そもそも「AI」にはどんな種類があるのか

AIにはさまざまな種類があり、それぞれ得意なことが異なります。まずは、税理士業務で使われるAIを「何ができるか」という視点で3つに分けて見てみましょう。

種類

内容

活用例

代表例

チャット型AI

指示に応じて、文章や回答を返してくれるAI

文章作成、要約、アイデア出し、調べもの

ChatGPT、Gemini、Claude

AIエージェント

複数の作業を順番に進めてくれる仕組み

定型業務の自動化、数値チェック、レポートの下書き

Claude Code、各種業務自動化エージェント

AIツール/AI機能

ソフトに組み込まれているAI機能

証憑の読み取り、自動仕訳、データの照合

freee、マネーフォワードなどのAI-OCR・自動仕訳

この3つは、どれかひとつを選ぶのではなく、業務に合わせて使い分けます。たとえば、調べものや文章作成はチャット型AI、繰り返し行う作業はAIエージェントに任せる、証憑の読み取りは会計ソフトのAI機能、といった使い方です。

チャット型AI:文章生成・分析を行う汎用AI(ChatGPT・Geminiなど)

ChatGPTやGemini、Claudeなどに代表されるチャット型AIは、質問や指示を入力すると、その内容に合わせて文章や回答を返してくれるAIです。特定の業務だけに使うものではなく、必要なときにその都度使えるのが特徴です。

たとえば税理士業務では、次のような場面で使えます。

  • 制度の概要をつかむための下調べに使う

  • 顧問先へ送るメールや案内文のたたき台を作る

  • 長い議事録や資料を要点だけに絞って要約する

ChatGPTに税務上の制度や要件について質問すれば、関連する論点や実務上の注意点を整理した回答を得られます。

得意なのは、文章を一から作ることと、長い文章を短くまとめることです。一方で、入力していない情報まで自動で確認してくれるわけではありません。

無料で試せるサービスも多いため、3つのなかでは最も始めやすい方法です。

AIエージェント:複数の作業を自律的に遂行するAI

AIエージェントは、1回の質問に答えて終わるのではなく、目的に合わせて複数の作業を順番に進めていくAIです。チャット型AIが「質問に答えるAI」であるのに対し、AIエージェントは「実際の作業まで進めるAI」です。

たとえば、次のような作業を任せられます。

  • 受け取った請求書PDFが入ったフォルダを自動で読み取り、内容を確認して仕訳データを作る

  • 顧問先ごとの月次数値を媒体を横断して集め、決められた項目に沿って異常がないか確認する

  • 毎月作成するレポートを、決められた手順に沿って下書きまで作る

Claude Codeではファイルの内容を読み取ったうえで、必要な情報を整理・集計し、結果を別のファイルとしてまとめるといった一連の作業を進められます。

AIエージェントに任せやすいのは、作業の手順や確認するポイントがはっきりしている業務です。反対に、担当者の経験や感覚に頼っていて、手順が決まっていない業務は、そのまま任せるのが難しくなります。

3つのなかでは導入にやや手間がかかりますが、繰り返し作業をまとめて任せられるため、うまく使えば業務効率を大きく高められます。

AIツール/AI機能:特定業務に組み込まれた自動化機能(OCR・自動仕訳など)

3つ目は、会計ソフトなどにあらかじめ組み込まれているAI機能です。新しく仕組みを作らなくても、ソフトに用意された機能をそのまま使える点が、チャット型AIやAIエージェントとの違いです。

代表的なものには、次のような機能があります。

  • 領収書や請求書を読み取ってデータ化するAI-OCR

  • 過去の仕訳をもとに勘定科目を提案する自動仕訳

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、仕訳候補を出す機能

たとえば、freee会計ではスマートフォンで撮影した領収書や請求書を読み取り、日付・金額・取引先などの情報を自動でデータ化できます。

引用・参照:「【Android】会計アプリでレシート類をスマホのカメラで取り込む」ヘルプセンター

手軽に使える一方で、できることはソフトに用意されている範囲に限られるため、事務所独自のやり方に細かく合わせたい場合には、対応しきれないこともあります。

まずは、現在使っている会計ソフトにどのようなAI機能があるかを確認してみるとよいでしょう。

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われる背景

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われるようになった背景には、AIやクラウド会計の進化があります。

また、これまで人が行っていた作業の一部を自動化できるようになったことに加え、「士業はAIに置き換わる」という話が広く取り上げられるようになったことも背景です。

  • クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

  • 士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

背景にあるのは、税理士事務所だけでなく、顧問先となる事業者の間でもクラウド会計やAIの利用が広がっていることです。

弥生株式会社が2026年に実施した調査では、確定申告に関する業務でAIを利用している個人事業主の割合は全体では約5人に1人、40代未満では約2人に1人がAIを利用していることがわかります。

年代

確定申告関連業務でAIを利用している割合

全体

19.6%(前年比+5.3pt)

40代未満

47.8%

40代

30.5%

50代

18.2%

60代

6.3%

70代

5.3%

引用・参照:「個人事業主向け確定申告課題調査2026」弥生株式会社

また、クラウド会計と生成AIを組み合わせて定型業務を自動化している税理士事務所もあります。

スタッフを置かずに約60社の顧問先を担当し、毎晩21時にfreeeの未処理明細をまとめて確認・登録する仕組みを構築している事例です。

登録したキーワードで勘定科目を判定し、判断できない取引だけをClaude APIに確認させるなど、複数の処理を組み合わせて仕訳業務を進めています。

引用・参照:「累計700万インプの内側 スタッフ0人で60社を回す税理士が、Claude Code導入の2ヶ月でやったこと全部」畠山謙人│AI税理士 / 自走するバックオフィス

士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

「税理士をはじめとする士業はAIに代替されるのではないか」という見方がメディアを通じて広がっていることも、「税理士の仕事はなくなる」と言われる背景のひとつです。

弁護士ドットコム株式会社が2025年に発刊した「士業DX白書2025」では、一般消費者1,030人を対象に、税理士や弁護士、公認会計士など7士業について調査しています。その結果、「AIに代替されると思う士業」では税理士が7つの士業のなかでトップとなりました。

引用・参照:「士業DX白書2025」弁護士ドットコム株式会社

こうした調査結果やAIの進化がメディアなどで取り上げられることで、「税理士=AIに代替される仕事」というイメージが広がりやすくなっています。

ただし、これらのデータは「税理士という職業そのものがなくなる」ことを示しているわけではありません。実際には、記帳や仕訳などの定型業務を中心にAIによる自動化が進み、税理士に求められる仕事の内容が変化していると考えるほうがよいでしょう。

実際にAIに代替される業務・されない業務

税理士の仕事すべてが、AIに置き換わるわけではなく、AIに任せやすい業務と、人による判断や対応が必要な業務には違いがあります。ここではそれぞれ具体的に見ていきます。

  • AIに代替されやすい業務

  • AIに代替されにくい業務

AIに代替されやすい業務

AIに置き換わりやすいのは、手順が決まっていて、同じ作業を繰り返す業務です。

とくに、記帳やデータ入力など、人による判断があまり必要ない作業は自動化が進みやすいと考えられます。

  • 記帳・仕訳などのデータ入力

  • 領収書・請求書の読み取り(OCR)

  • 定型的な税務書類の作成

記帳・仕訳などのデータ入力

日々の記帳や仕訳入力は、比較的早い段階から自動化が進んできた業務です。

現在では、次のような作業を会計ソフトやAIに任せられるようになっています。

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む

  • 摘要や取引先名から勘定科目を推測し、仕訳の候補を出す

  • 一度登録した仕訳ルールをもとに、次回以降の処理を自動化する

  • 毎月同じ内容で発生する取引を、登録済みのルールでまとめて処理する

前章で紹介した事務所では、まずキーワードで仕訳を判定し、当てはまらないものだけをAIに確認させる仕組みを使っていました。すべてをAIに任せるのではなく、単純なものはルールで処理し、判断が必要なものだけAIに回しています。

ただし、内容だけでは判断できない取引や、顧問先への確認が必要な取引は残ります。自動化は、すべてをAIに任せるためではなく、人が確認すべき取引を減らすために使うものと考えましょう。

領収書・請求書の読み取り(OCR)

領収書や請求書の読み取り・データ化は、すでに多くの事務所で使われている方法です。具体的には、次のような作業に活用されています。

  • スマートフォンで撮影した領収書から、日付・金額・取引先を読み取る

  • PDFで届いた請求書を取り込み、そのままデータ化する

  • 読み取った内容を仕訳の入力欄に反映する

  • 電子帳簿保存法の要件に沿って保存し、後から検索できるようにする

読み取りの正確さは書式によって差があります。手書きの領収書や独自の形式で作られた請求書は読み取りミスが起きやすいため、金額や日付など重要な項目は人が確認することが欠かせません。

また、実務では読み取りそのものよりも、顧問先から証憑を集めたり、不足している資料を確認したりする作業のほうが手間として残りやすいでしょう。

定型的な税務書類の作成

様式や入力項目が決まっている税務書類は、AIや会計ソフトで作成を進めやすい業務です。

たとえば、書類の作成や確認では次のような使い方ができます。

  • 会計データをもとに、申告書の各欄へ数値を転記する

  • 法人設立届出書や青色申告承認申請書など、決まった様式の書類を作成する

  • 決算書と申告書の数値に食い違いがないか確認する

  • 過去年度と比べて、入力漏れや不自然な数値がないか確認する

一方で、個別事情を踏まえた税務上の判断や、例外的な処理への対応まで自動化できるとは限りません。また、AIが書類を作成した後は、その内容が本当に正しいかを人が判断しましょう。

「書類の作成はAIに任せ、税理士は内容の確認と判断に集中する。」今後は、こうした分担が増えていくと考えられます。

AIに代替されにくい業務

AIに置き換わりにくいのは、相手の状況をくみ取りながら、その場に応じた判断が求められる業務です。

AIの活用が進んでも、目的・ゴールの設定、生成物のレビュー、最終的に判断して責任を負うことは、人が担う部分として残ると考えられます。

  • 経営判断に関わるコンサルティング

  • 複雑な税務判断・税務調査対応

  • 顧問先との信頼関係構築

経営判断に関わるコンサルティング

同じ数字を見ていても、経営者の状況や考え方によって、必要なサポート内容は変わります。たとえば、次のような場面では、数字だけでなく経営者本人の意向まで踏まえて考える必要があります。

  • 設備投資のタイミングと、資金調達の組み合わせを検討する

  • 役員報酬の水準を、税負担と資金繰りの両面から考える

  • 事業承継の進め方を、家族関係や後継者の意向を踏まえて決める

  • 採算の合わない事業から撤退すべきか、経営者と一緒に判断する

AIは一般的な選択肢や考え方を示すことはできますが、その経営者が何を大切にしているかまで正確にくみ取るのは難しいです。長年続けてきた事業をやめる判断や、親族間の感情が関わる事業承継などは、数字だけで答えを出せるものではありません。

AIには選択肢の整理や比較を任せ、最終的にその会社に合った答えを決めるのは人が担う、という使い方がよいでしょう。

複雑な税務判断・税務調査対応

税務では、条文だけでは判断しきれず、個別の事情や過去の事例まで踏まえて考える場面があります。とくに、次のような業務では、税理士の知識や経験をもとにした判断が必要です。

  • 個別事情に応じて、特例を適用できるかどうかを判断する

  • 過去の裁決事例や立法趣旨に照らし、処理の妥当性を検証する

  • 税務調査に立ち会い、指摘に対して根拠を示しながら説明する

  • 修正申告に応じるか主張を続けるかを、顧問先と話し合って決める

税務の判断は、条文をそのまま当てはめれば答えが出るものばかりではありません。前例が少ないケースや、複数の考え方ができるケースでは、AIの回答だけで判断するのは難しいでしょう。

また、税務調査では、調査官の指摘をその場で確認し、どこまで説明するか、どのような根拠を示すかを判断する必要があります。こうした対応は一律の手順では進めにくく、税理士の経験や判断が重要になる場面もあるでしょう。

顧問先との信頼関係構築

顧問契約が続くかどうかは、処理の正確さだけで決まるものではありません。日々のやり取りのなかで相手の不安や悩みをくみ取り、相談しやすい関係をつくることも大切です。

たとえば、次のような場面では、人との関わりそのものがとくに重要になります。

  • 決算や資金繰りへの不安を、雑談のなかから拾い上げる

  • 言いにくい経営課題を伝えても、受け止めてもらえる関係を保つ

  • 判断に迷っている経営者の背中を押す

  • 社内では相談しにくい悩みの受け皿になる

「この人に相談したい」と思ってもらえるかどうかが、顧問先との関係を左右する場面は少なくありません。こうした信頼関係は、AIだけで築けるものではないでしょう。

その一方で、AIに任せられる作業が増えれば、顧問先と向き合う時間は取りやすくなります。人にしかできない仕事に時間を使うためにも、任せられる作業はAIに任せるという考え方が大切です。

税理士業務におけるAI活用シーンの整理

AIは、記帳や仕訳のような作業だけでなく、顧問先とのやり取りや経営分析、情報収集にも活用できます。

税理士業務でどのように役立つのか、主な活用場面を4つに分けて見ていきましょう。

  • 記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

  • 顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

  • 経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

  • 情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

記帳や仕訳などのバックオフィス業務は、AIによる自動化と相性のよい分野です。

入力や確認にかかる手間を減らす方法として、次のような活用が広がっています。

  • 領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

  • 勘定科目の自動仕訳・判定

  • 会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

AI-OCRを使えば、領収書や請求書に書かれた日付・金額・取引先などを読み取り、会計データとして取り込めます。

大切なのは、読み取りの精度だけでなく、以下のように領収書や請求書をどのように集めるかを決めておくことです。

  • 顧問先にスマホアプリを入れてもらい、その場で撮影・送信してもらう

  • メールで届く請求書は、専用アドレスへ転送するルールにして自動で取り込む

  • 紙の書類は月に一度まとめてスキャンし、フォルダごと取り込む

マネーフォワード クラウド会計では、PDFや画像形式の領収書・請求書をアップロードすれば、OCRで内容を読み取り、会計データとして取り込めます。

引用・参照:「『アップロード』機能の使い方」マネーフォワード クラウド会計

取り込んだデータを担当者が確認・修正する運用まで整えておくと、入力作業の効率化とデータ品質の安定につながります。

勘定科目の自動仕訳・判定

自動仕訳を使えば、取引先名や摘要などの情報から勘定科目や仕訳内容を判定し、その結果をもとに仕訳候補を自動で出せます。

以下のように、よく発生する取引のルールをあらかじめ設定し、判断が必要な取引だけを人が確認する運用にすると、自動仕訳を活用しやすくなるでしょう。

  • 取引先名や摘要のキーワードごとに、対応する勘定科目を登録する

  • 毎月同額で発生する取引は、定期取引としてあらかじめ設定する

  • 自動で判断できなかった取引だけを一覧で確認し、その処理内容を次回以降のルールに反映する

たとえば、マネーフォワード クラウド会計では、AI-OCRで読み取った証憑の内容をもとに仕訳候補を作成し、担当者は提案された内容を確認して登録できます。

引用・参照:「「仕訳候補」画面の使い方(AI-OCRから入力)」マネーフォワード クラウド会計

勘定科目の使い方は、顧問先の業種や取引内容によって異なります。導入直後は確認する件数が多くても、使い続けるうちにルールが増え、手作業で確認する取引は少しずつ減っていくでしょう。

会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

会計ソフトと銀行口座や各種システムを連携すれば、データを自動で取り込み、数字のズレや重複がないかまで確認できます。複数のサービスに分かれているデータを自動で照らし合わせることで、確認作業の手間も減らせるでしょう。

たとえば、次のようにデータ連携を自動化できます。

  • 銀行口座・クレジットカード・決済サービスの明細を自動で取得する

  • 請求管理システムや販売管理システムの売上データと、会計データを照らし合わせる

  • 残高が合わない箇所や、二重計上の可能性がある取引を自動で見つける

マネーフォワード クラウド会計では、銀行口座やクレジットカードなどを会計ソフトと連携すれば、取引明細を自動で取り込み、仕訳候補の作成まで進められます。

引用・参照:「銀行・金融機関連携で経理がラクになる会計ソフト」マネーフォワード クラウド会計

こうした確認まで自動化できれば、担当者がすべての数字をひとつずつ見比べる必要はありません。問題がある箇所だけを確認し、その原因を調べることに時間を使えるようになります。

顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

AIは、顧問先とのやり取りそのものを代わるのではなく、問い合わせへの回答準備や面談内容の整理、資料作成といった周辺作業をサポートする用途に向いています。

こうした作業をAIに任せることで、顧問先への説明や提案に使う時間を確保しやすくなります。

  • 顧問先からの問い合わせ対応

  • 面談記録・議事録の自動作成

  • 提案資料・レポートの下書き作成

顧問先からの問い合わせ対応

顧問先からの問い合わせでは、よくある質問への返信案をAIに作ってもらうことで、文章を一から考える手間を減らせます。

次のように、過去のやり取りや顧問先の情報をもとに、返信文の作成や説明内容の整理といった作業をAIに任せられます。

  • 過去の回答メールを参考に、同じ内容の質問への返信案を作る

  • 専門用語を含む説明を、経営者にも分かりやすい表現に書き換える

  • 制度の一般的な説明と、その顧問先に関係する内容を分けて整理する

  • よくある質問と回答をまとめ、事務所内で共有する

たとえば、ChatGPTでは顧問先の月次データを読み込ませ、数値の変化を踏まえた問い合わせへの返信案を作成することも可能です。

注意したいのは、AIが作った回答をそのまま顧問先へ送らないことです。たとえば税法の解釈が関わる内容は、AIには返信の下書きまでを任せ、最終的な内容は税理士自身で確認する必要があります。

面談記録・議事録の自動作成

AIを使えば、面談の録音や録画から文字起こしを行い、議事録や要点の整理までまとめて進められます。

具体的には、面談内容の記録から要点整理、その後の共有まで、次のような作業をAIで効率化できます。

  • オンライン面談の録音・録画から、文字起こしと要約を自動で作る

  • 決定事項・宿題・次回までの確認事項に分けて整理する

  • 顧問先へ送る報告メールの文面まで、続けて下書きする

たとえば、ChatGPTへ面談の文字起こしデータを読み込ませれば、決定事項や宿題、次回までの確認事項などに分けた議事録の作成が可能です。

面談中にメモを取る量が減れば、相手の話に集中しやすくなります。記録の形式もそろえやすいため、担当者が変わったときの引き継ぎにも使えるでしょう。ただし、録音する場合は、事前に顧問先の同意を得ておきましょう。

提案資料・レポートの下書き作成

AIを使えば、決算報告や月次レポート、サービス案内などのたたき台を作り、資料作成にかかる時間を減らせます。

具体的には、資料の構成づくりから数値に対するコメントの整理まで、次のようにAIで効率化できます。

  • 決算報告や月次報告の構成案を作る

  • 数値の推移をもとに、資料へ載せるコメントの候補を出す

  • 事務所のサービス案内や、顧問料改定の説明資料をまとめる

  • セミナー資料の構成と、話す内容のメモを作る

Claude Codeで過去に作成した資料を読み込ませれば、構成や表現を参考にしながら、新しい提案資料やレポートのたたき台作成が可能です。

過去に作った資料を参考として読み込ませておくと、事務所で普段使っている言い回しに近い下書きを作りやすくなります。毎月ほぼ同じ形式で作る資料なら、以前の資料を見本として使う方法もあります。

経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

AIは、経営分析や予算管理でも、数字の整理や比較、将来の見通しを考えるための材料づくりに活用できます。

これまで時間がかかっていた分析や情報収集を効率化することで、税理士は顧問先への提案や判断により時間を使いやすくなるでしょう。

  • 財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

  • 予算策定・着地予測のシミュレーション

  • 補助金・助成金情報の収集と提案への活用

財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

財務データをAIで分析すると、数値の変化を見つけ、経営上の気になる点や月次報告に使うコメント案まで整理できます。

以下のように前月や前年と比べて大きく動いた数字を確認する作業は、自動化しやすい部分です。

  • 前月・前年同月と比較し、変化の大きい科目を見つける

  • 粗利率や固定費率の推移から、確認したい指標を絞り込む

  • 月次報告に載せるコメント案を、指標ごとに作る

  • 業種ごとのチェック項目に沿って、見落としがないか確認する

こうした分析には、専用ツールを使う方法もあります。当社が開発・運営するクラウド経営分析ツール「metrics」には、経営データの分析を支援する「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数値の大きな変化を見つけたり、確認すべきポイントを整理したりする点が特徴です。

顧問先ごとの確認方法や業種特有のチェック項目をあらかじめ設定しておけば、担当者が変わっても、事務所でこれまで培ってきた見方や確認方法を引き継ぎやすくなります。

予算策定・着地予測のシミュレーション

予算策定や着地予測では、過去の実績をもとに将来の売上や利益を見込み、条件を変えながら複数のケースを比較できます。

具体的には、過去の実績や予算データをもとに、将来の着地予測や条件を変えたシミュレーションなど、次のような検討に活用できます。

  • 過去の実績から、期末の売上や利益がどの程度になりそうか予測する

  • 売上を10%伸ばした場合や、人を1人増やした場合など、条件を変えて比較する

  • 予算と実績の差を月ごとに確認し、ズレが生じた原因を探る

  • 経営者の希望をもとに、予算案のたたき台を作る

metricsの予算管理画面では、数字を入力するたびに損益の見込みがその場で更新されることも特徴です。細かく予算を組む時間が取れない場合は、過去の実績をもとに期末の着地を見積もる「自動予測」モードを使う方法もあります。

経営者と同じ画面を見ながら数字を変えていけば、いくつかの選択肢をその場で比べながら、次に取るべき行動を考えやすくなります。

補助金・助成金情報の収集と提案への活用

補助金や助成金の情報収集では、顧問先の条件に合う制度を探し、申請要件や必要書類を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような使い方ができるでしょう。

  • 顧問先の業種・所在地・規模に合う制度を探す

  • 公募要領を読み込み、要件や必要書類を分かりやすく整理する

  • 締切や申請の流れを、スケジュールにまとめる

  • 事業計画書の構成案や、記載内容の下書きを作る

たとえば、Claude Codeで顧問先の所在地や業種、従業員数などの条件を指定すれば、利用できる可能性のある補助金・助成金を調べ、対象者や主な要件、申請期限などを一覧で整理できます。

ただし、補助金や助成金の情報は変更されることがあります。AIが古い内容をもとに回答する可能性もあるため、申請前には必ずjGrantsやミラサポplus、各自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

AIは、税制改正や業界動向など、量の多い情報から必要な内容を探して整理する作業にも向いています。

情報収集にかかる時間を減らせれば、内容の確認や顧問先への説明に時間を回しやすくなるでしょう。

  • 最新の税制改正・通達のキャッチアップ

  • 業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

最新の税制改正・通達のキャッチアップ

税制改正や通達の確認では、長い資料から必要な部分を抜き出し、改正内容や影響を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような作業にAIを活用できます。

  • 税制改正大綱や通達のPDFを読み込ませ、要点を項目ごとにまとめる

  • 改正前と改正後の違いを、表にして比較する

  • 自事務所の顧問先のうち、どの業種や規模に影響があるか整理する

  • 影響を受ける顧問先へ送る案内文を、改正内容に沿って作る

たとえば、ChatGPTに税制改正大綱などのPDFを読み込ませれば、改正前後の違いや対象者を項目ごとに整理し、比較しやすい形でまとめられます。

ただし、施行日や経過措置など、細かい条件までAIの要約だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。まず要約で内容をつかみ、実務に関わる部分は条文や国税庁などの公式資料で確認することが大切です。

業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

業界の動きや他事務所の事例を調べる際にも、必要な情報を集めて比較し、自事務所の参考になりそうな点を整理するためにAIを活用できます。

以下のように幅広い事例を確認できるため、検索や情報整理にかかる時間を減らせるでしょう。

  • 特定の分野に強い事務所を探し、サービス内容や料金体系を一覧にする

  • 会計業界のニュースを定期的に集め、要点をまとめる

  • SNSで話題になっている取り組みを探し、共通する特徴を整理する

  • 自事務所のサービスに取り入れられそうな点を探す

たとえば、Claude Codeで調べたいテーマや期間を指定すれば、会計・税理士業界の動向や他事務所の取り組み事例を収集し、概要や参考にできるポイントを整理できます。

調べた事例は、そのまま取り入れるのではなく、自事務所の顧客層や強みに合うかを見極めることが大切です。定期的に情報を整理しておけば、サービス改善や新しい施策を考える際の材料としても活用できます。

これまで見てきた活用方法を踏まえ、次の章では、実際にAIを取り入れるには何から始めればよいのかを3つの段階に分けて紹介します。

AIの取り入れ方:3つのレベル

AIを取り入れたいと思っても、事務所によって始めやすい方法は異なります。

ここでは自分で使うだけなのか、事務所で仕組みを作るのか、でき上がったツールを導入するのかという違いで3つに分けて考えます。

3つはどれかひとつを選ぶものではなく、業務ごとに組み合わせて使うようにしましょう。

  • スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

  • 自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

  • 導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

まず始めやすいのが、必要なときにチャット型AIへ質問したり、下書きを作ってもらったりする使い方です。ChatGPTGeminiClaudeなど選択肢が多く、無料で試せるサービスもあります。

チャット型AIには、次のような特徴があります。

  • 契約や細かな設定がほとんどなく、すぐに始められる

  • メール作成、資料の要約、制度の下調べなど、幅広い業務に使える

  • 合わなければ利用をやめやすく、導入時の負担も小さい

前章で紹介した活用例のうち、メールや資料作成、情報整理などは、この方法から始められます。まずは普段の業務で使ってみて、どの仕事に役立つのかを確かめるとよいでしょう。

一方で、使う人によって結果に差が出やすい点には注意が必要です。同じAIでも、質問や指示の内容によって返ってくる回答は変わります。

また、使い方が個人任せのままだと、便利な方法が事務所内に広がりにくいという課題もあります。

自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

繰り返し発生する業務を、AIエージェントを使って自分たちで自動化する方法です。事務所のやり方に合わせて細かく調整できる一方、仕組みを作った後の改善や管理も自分たちで行う必要があります。

前章の事務所では、顧問先60社分の仕訳処理を自動化し、AIに任せる業務と人が判断する業務を明確に分けていました。「税務判断は人に回す」といったルールも設定しています。

また、最初から完成形を目指さず、問題が出るたびにルールを追加して改善していく運用が重要です。

ただし、この方法では、仕組みを作るだけでなく、その後の管理や改善も事務所側で行わなければなりません。ある程度の知識も必要になるため、誰でもすぐに取り入れられる方法とは言いにくいでしょう。

当社metrics導入事例のインタビューでも、次のような声が聞かれました。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
最初に作ることはできても、改善し続けること、複数のお客様に安定して展開すること、日々の業務の中で運用し続けることまで考えると、負担が大きいと感じます。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

一方で、日々繰り返している業務について、どの順番で進め、どこで確認が必要なのかを整理できれば、自動化を考える準備になります。こうして業務の流れを整理しておくことは、次に紹介する専用ツールを選ぶ際にも役立ちます。

導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

すでに用意されている専用ツールを導入し、決まった業務を効率化する方法です。仕組みを一から作る必要がなく、開発や保守は提供元が行うため、事務所側は初期設定と使い方を覚えるところから始められます。

具体的には次のようなメリットがあります。

  • 初期設定を済ませれば、担当者が変わっても同じ流れで使いやすい

  • 機能の改善やアップデートを、自分たちで対応する必要がない

  • 作業の流れがツールに組み込まれているため、引き継ぎや教育の負担を減らしやすい

自分たちで仕組みを作る場合との違いについて、先ほどと同じインタビューでは次のように語られています。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
サービス自体が継続的にアップデートされているため、自社で一から内製するよりも、開発・運用・改善にかかるコストを大きく抑えられるのではないでしょうか。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

効率化したい業務によって、適したツールは変わります。記帳や領収書・請求書の読み取りなら、会計ソフトに備わるAI機能で対応できる場合もあります。一方、月次報告や経営分析、予実管理まで効率化したい場合は、業務に特化したツールを検討するとよいでしょう。

専用ツールを取り入れれば、定型作業の時間を減らし、経営相談や提案など人が担う仕事に時間を使いやすくなります。

税理士事務所を差別化するなら「metrics」

月次報告や経営分析の流れを整えたい場合は、当社が開発・運営する「metrics」もご検討ください。

metricsは、会計データを分かりやすく整理し、経営判断に必要な数字をいつでも確認できるクラウド経営分析ツールです。全国の税理士法人・会計事務所をはじめ、BPO事業を手がける企業にもご利用いただいています。

本記事で見てきたように、AIに置き換わりにくいのは、経営者の状況を踏まえて一緒に考え、判断する仕事です。metricsは、そのために必要なデータの整理や分析、資料作成といった事前準備を効率化します。

2026年のアップデートではAI機能も強化され、AI CFOとのやり取りを通じて、予算管理やダッシュボードの作成まで進められるようになりました。

主な特徴は次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsでは、顧問先ごとに確認したい数字をダッシュボードにまとめて表示できます。一度設定しておけば最新の会計データが反映されるため、月次報告のたびにExcelで資料を作り直す必要がありません。

売上や費用、キャッシュの動きはグラフで表示でき、損益分岐点や利益の増減、月ごとの売上の偏り、貸借対照表の変化などもわかりやすく確認できます。

気になる数字があれば、その場で仕訳の明細まで確認できます。「持ち帰って調べます」となる場面を減らし、面談中に原因を確認したうえで、次にどうするかまで話を進めやすい点も特徴です。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字を確認するだけでなく、今のまま進んだ場合に売上や利益がどの程度になりそうかまで見通せます。AIサポートや入力ヘルパーを使って予算を入力すると、損益の見込みもその場で更新されるため、経営者と同じ画面を見ながら来期の計画を考えられます。

細かく予算を作る時間が取れない場合は、「自動予測」モードも利用できます。過去の実績をもとに期末の着地を自動で見積もるため、まず大まかな見通しを確認したいときにも使いやすい機能です。

作成した予算と自動予測は、ダッシュボード上ですぐに切り替えて確認できます。目標に対する進み具合や勘定科目ごとの増減も継続して追えるため、計画とのズレに早めに気づき、その後の対応を考えやすくなります。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データを読み取り、確認すべき数字や気になる変化を整理するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。分析だけでなく、ダッシュボードの作成や予算案づくりまで進められるため、経営者との面談前に必要な準備を減らせます。

顧問先ごとに見るべき指標や確認の順番、業界ごとのチェック項目なども登録できる点も特徴です。これまで担当者の経験に頼っていた見方を事務所内で共有しやすくなり、担当変更や引き継ぎの際にも、これまでの確認方法を残しておけます。

「売上と費用を並べて見たい」「来期は売上を20%伸ばしたい」と伝えると、その内容に合わせてダッシュボードや予算案を作成できます。経験が浅いスタッフでも確認すべき点を押さえやすくなり、分析のばらつきを抑えながら、顧問先への提案につなげやすくなるでしょう。

実際の操作画面は、次のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsはfreeeマネーフォワードとAPI連携しており、連携を許可するだけで仕訳や帳票を取り込み、勘定科目とキャッシュフロー項目の対応まで自動で設定できます。科目をひとつずつ手作業で設定する必要がないため、導入時の手間を抑えられます。

初回の連携では、過去分を含むすべての期間のデータをまとめて取得します。そのため、過去の会計データを別途整理して取り込む必要もなく、連携後はすぐにダッシュボードで数字を確認できます。

データはその後も定期的に自動更新されるため、月次面談のたびに会計ソフトから数字を取り出して資料を作り直す必要がありません。導入時の設定だけでなく、使い始めた後のデータ更新にかかる手間も減らせます。

AIを取り入れながら、顧問先への提案や経営支援をさらに充実させたい方は、まず無料デモでmetricsの画面や使い方をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

税理士事務所へのmetrics導入事例

metricsを導入した税理士事務所では、面談準備やレポート作成の手間を減らし、顧問先との話し合いや提案に使う時間を増やしています。

実際に業務がどのように変わったのか、4つの事務所の事例を見ていきます。

  • 伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

  • エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

  • スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

  • みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

項目

内容

課題

面談前の準備方法やかかる時間が担当者によって異なり、進め方が統一されていなかった

取り組み

面談前に「metricsで作成したウィジェットを確認する」という手順を決めた

成果

準備時間を大幅に短縮。担当者が変わっても、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げるようになった

伊藤会計事務所様で課題となっていたのは、面談前の準備をそれぞれの担当者のやり方に任せていたことでした。何をどこまで確認するかが決まっていなかったため、経験の浅いスタッフほど準備に時間がかかり、事務所全体の業務にも影響が出ていました。

そこで、面談前に確認する内容と順番をあらかじめ決め、metricsで作成したウィジェットを順に確認すれば準備が進められる形にしました。担当者の経験にかかわらず、必要な情報を確認しやすくなり、準備にかかる時間も減らせます。

担当者が変わった場合も、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げます。誰が担当しても同じ流れで準備できるようになり、面談前の負担を減らしながら、報告内容のばらつきも抑えられるようになりました。

エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

項目

内容

課題

経験の浅い担当者ほど、過去や現在の数字の説明に時間がかかっていた

取り組み

面談で使うウィジェットを全社で統一し、必要な情報を整理した

成果

誰が担当しても一定水準で報告でき、将来について話す時間が増えた

エンジョイント税理士法人様では、クライアントとの面談を「過去→現在→未来」という流れで進めることを大切にしていました。しかし、試算表を中心にした従来の報告では、経験の浅い担当者ほど過去や現在の数字を説明するだけで時間がかかり、将来の話まで進めないことが課題でした。

そこで、面談で使うウィジェットを全社で統一し、誰が担当しても同じ流れで報告できるようにしました。あわせて、普段の業務でもmetricsでの報告を意識して必要な情報を整えることで、面談前の準備から報告まで進めやすい形にしています。

その結果、担当者の経験による報告内容のばらつきが減り、経験の浅いメンバーでも重要な数字を押さえて説明しやすくなりました。過去や現在の確認だけで終わる面談が減り、経営上の課題や今後の方向性について話す時間を取りやすくなりました。

スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

項目

内容

課題

試算表の提供にとどまり、数字を経営判断や資金調達に生かしにくかった

取り組み

freeeの各種情報をmetricsと連携し、レポートへ自動反映した

成果

面談準備の手間が減り、経営提案や資金調達の支援に集中できた

スタートアップ税理士法人様では、経理代行として試算表を渡した後、その数字を経営判断や資金調達にどう生かすかまで十分に支援できていませんでした。そのため、経営者から見ると経理代行が「必要なコスト」と受け取られやすく、経営に役立つサービスとしての価値を伝えにくいことが課題でした。

そこで、freeeに登録した部門・品目・取引先などの情報をmetricsと連携し、会計ソフトへの入力内容がそのままレポートに反映されるようにしました。担当者が毎回データを加工しなくても最新の数字を確認できるため、面談前の資料作成や確認にかかる手間を減らせます。

数字の動きが分かりやすく表示されることで、作成した画面をそのまま経営者との打ち合わせにも使えるようになりました。定例会議では数字の報告だけでなく、経営や資金調達について具体的に話す時間が増え、税理士や社労士などグループ内の専門家が連携した提案にもつながっています。

みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

項目

内容

課題

財務分析とレポート作成に時間がかかり、担当者によるばらつきもあった

取り組み

API連携とウィジェット統一、AI CFOで分析を効率化した

成果

作成時間を約3分に短縮し、支援先の成果向上と担当社数の拡大につながった

みらいと税理士法人様で課題となっていたのは、財務分析とレポート作成に多くの時間がかかっていたことです。1社あたり1〜2時間、月次では最大30時間を費やしており、業種に合った分析ができるかどうかも担当者の経験に左右されていました。時間をかけて資料を作っても、面談が数字の説明だけで終わってしまうこともありました。

そこで、会計ソフトとのAPI連携でデータの取得・更新を自動化し、面談で使うウィジェットも統一しました。さらにAI CFOを使うことで、「なぜこの数字が下がっているのか」といった疑問をその場で確認しながら、数値の変化を詳しく見られるようになりました。

その結果、1〜2時間かかっていたレポート作成は約3分まで短縮されています。面談でも「人をもう一人雇ったらどうなるか」といった将来の話まで進めやすくなり、支援中の5社すべてが最高売上を更新しました。担当できる顧問先も、5社から10社程度まで増やせる見通しです。

まとめ

本記事では、AIの種類から、税理士業務への影響、具体的な活用方法、事務所への取り入れ方まで解説しました。

AIに置き換わりつつあるのは、記帳や領収書・請求書の読み取りなど、手順が決まっていて人の判断があまり必要ない作業です。

一方、経営者への助言や複雑な税務判断、税務調査への対応、顧問先との信頼関係づくりは、今後も人が担う部分として残るでしょう。税理士という仕事がなくなるのではなく、仕事の中身が変わっていくと考えるのが自然です。

また、AIの利用は顧問先となる事業者にも広がっています。経営者自身がAIで情報を調べられるようになるなか、作業を代行するだけでは、税理士としての価値を伝えにくくなっていくでしょう。

AIは、まず普段の業務で試し、同じような作業を繰り返すようになったら、自動化や専用ツールの導入を考える流れでも十分です。

すべてを一度に変えるのではなく、毎月繰り返している作業からひとつずつ試し、生まれた時間を経営相談や提案など、人にしかできない仕事に使っていくことが大切です。

「AIで税理士の仕事はなくなる」という話を耳にし、不安を感じたことがある方もいるのではないでしょうか。

AIによって置き換わりつつあるのは、税理士という仕事そのものではなく、記帳や証憑の読み取りなど、一定のルールに沿って進められる作業です。

経営者それぞれの事情を踏まえたサポートや、税務調査への対応のように、状況に応じた判断や責任が求められる仕事は、今後も人が担う部分として残っていくでしょう。

本記事では、AIの種類を押さえたうえで、なぜ「税理士の仕事がなくなる」と言われるのか、AIに任せやすい業務と任せにくい業務、具体的な活用例、事務所への取り入れ方まで順に解説します。

AIをどこまで、どのように取り入れるべきか迷っている税理士の方は、ぜひ参考にしてください。

経営支援ツールで付加価値を創出
metricsは、税理士・中小企業向けのAIが搭載されたクラウド経営分析ツールです。
freeeやマネーフォワードとのAPI連携で財務データを自動取得し、月次レポートの作成や顧問先への経営報告をスムーズにします。
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そもそも「AI」にはどんな種類があるのか

AIにはさまざまな種類があり、それぞれ得意なことが異なります。まずは、税理士業務で使われるAIを「何ができるか」という視点で3つに分けて見てみましょう。

種類

内容

活用例

代表例

チャット型AI

指示に応じて、文章や回答を返してくれるAI

文章作成、要約、アイデア出し、調べもの

ChatGPT、Gemini、Claude

AIエージェント

複数の作業を順番に進めてくれる仕組み

定型業務の自動化、数値チェック、レポートの下書き

Claude Code、各種業務自動化エージェント

AIツール/AI機能

ソフトに組み込まれているAI機能

証憑の読み取り、自動仕訳、データの照合

freee、マネーフォワードなどのAI-OCR・自動仕訳

この3つは、どれかひとつを選ぶのではなく、業務に合わせて使い分けます。たとえば、調べものや文章作成はチャット型AI、繰り返し行う作業はAIエージェントに任せる、証憑の読み取りは会計ソフトのAI機能、といった使い方です。

チャット型AI:文章生成・分析を行う汎用AI(ChatGPT・Geminiなど)

ChatGPTやGemini、Claudeなどに代表されるチャット型AIは、質問や指示を入力すると、その内容に合わせて文章や回答を返してくれるAIです。特定の業務だけに使うものではなく、必要なときにその都度使えるのが特徴です。

たとえば税理士業務では、次のような場面で使えます。

  • 制度の概要をつかむための下調べに使う

  • 顧問先へ送るメールや案内文のたたき台を作る

  • 長い議事録や資料を要点だけに絞って要約する

ChatGPTに税務上の制度や要件について質問すれば、関連する論点や実務上の注意点を整理した回答を得られます。

得意なのは、文章を一から作ることと、長い文章を短くまとめることです。一方で、入力していない情報まで自動で確認してくれるわけではありません。

無料で試せるサービスも多いため、3つのなかでは最も始めやすい方法です。

AIエージェント:複数の作業を自律的に遂行するAI

AIエージェントは、1回の質問に答えて終わるのではなく、目的に合わせて複数の作業を順番に進めていくAIです。チャット型AIが「質問に答えるAI」であるのに対し、AIエージェントは「実際の作業まで進めるAI」です。

たとえば、次のような作業を任せられます。

  • 受け取った請求書PDFが入ったフォルダを自動で読み取り、内容を確認して仕訳データを作る

  • 顧問先ごとの月次数値を媒体を横断して集め、決められた項目に沿って異常がないか確認する

  • 毎月作成するレポートを、決められた手順に沿って下書きまで作る

Claude Codeではファイルの内容を読み取ったうえで、必要な情報を整理・集計し、結果を別のファイルとしてまとめるといった一連の作業を進められます。

AIエージェントに任せやすいのは、作業の手順や確認するポイントがはっきりしている業務です。反対に、担当者の経験や感覚に頼っていて、手順が決まっていない業務は、そのまま任せるのが難しくなります。

3つのなかでは導入にやや手間がかかりますが、繰り返し作業をまとめて任せられるため、うまく使えば業務効率を大きく高められます。

AIツール/AI機能:特定業務に組み込まれた自動化機能(OCR・自動仕訳など)

3つ目は、会計ソフトなどにあらかじめ組み込まれているAI機能です。新しく仕組みを作らなくても、ソフトに用意された機能をそのまま使える点が、チャット型AIやAIエージェントとの違いです。

代表的なものには、次のような機能があります。

  • 領収書や請求書を読み取ってデータ化するAI-OCR

  • 過去の仕訳をもとに勘定科目を提案する自動仕訳

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、仕訳候補を出す機能

たとえば、freee会計ではスマートフォンで撮影した領収書や請求書を読み取り、日付・金額・取引先などの情報を自動でデータ化できます。

引用・参照:「【Android】会計アプリでレシート類をスマホのカメラで取り込む」ヘルプセンター

手軽に使える一方で、できることはソフトに用意されている範囲に限られるため、事務所独自のやり方に細かく合わせたい場合には、対応しきれないこともあります。

まずは、現在使っている会計ソフトにどのようなAI機能があるかを確認してみるとよいでしょう。

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われる背景

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われるようになった背景には、AIやクラウド会計の進化があります。

また、これまで人が行っていた作業の一部を自動化できるようになったことに加え、「士業はAIに置き換わる」という話が広く取り上げられるようになったことも背景です。

  • クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

  • 士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

背景にあるのは、税理士事務所だけでなく、顧問先となる事業者の間でもクラウド会計やAIの利用が広がっていることです。

弥生株式会社が2026年に実施した調査では、確定申告に関する業務でAIを利用している個人事業主の割合は全体では約5人に1人、40代未満では約2人に1人がAIを利用していることがわかります。

年代

確定申告関連業務でAIを利用している割合

全体

19.6%(前年比+5.3pt)

40代未満

47.8%

40代

30.5%

50代

18.2%

60代

6.3%

70代

5.3%

引用・参照:「個人事業主向け確定申告課題調査2026」弥生株式会社

また、クラウド会計と生成AIを組み合わせて定型業務を自動化している税理士事務所もあります。

スタッフを置かずに約60社の顧問先を担当し、毎晩21時にfreeeの未処理明細をまとめて確認・登録する仕組みを構築している事例です。

登録したキーワードで勘定科目を判定し、判断できない取引だけをClaude APIに確認させるなど、複数の処理を組み合わせて仕訳業務を進めています。

引用・参照:「累計700万インプの内側 スタッフ0人で60社を回す税理士が、Claude Code導入の2ヶ月でやったこと全部」畠山謙人│AI税理士 / 自走するバックオフィス

士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

「税理士をはじめとする士業はAIに代替されるのではないか」という見方がメディアを通じて広がっていることも、「税理士の仕事はなくなる」と言われる背景のひとつです。

弁護士ドットコム株式会社が2025年に発刊した「士業DX白書2025」では、一般消費者1,030人を対象に、税理士や弁護士、公認会計士など7士業について調査しています。その結果、「AIに代替されると思う士業」では税理士が7つの士業のなかでトップとなりました。

引用・参照:「士業DX白書2025」弁護士ドットコム株式会社

こうした調査結果やAIの進化がメディアなどで取り上げられることで、「税理士=AIに代替される仕事」というイメージが広がりやすくなっています。

ただし、これらのデータは「税理士という職業そのものがなくなる」ことを示しているわけではありません。実際には、記帳や仕訳などの定型業務を中心にAIによる自動化が進み、税理士に求められる仕事の内容が変化していると考えるほうがよいでしょう。

実際にAIに代替される業務・されない業務

税理士の仕事すべてが、AIに置き換わるわけではなく、AIに任せやすい業務と、人による判断や対応が必要な業務には違いがあります。ここではそれぞれ具体的に見ていきます。

  • AIに代替されやすい業務

  • AIに代替されにくい業務

AIに代替されやすい業務

AIに置き換わりやすいのは、手順が決まっていて、同じ作業を繰り返す業務です。

とくに、記帳やデータ入力など、人による判断があまり必要ない作業は自動化が進みやすいと考えられます。

  • 記帳・仕訳などのデータ入力

  • 領収書・請求書の読み取り(OCR)

  • 定型的な税務書類の作成

記帳・仕訳などのデータ入力

日々の記帳や仕訳入力は、比較的早い段階から自動化が進んできた業務です。

現在では、次のような作業を会計ソフトやAIに任せられるようになっています。

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む

  • 摘要や取引先名から勘定科目を推測し、仕訳の候補を出す

  • 一度登録した仕訳ルールをもとに、次回以降の処理を自動化する

  • 毎月同じ内容で発生する取引を、登録済みのルールでまとめて処理する

前章で紹介した事務所では、まずキーワードで仕訳を判定し、当てはまらないものだけをAIに確認させる仕組みを使っていました。すべてをAIに任せるのではなく、単純なものはルールで処理し、判断が必要なものだけAIに回しています。

ただし、内容だけでは判断できない取引や、顧問先への確認が必要な取引は残ります。自動化は、すべてをAIに任せるためではなく、人が確認すべき取引を減らすために使うものと考えましょう。

領収書・請求書の読み取り(OCR)

領収書や請求書の読み取り・データ化は、すでに多くの事務所で使われている方法です。具体的には、次のような作業に活用されています。

  • スマートフォンで撮影した領収書から、日付・金額・取引先を読み取る

  • PDFで届いた請求書を取り込み、そのままデータ化する

  • 読み取った内容を仕訳の入力欄に反映する

  • 電子帳簿保存法の要件に沿って保存し、後から検索できるようにする

読み取りの正確さは書式によって差があります。手書きの領収書や独自の形式で作られた請求書は読み取りミスが起きやすいため、金額や日付など重要な項目は人が確認することが欠かせません。

また、実務では読み取りそのものよりも、顧問先から証憑を集めたり、不足している資料を確認したりする作業のほうが手間として残りやすいでしょう。

定型的な税務書類の作成

様式や入力項目が決まっている税務書類は、AIや会計ソフトで作成を進めやすい業務です。

たとえば、書類の作成や確認では次のような使い方ができます。

  • 会計データをもとに、申告書の各欄へ数値を転記する

  • 法人設立届出書や青色申告承認申請書など、決まった様式の書類を作成する

  • 決算書と申告書の数値に食い違いがないか確認する

  • 過去年度と比べて、入力漏れや不自然な数値がないか確認する

一方で、個別事情を踏まえた税務上の判断や、例外的な処理への対応まで自動化できるとは限りません。また、AIが書類を作成した後は、その内容が本当に正しいかを人が判断しましょう。

「書類の作成はAIに任せ、税理士は内容の確認と判断に集中する。」今後は、こうした分担が増えていくと考えられます。

AIに代替されにくい業務

AIに置き換わりにくいのは、相手の状況をくみ取りながら、その場に応じた判断が求められる業務です。

AIの活用が進んでも、目的・ゴールの設定、生成物のレビュー、最終的に判断して責任を負うことは、人が担う部分として残ると考えられます。

  • 経営判断に関わるコンサルティング

  • 複雑な税務判断・税務調査対応

  • 顧問先との信頼関係構築

経営判断に関わるコンサルティング

同じ数字を見ていても、経営者の状況や考え方によって、必要なサポート内容は変わります。たとえば、次のような場面では、数字だけでなく経営者本人の意向まで踏まえて考える必要があります。

  • 設備投資のタイミングと、資金調達の組み合わせを検討する

  • 役員報酬の水準を、税負担と資金繰りの両面から考える

  • 事業承継の進め方を、家族関係や後継者の意向を踏まえて決める

  • 採算の合わない事業から撤退すべきか、経営者と一緒に判断する

AIは一般的な選択肢や考え方を示すことはできますが、その経営者が何を大切にしているかまで正確にくみ取るのは難しいです。長年続けてきた事業をやめる判断や、親族間の感情が関わる事業承継などは、数字だけで答えを出せるものではありません。

AIには選択肢の整理や比較を任せ、最終的にその会社に合った答えを決めるのは人が担う、という使い方がよいでしょう。

複雑な税務判断・税務調査対応

税務では、条文だけでは判断しきれず、個別の事情や過去の事例まで踏まえて考える場面があります。とくに、次のような業務では、税理士の知識や経験をもとにした判断が必要です。

  • 個別事情に応じて、特例を適用できるかどうかを判断する

  • 過去の裁決事例や立法趣旨に照らし、処理の妥当性を検証する

  • 税務調査に立ち会い、指摘に対して根拠を示しながら説明する

  • 修正申告に応じるか主張を続けるかを、顧問先と話し合って決める

税務の判断は、条文をそのまま当てはめれば答えが出るものばかりではありません。前例が少ないケースや、複数の考え方ができるケースでは、AIの回答だけで判断するのは難しいでしょう。

また、税務調査では、調査官の指摘をその場で確認し、どこまで説明するか、どのような根拠を示すかを判断する必要があります。こうした対応は一律の手順では進めにくく、税理士の経験や判断が重要になる場面もあるでしょう。

顧問先との信頼関係構築

顧問契約が続くかどうかは、処理の正確さだけで決まるものではありません。日々のやり取りのなかで相手の不安や悩みをくみ取り、相談しやすい関係をつくることも大切です。

たとえば、次のような場面では、人との関わりそのものがとくに重要になります。

  • 決算や資金繰りへの不安を、雑談のなかから拾い上げる

  • 言いにくい経営課題を伝えても、受け止めてもらえる関係を保つ

  • 判断に迷っている経営者の背中を押す

  • 社内では相談しにくい悩みの受け皿になる

「この人に相談したい」と思ってもらえるかどうかが、顧問先との関係を左右する場面は少なくありません。こうした信頼関係は、AIだけで築けるものではないでしょう。

その一方で、AIに任せられる作業が増えれば、顧問先と向き合う時間は取りやすくなります。人にしかできない仕事に時間を使うためにも、任せられる作業はAIに任せるという考え方が大切です。

税理士業務におけるAI活用シーンの整理

AIは、記帳や仕訳のような作業だけでなく、顧問先とのやり取りや経営分析、情報収集にも活用できます。

税理士業務でどのように役立つのか、主な活用場面を4つに分けて見ていきましょう。

  • 記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

  • 顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

  • 経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

  • 情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

記帳や仕訳などのバックオフィス業務は、AIによる自動化と相性のよい分野です。

入力や確認にかかる手間を減らす方法として、次のような活用が広がっています。

  • 領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

  • 勘定科目の自動仕訳・判定

  • 会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

AI-OCRを使えば、領収書や請求書に書かれた日付・金額・取引先などを読み取り、会計データとして取り込めます。

大切なのは、読み取りの精度だけでなく、以下のように領収書や請求書をどのように集めるかを決めておくことです。

  • 顧問先にスマホアプリを入れてもらい、その場で撮影・送信してもらう

  • メールで届く請求書は、専用アドレスへ転送するルールにして自動で取り込む

  • 紙の書類は月に一度まとめてスキャンし、フォルダごと取り込む

マネーフォワード クラウド会計では、PDFや画像形式の領収書・請求書をアップロードすれば、OCRで内容を読み取り、会計データとして取り込めます。

引用・参照:「『アップロード』機能の使い方」マネーフォワード クラウド会計

取り込んだデータを担当者が確認・修正する運用まで整えておくと、入力作業の効率化とデータ品質の安定につながります。

勘定科目の自動仕訳・判定

自動仕訳を使えば、取引先名や摘要などの情報から勘定科目や仕訳内容を判定し、その結果をもとに仕訳候補を自動で出せます。

以下のように、よく発生する取引のルールをあらかじめ設定し、判断が必要な取引だけを人が確認する運用にすると、自動仕訳を活用しやすくなるでしょう。

  • 取引先名や摘要のキーワードごとに、対応する勘定科目を登録する

  • 毎月同額で発生する取引は、定期取引としてあらかじめ設定する

  • 自動で判断できなかった取引だけを一覧で確認し、その処理内容を次回以降のルールに反映する

たとえば、マネーフォワード クラウド会計では、AI-OCRで読み取った証憑の内容をもとに仕訳候補を作成し、担当者は提案された内容を確認して登録できます。

引用・参照:「「仕訳候補」画面の使い方(AI-OCRから入力)」マネーフォワード クラウド会計

勘定科目の使い方は、顧問先の業種や取引内容によって異なります。導入直後は確認する件数が多くても、使い続けるうちにルールが増え、手作業で確認する取引は少しずつ減っていくでしょう。

会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

会計ソフトと銀行口座や各種システムを連携すれば、データを自動で取り込み、数字のズレや重複がないかまで確認できます。複数のサービスに分かれているデータを自動で照らし合わせることで、確認作業の手間も減らせるでしょう。

たとえば、次のようにデータ連携を自動化できます。

  • 銀行口座・クレジットカード・決済サービスの明細を自動で取得する

  • 請求管理システムや販売管理システムの売上データと、会計データを照らし合わせる

  • 残高が合わない箇所や、二重計上の可能性がある取引を自動で見つける

マネーフォワード クラウド会計では、銀行口座やクレジットカードなどを会計ソフトと連携すれば、取引明細を自動で取り込み、仕訳候補の作成まで進められます。

引用・参照:「銀行・金融機関連携で経理がラクになる会計ソフト」マネーフォワード クラウド会計

こうした確認まで自動化できれば、担当者がすべての数字をひとつずつ見比べる必要はありません。問題がある箇所だけを確認し、その原因を調べることに時間を使えるようになります。

顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

AIは、顧問先とのやり取りそのものを代わるのではなく、問い合わせへの回答準備や面談内容の整理、資料作成といった周辺作業をサポートする用途に向いています。

こうした作業をAIに任せることで、顧問先への説明や提案に使う時間を確保しやすくなります。

  • 顧問先からの問い合わせ対応

  • 面談記録・議事録の自動作成

  • 提案資料・レポートの下書き作成

顧問先からの問い合わせ対応

顧問先からの問い合わせでは、よくある質問への返信案をAIに作ってもらうことで、文章を一から考える手間を減らせます。

次のように、過去のやり取りや顧問先の情報をもとに、返信文の作成や説明内容の整理といった作業をAIに任せられます。

  • 過去の回答メールを参考に、同じ内容の質問への返信案を作る

  • 専門用語を含む説明を、経営者にも分かりやすい表現に書き換える

  • 制度の一般的な説明と、その顧問先に関係する内容を分けて整理する

  • よくある質問と回答をまとめ、事務所内で共有する

たとえば、ChatGPTでは顧問先の月次データを読み込ませ、数値の変化を踏まえた問い合わせへの返信案を作成することも可能です。

注意したいのは、AIが作った回答をそのまま顧問先へ送らないことです。たとえば税法の解釈が関わる内容は、AIには返信の下書きまでを任せ、最終的な内容は税理士自身で確認する必要があります。

面談記録・議事録の自動作成

AIを使えば、面談の録音や録画から文字起こしを行い、議事録や要点の整理までまとめて進められます。

具体的には、面談内容の記録から要点整理、その後の共有まで、次のような作業をAIで効率化できます。

  • オンライン面談の録音・録画から、文字起こしと要約を自動で作る

  • 決定事項・宿題・次回までの確認事項に分けて整理する

  • 顧問先へ送る報告メールの文面まで、続けて下書きする

たとえば、ChatGPTへ面談の文字起こしデータを読み込ませれば、決定事項や宿題、次回までの確認事項などに分けた議事録の作成が可能です。

面談中にメモを取る量が減れば、相手の話に集中しやすくなります。記録の形式もそろえやすいため、担当者が変わったときの引き継ぎにも使えるでしょう。ただし、録音する場合は、事前に顧問先の同意を得ておきましょう。

提案資料・レポートの下書き作成

AIを使えば、決算報告や月次レポート、サービス案内などのたたき台を作り、資料作成にかかる時間を減らせます。

具体的には、資料の構成づくりから数値に対するコメントの整理まで、次のようにAIで効率化できます。

  • 決算報告や月次報告の構成案を作る

  • 数値の推移をもとに、資料へ載せるコメントの候補を出す

  • 事務所のサービス案内や、顧問料改定の説明資料をまとめる

  • セミナー資料の構成と、話す内容のメモを作る

Claude Codeで過去に作成した資料を読み込ませれば、構成や表現を参考にしながら、新しい提案資料やレポートのたたき台作成が可能です。

過去に作った資料を参考として読み込ませておくと、事務所で普段使っている言い回しに近い下書きを作りやすくなります。毎月ほぼ同じ形式で作る資料なら、以前の資料を見本として使う方法もあります。

経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

AIは、経営分析や予算管理でも、数字の整理や比較、将来の見通しを考えるための材料づくりに活用できます。

これまで時間がかかっていた分析や情報収集を効率化することで、税理士は顧問先への提案や判断により時間を使いやすくなるでしょう。

  • 財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

  • 予算策定・着地予測のシミュレーション

  • 補助金・助成金情報の収集と提案への活用

財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

財務データをAIで分析すると、数値の変化を見つけ、経営上の気になる点や月次報告に使うコメント案まで整理できます。

以下のように前月や前年と比べて大きく動いた数字を確認する作業は、自動化しやすい部分です。

  • 前月・前年同月と比較し、変化の大きい科目を見つける

  • 粗利率や固定費率の推移から、確認したい指標を絞り込む

  • 月次報告に載せるコメント案を、指標ごとに作る

  • 業種ごとのチェック項目に沿って、見落としがないか確認する

こうした分析には、専用ツールを使う方法もあります。当社が開発・運営するクラウド経営分析ツール「metrics」には、経営データの分析を支援する「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数値の大きな変化を見つけたり、確認すべきポイントを整理したりする点が特徴です。

顧問先ごとの確認方法や業種特有のチェック項目をあらかじめ設定しておけば、担当者が変わっても、事務所でこれまで培ってきた見方や確認方法を引き継ぎやすくなります。

予算策定・着地予測のシミュレーション

予算策定や着地予測では、過去の実績をもとに将来の売上や利益を見込み、条件を変えながら複数のケースを比較できます。

具体的には、過去の実績や予算データをもとに、将来の着地予測や条件を変えたシミュレーションなど、次のような検討に活用できます。

  • 過去の実績から、期末の売上や利益がどの程度になりそうか予測する

  • 売上を10%伸ばした場合や、人を1人増やした場合など、条件を変えて比較する

  • 予算と実績の差を月ごとに確認し、ズレが生じた原因を探る

  • 経営者の希望をもとに、予算案のたたき台を作る

metricsの予算管理画面では、数字を入力するたびに損益の見込みがその場で更新されることも特徴です。細かく予算を組む時間が取れない場合は、過去の実績をもとに期末の着地を見積もる「自動予測」モードを使う方法もあります。

経営者と同じ画面を見ながら数字を変えていけば、いくつかの選択肢をその場で比べながら、次に取るべき行動を考えやすくなります。

補助金・助成金情報の収集と提案への活用

補助金や助成金の情報収集では、顧問先の条件に合う制度を探し、申請要件や必要書類を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような使い方ができるでしょう。

  • 顧問先の業種・所在地・規模に合う制度を探す

  • 公募要領を読み込み、要件や必要書類を分かりやすく整理する

  • 締切や申請の流れを、スケジュールにまとめる

  • 事業計画書の構成案や、記載内容の下書きを作る

たとえば、Claude Codeで顧問先の所在地や業種、従業員数などの条件を指定すれば、利用できる可能性のある補助金・助成金を調べ、対象者や主な要件、申請期限などを一覧で整理できます。

ただし、補助金や助成金の情報は変更されることがあります。AIが古い内容をもとに回答する可能性もあるため、申請前には必ずjGrantsやミラサポplus、各自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

AIは、税制改正や業界動向など、量の多い情報から必要な内容を探して整理する作業にも向いています。

情報収集にかかる時間を減らせれば、内容の確認や顧問先への説明に時間を回しやすくなるでしょう。

  • 最新の税制改正・通達のキャッチアップ

  • 業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

最新の税制改正・通達のキャッチアップ

税制改正や通達の確認では、長い資料から必要な部分を抜き出し、改正内容や影響を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような作業にAIを活用できます。

  • 税制改正大綱や通達のPDFを読み込ませ、要点を項目ごとにまとめる

  • 改正前と改正後の違いを、表にして比較する

  • 自事務所の顧問先のうち、どの業種や規模に影響があるか整理する

  • 影響を受ける顧問先へ送る案内文を、改正内容に沿って作る

たとえば、ChatGPTに税制改正大綱などのPDFを読み込ませれば、改正前後の違いや対象者を項目ごとに整理し、比較しやすい形でまとめられます。

ただし、施行日や経過措置など、細かい条件までAIの要約だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。まず要約で内容をつかみ、実務に関わる部分は条文や国税庁などの公式資料で確認することが大切です。

業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

業界の動きや他事務所の事例を調べる際にも、必要な情報を集めて比較し、自事務所の参考になりそうな点を整理するためにAIを活用できます。

以下のように幅広い事例を確認できるため、検索や情報整理にかかる時間を減らせるでしょう。

  • 特定の分野に強い事務所を探し、サービス内容や料金体系を一覧にする

  • 会計業界のニュースを定期的に集め、要点をまとめる

  • SNSで話題になっている取り組みを探し、共通する特徴を整理する

  • 自事務所のサービスに取り入れられそうな点を探す

たとえば、Claude Codeで調べたいテーマや期間を指定すれば、会計・税理士業界の動向や他事務所の取り組み事例を収集し、概要や参考にできるポイントを整理できます。

調べた事例は、そのまま取り入れるのではなく、自事務所の顧客層や強みに合うかを見極めることが大切です。定期的に情報を整理しておけば、サービス改善や新しい施策を考える際の材料としても活用できます。

これまで見てきた活用方法を踏まえ、次の章では、実際にAIを取り入れるには何から始めればよいのかを3つの段階に分けて紹介します。

AIの取り入れ方:3つのレベル

AIを取り入れたいと思っても、事務所によって始めやすい方法は異なります。

ここでは自分で使うだけなのか、事務所で仕組みを作るのか、でき上がったツールを導入するのかという違いで3つに分けて考えます。

3つはどれかひとつを選ぶものではなく、業務ごとに組み合わせて使うようにしましょう。

  • スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

  • 自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

  • 導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

まず始めやすいのが、必要なときにチャット型AIへ質問したり、下書きを作ってもらったりする使い方です。ChatGPTGeminiClaudeなど選択肢が多く、無料で試せるサービスもあります。

チャット型AIには、次のような特徴があります。

  • 契約や細かな設定がほとんどなく、すぐに始められる

  • メール作成、資料の要約、制度の下調べなど、幅広い業務に使える

  • 合わなければ利用をやめやすく、導入時の負担も小さい

前章で紹介した活用例のうち、メールや資料作成、情報整理などは、この方法から始められます。まずは普段の業務で使ってみて、どの仕事に役立つのかを確かめるとよいでしょう。

一方で、使う人によって結果に差が出やすい点には注意が必要です。同じAIでも、質問や指示の内容によって返ってくる回答は変わります。

また、使い方が個人任せのままだと、便利な方法が事務所内に広がりにくいという課題もあります。

自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

繰り返し発生する業務を、AIエージェントを使って自分たちで自動化する方法です。事務所のやり方に合わせて細かく調整できる一方、仕組みを作った後の改善や管理も自分たちで行う必要があります。

前章の事務所では、顧問先60社分の仕訳処理を自動化し、AIに任せる業務と人が判断する業務を明確に分けていました。「税務判断は人に回す」といったルールも設定しています。

また、最初から完成形を目指さず、問題が出るたびにルールを追加して改善していく運用が重要です。

ただし、この方法では、仕組みを作るだけでなく、その後の管理や改善も事務所側で行わなければなりません。ある程度の知識も必要になるため、誰でもすぐに取り入れられる方法とは言いにくいでしょう。

当社metrics導入事例のインタビューでも、次のような声が聞かれました。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
最初に作ることはできても、改善し続けること、複数のお客様に安定して展開すること、日々の業務の中で運用し続けることまで考えると、負担が大きいと感じます。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

一方で、日々繰り返している業務について、どの順番で進め、どこで確認が必要なのかを整理できれば、自動化を考える準備になります。こうして業務の流れを整理しておくことは、次に紹介する専用ツールを選ぶ際にも役立ちます。

導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

すでに用意されている専用ツールを導入し、決まった業務を効率化する方法です。仕組みを一から作る必要がなく、開発や保守は提供元が行うため、事務所側は初期設定と使い方を覚えるところから始められます。

具体的には次のようなメリットがあります。

  • 初期設定を済ませれば、担当者が変わっても同じ流れで使いやすい

  • 機能の改善やアップデートを、自分たちで対応する必要がない

  • 作業の流れがツールに組み込まれているため、引き継ぎや教育の負担を減らしやすい

自分たちで仕組みを作る場合との違いについて、先ほどと同じインタビューでは次のように語られています。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
サービス自体が継続的にアップデートされているため、自社で一から内製するよりも、開発・運用・改善にかかるコストを大きく抑えられるのではないでしょうか。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

効率化したい業務によって、適したツールは変わります。記帳や領収書・請求書の読み取りなら、会計ソフトに備わるAI機能で対応できる場合もあります。一方、月次報告や経営分析、予実管理まで効率化したい場合は、業務に特化したツールを検討するとよいでしょう。

専用ツールを取り入れれば、定型作業の時間を減らし、経営相談や提案など人が担う仕事に時間を使いやすくなります。

税理士事務所を差別化するなら「metrics」

月次報告や経営分析の流れを整えたい場合は、当社が開発・運営する「metrics」もご検討ください。

metricsは、会計データを分かりやすく整理し、経営判断に必要な数字をいつでも確認できるクラウド経営分析ツールです。全国の税理士法人・会計事務所をはじめ、BPO事業を手がける企業にもご利用いただいています。

本記事で見てきたように、AIに置き換わりにくいのは、経営者の状況を踏まえて一緒に考え、判断する仕事です。metricsは、そのために必要なデータの整理や分析、資料作成といった事前準備を効率化します。

2026年のアップデートではAI機能も強化され、AI CFOとのやり取りを通じて、予算管理やダッシュボードの作成まで進められるようになりました。

主な特徴は次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsでは、顧問先ごとに確認したい数字をダッシュボードにまとめて表示できます。一度設定しておけば最新の会計データが反映されるため、月次報告のたびにExcelで資料を作り直す必要がありません。

売上や費用、キャッシュの動きはグラフで表示でき、損益分岐点や利益の増減、月ごとの売上の偏り、貸借対照表の変化などもわかりやすく確認できます。

気になる数字があれば、その場で仕訳の明細まで確認できます。「持ち帰って調べます」となる場面を減らし、面談中に原因を確認したうえで、次にどうするかまで話を進めやすい点も特徴です。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字を確認するだけでなく、今のまま進んだ場合に売上や利益がどの程度になりそうかまで見通せます。AIサポートや入力ヘルパーを使って予算を入力すると、損益の見込みもその場で更新されるため、経営者と同じ画面を見ながら来期の計画を考えられます。

細かく予算を作る時間が取れない場合は、「自動予測」モードも利用できます。過去の実績をもとに期末の着地を自動で見積もるため、まず大まかな見通しを確認したいときにも使いやすい機能です。

作成した予算と自動予測は、ダッシュボード上ですぐに切り替えて確認できます。目標に対する進み具合や勘定科目ごとの増減も継続して追えるため、計画とのズレに早めに気づき、その後の対応を考えやすくなります。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データを読み取り、確認すべき数字や気になる変化を整理するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。分析だけでなく、ダッシュボードの作成や予算案づくりまで進められるため、経営者との面談前に必要な準備を減らせます。

顧問先ごとに見るべき指標や確認の順番、業界ごとのチェック項目なども登録できる点も特徴です。これまで担当者の経験に頼っていた見方を事務所内で共有しやすくなり、担当変更や引き継ぎの際にも、これまでの確認方法を残しておけます。

「売上と費用を並べて見たい」「来期は売上を20%伸ばしたい」と伝えると、その内容に合わせてダッシュボードや予算案を作成できます。経験が浅いスタッフでも確認すべき点を押さえやすくなり、分析のばらつきを抑えながら、顧問先への提案につなげやすくなるでしょう。

実際の操作画面は、次のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsはfreeeマネーフォワードとAPI連携しており、連携を許可するだけで仕訳や帳票を取り込み、勘定科目とキャッシュフロー項目の対応まで自動で設定できます。科目をひとつずつ手作業で設定する必要がないため、導入時の手間を抑えられます。

初回の連携では、過去分を含むすべての期間のデータをまとめて取得します。そのため、過去の会計データを別途整理して取り込む必要もなく、連携後はすぐにダッシュボードで数字を確認できます。

データはその後も定期的に自動更新されるため、月次面談のたびに会計ソフトから数字を取り出して資料を作り直す必要がありません。導入時の設定だけでなく、使い始めた後のデータ更新にかかる手間も減らせます。

AIを取り入れながら、顧問先への提案や経営支援をさらに充実させたい方は、まず無料デモでmetricsの画面や使い方をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

税理士事務所へのmetrics導入事例

metricsを導入した税理士事務所では、面談準備やレポート作成の手間を減らし、顧問先との話し合いや提案に使う時間を増やしています。

実際に業務がどのように変わったのか、4つの事務所の事例を見ていきます。

  • 伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

  • エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

  • スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

  • みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

項目

内容

課題

面談前の準備方法やかかる時間が担当者によって異なり、進め方が統一されていなかった

取り組み

面談前に「metricsで作成したウィジェットを確認する」という手順を決めた

成果

準備時間を大幅に短縮。担当者が変わっても、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げるようになった

伊藤会計事務所様で課題となっていたのは、面談前の準備をそれぞれの担当者のやり方に任せていたことでした。何をどこまで確認するかが決まっていなかったため、経験の浅いスタッフほど準備に時間がかかり、事務所全体の業務にも影響が出ていました。

そこで、面談前に確認する内容と順番をあらかじめ決め、metricsで作成したウィジェットを順に確認すれば準備が進められる形にしました。担当者の経験にかかわらず、必要な情報を確認しやすくなり、準備にかかる時間も減らせます。

担当者が変わった場合も、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げます。誰が担当しても同じ流れで準備できるようになり、面談前の負担を減らしながら、報告内容のばらつきも抑えられるようになりました。

エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

項目

内容

課題

経験の浅い担当者ほど、過去や現在の数字の説明に時間がかかっていた

取り組み

面談で使うウィジェットを全社で統一し、必要な情報を整理した

成果

誰が担当しても一定水準で報告でき、将来について話す時間が増えた

エンジョイント税理士法人様では、クライアントとの面談を「過去→現在→未来」という流れで進めることを大切にしていました。しかし、試算表を中心にした従来の報告では、経験の浅い担当者ほど過去や現在の数字を説明するだけで時間がかかり、将来の話まで進めないことが課題でした。

そこで、面談で使うウィジェットを全社で統一し、誰が担当しても同じ流れで報告できるようにしました。あわせて、普段の業務でもmetricsでの報告を意識して必要な情報を整えることで、面談前の準備から報告まで進めやすい形にしています。

その結果、担当者の経験による報告内容のばらつきが減り、経験の浅いメンバーでも重要な数字を押さえて説明しやすくなりました。過去や現在の確認だけで終わる面談が減り、経営上の課題や今後の方向性について話す時間を取りやすくなりました。

スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

項目

内容

課題

試算表の提供にとどまり、数字を経営判断や資金調達に生かしにくかった

取り組み

freeeの各種情報をmetricsと連携し、レポートへ自動反映した

成果

面談準備の手間が減り、経営提案や資金調達の支援に集中できた

スタートアップ税理士法人様では、経理代行として試算表を渡した後、その数字を経営判断や資金調達にどう生かすかまで十分に支援できていませんでした。そのため、経営者から見ると経理代行が「必要なコスト」と受け取られやすく、経営に役立つサービスとしての価値を伝えにくいことが課題でした。

そこで、freeeに登録した部門・品目・取引先などの情報をmetricsと連携し、会計ソフトへの入力内容がそのままレポートに反映されるようにしました。担当者が毎回データを加工しなくても最新の数字を確認できるため、面談前の資料作成や確認にかかる手間を減らせます。

数字の動きが分かりやすく表示されることで、作成した画面をそのまま経営者との打ち合わせにも使えるようになりました。定例会議では数字の報告だけでなく、経営や資金調達について具体的に話す時間が増え、税理士や社労士などグループ内の専門家が連携した提案にもつながっています。

みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

項目

内容

課題

財務分析とレポート作成に時間がかかり、担当者によるばらつきもあった

取り組み

API連携とウィジェット統一、AI CFOで分析を効率化した

成果

作成時間を約3分に短縮し、支援先の成果向上と担当社数の拡大につながった

みらいと税理士法人様で課題となっていたのは、財務分析とレポート作成に多くの時間がかかっていたことです。1社あたり1〜2時間、月次では最大30時間を費やしており、業種に合った分析ができるかどうかも担当者の経験に左右されていました。時間をかけて資料を作っても、面談が数字の説明だけで終わってしまうこともありました。

そこで、会計ソフトとのAPI連携でデータの取得・更新を自動化し、面談で使うウィジェットも統一しました。さらにAI CFOを使うことで、「なぜこの数字が下がっているのか」といった疑問をその場で確認しながら、数値の変化を詳しく見られるようになりました。

その結果、1〜2時間かかっていたレポート作成は約3分まで短縮されています。面談でも「人をもう一人雇ったらどうなるか」といった将来の話まで進めやすくなり、支援中の5社すべてが最高売上を更新しました。担当できる顧問先も、5社から10社程度まで増やせる見通しです。

まとめ

本記事では、AIの種類から、税理士業務への影響、具体的な活用方法、事務所への取り入れ方まで解説しました。

AIに置き換わりつつあるのは、記帳や領収書・請求書の読み取りなど、手順が決まっていて人の判断があまり必要ない作業です。

一方、経営者への助言や複雑な税務判断、税務調査への対応、顧問先との信頼関係づくりは、今後も人が担う部分として残るでしょう。税理士という仕事がなくなるのではなく、仕事の中身が変わっていくと考えるのが自然です。

また、AIの利用は顧問先となる事業者にも広がっています。経営者自身がAIで情報を調べられるようになるなか、作業を代行するだけでは、税理士としての価値を伝えにくくなっていくでしょう。

AIは、まず普段の業務で試し、同じような作業を繰り返すようになったら、自動化や専用ツールの導入を考える流れでも十分です。

すべてを一度に変えるのではなく、毎月繰り返している作業からひとつずつ試し、生まれた時間を経営相談や提案など、人にしかできない仕事に使っていくことが大切です。

「AIで税理士の仕事はなくなる」という話を耳にし、不安を感じたことがある方もいるのではないでしょうか。

AIによって置き換わりつつあるのは、税理士という仕事そのものではなく、記帳や証憑の読み取りなど、一定のルールに沿って進められる作業です。

経営者それぞれの事情を踏まえたサポートや、税務調査への対応のように、状況に応じた判断や責任が求められる仕事は、今後も人が担う部分として残っていくでしょう。

本記事では、AIの種類を押さえたうえで、なぜ「税理士の仕事がなくなる」と言われるのか、AIに任せやすい業務と任せにくい業務、具体的な活用例、事務所への取り入れ方まで順に解説します。

AIをどこまで、どのように取り入れるべきか迷っている税理士の方は、ぜひ参考にしてください。

経営支援ツールで付加価値を創出
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そもそも「AI」にはどんな種類があるのか

AIにはさまざまな種類があり、それぞれ得意なことが異なります。まずは、税理士業務で使われるAIを「何ができるか」という視点で3つに分けて見てみましょう。

種類

内容

活用例

代表例

チャット型AI

指示に応じて、文章や回答を返してくれるAI

文章作成、要約、アイデア出し、調べもの

ChatGPT、Gemini、Claude

AIエージェント

複数の作業を順番に進めてくれる仕組み

定型業務の自動化、数値チェック、レポートの下書き

Claude Code、各種業務自動化エージェント

AIツール/AI機能

ソフトに組み込まれているAI機能

証憑の読み取り、自動仕訳、データの照合

freee、マネーフォワードなどのAI-OCR・自動仕訳

この3つは、どれかひとつを選ぶのではなく、業務に合わせて使い分けます。たとえば、調べものや文章作成はチャット型AI、繰り返し行う作業はAIエージェントに任せる、証憑の読み取りは会計ソフトのAI機能、といった使い方です。

チャット型AI:文章生成・分析を行う汎用AI(ChatGPT・Geminiなど)

ChatGPTやGemini、Claudeなどに代表されるチャット型AIは、質問や指示を入力すると、その内容に合わせて文章や回答を返してくれるAIです。特定の業務だけに使うものではなく、必要なときにその都度使えるのが特徴です。

たとえば税理士業務では、次のような場面で使えます。

  • 制度の概要をつかむための下調べに使う

  • 顧問先へ送るメールや案内文のたたき台を作る

  • 長い議事録や資料を要点だけに絞って要約する

ChatGPTに税務上の制度や要件について質問すれば、関連する論点や実務上の注意点を整理した回答を得られます。

得意なのは、文章を一から作ることと、長い文章を短くまとめることです。一方で、入力していない情報まで自動で確認してくれるわけではありません。

無料で試せるサービスも多いため、3つのなかでは最も始めやすい方法です。

AIエージェント:複数の作業を自律的に遂行するAI

AIエージェントは、1回の質問に答えて終わるのではなく、目的に合わせて複数の作業を順番に進めていくAIです。チャット型AIが「質問に答えるAI」であるのに対し、AIエージェントは「実際の作業まで進めるAI」です。

たとえば、次のような作業を任せられます。

  • 受け取った請求書PDFが入ったフォルダを自動で読み取り、内容を確認して仕訳データを作る

  • 顧問先ごとの月次数値を媒体を横断して集め、決められた項目に沿って異常がないか確認する

  • 毎月作成するレポートを、決められた手順に沿って下書きまで作る

Claude Codeではファイルの内容を読み取ったうえで、必要な情報を整理・集計し、結果を別のファイルとしてまとめるといった一連の作業を進められます。

AIエージェントに任せやすいのは、作業の手順や確認するポイントがはっきりしている業務です。反対に、担当者の経験や感覚に頼っていて、手順が決まっていない業務は、そのまま任せるのが難しくなります。

3つのなかでは導入にやや手間がかかりますが、繰り返し作業をまとめて任せられるため、うまく使えば業務効率を大きく高められます。

AIツール/AI機能:特定業務に組み込まれた自動化機能(OCR・自動仕訳など)

3つ目は、会計ソフトなどにあらかじめ組み込まれているAI機能です。新しく仕組みを作らなくても、ソフトに用意された機能をそのまま使える点が、チャット型AIやAIエージェントとの違いです。

代表的なものには、次のような機能があります。

  • 領収書や請求書を読み取ってデータ化するAI-OCR

  • 過去の仕訳をもとに勘定科目を提案する自動仕訳

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、仕訳候補を出す機能

たとえば、freee会計ではスマートフォンで撮影した領収書や請求書を読み取り、日付・金額・取引先などの情報を自動でデータ化できます。

引用・参照:「【Android】会計アプリでレシート類をスマホのカメラで取り込む」ヘルプセンター

手軽に使える一方で、できることはソフトに用意されている範囲に限られるため、事務所独自のやり方に細かく合わせたい場合には、対応しきれないこともあります。

まずは、現在使っている会計ソフトにどのようなAI機能があるかを確認してみるとよいでしょう。

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われる背景

「税理士の仕事はAIでなくなる」と言われるようになった背景には、AIやクラウド会計の進化があります。

また、これまで人が行っていた作業の一部を自動化できるようになったことに加え、「士業はAIに置き換わる」という話が広く取り上げられるようになったことも背景です。

  • クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

  • 士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

クラウド会計・生成AIの精度向上で定型業務の代替が進んだため

背景にあるのは、税理士事務所だけでなく、顧問先となる事業者の間でもクラウド会計やAIの利用が広がっていることです。

弥生株式会社が2026年に実施した調査では、確定申告に関する業務でAIを利用している個人事業主の割合は全体では約5人に1人、40代未満では約2人に1人がAIを利用していることがわかります。

年代

確定申告関連業務でAIを利用している割合

全体

19.6%(前年比+5.3pt)

40代未満

47.8%

40代

30.5%

50代

18.2%

60代

6.3%

70代

5.3%

引用・参照:「個人事業主向け確定申告課題調査2026」弥生株式会社

また、クラウド会計と生成AIを組み合わせて定型業務を自動化している税理士事務所もあります。

スタッフを置かずに約60社の顧問先を担当し、毎晩21時にfreeeの未処理明細をまとめて確認・登録する仕組みを構築している事例です。

登録したキーワードで勘定科目を判定し、判断できない取引だけをClaude APIに確認させるなど、複数の処理を組み合わせて仕訳業務を進めています。

引用・参照:「累計700万インプの内側 スタッフ0人で60社を回す税理士が、Claude Code導入の2ヶ月でやったこと全部」畠山謙人│AI税理士 / 自走するバックオフィス

士業=AIに代替される仕事という言説がメディアで広がっているため

「税理士をはじめとする士業はAIに代替されるのではないか」という見方がメディアを通じて広がっていることも、「税理士の仕事はなくなる」と言われる背景のひとつです。

弁護士ドットコム株式会社が2025年に発刊した「士業DX白書2025」では、一般消費者1,030人を対象に、税理士や弁護士、公認会計士など7士業について調査しています。その結果、「AIに代替されると思う士業」では税理士が7つの士業のなかでトップとなりました。

引用・参照:「士業DX白書2025」弁護士ドットコム株式会社

こうした調査結果やAIの進化がメディアなどで取り上げられることで、「税理士=AIに代替される仕事」というイメージが広がりやすくなっています。

ただし、これらのデータは「税理士という職業そのものがなくなる」ことを示しているわけではありません。実際には、記帳や仕訳などの定型業務を中心にAIによる自動化が進み、税理士に求められる仕事の内容が変化していると考えるほうがよいでしょう。

実際にAIに代替される業務・されない業務

税理士の仕事すべてが、AIに置き換わるわけではなく、AIに任せやすい業務と、人による判断や対応が必要な業務には違いがあります。ここではそれぞれ具体的に見ていきます。

  • AIに代替されやすい業務

  • AIに代替されにくい業務

AIに代替されやすい業務

AIに置き換わりやすいのは、手順が決まっていて、同じ作業を繰り返す業務です。

とくに、記帳やデータ入力など、人による判断があまり必要ない作業は自動化が進みやすいと考えられます。

  • 記帳・仕訳などのデータ入力

  • 領収書・請求書の読み取り(OCR)

  • 定型的な税務書類の作成

記帳・仕訳などのデータ入力

日々の記帳や仕訳入力は、比較的早い段階から自動化が進んできた業務です。

現在では、次のような作業を会計ソフトやAIに任せられるようになっています。

  • 銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む

  • 摘要や取引先名から勘定科目を推測し、仕訳の候補を出す

  • 一度登録した仕訳ルールをもとに、次回以降の処理を自動化する

  • 毎月同じ内容で発生する取引を、登録済みのルールでまとめて処理する

前章で紹介した事務所では、まずキーワードで仕訳を判定し、当てはまらないものだけをAIに確認させる仕組みを使っていました。すべてをAIに任せるのではなく、単純なものはルールで処理し、判断が必要なものだけAIに回しています。

ただし、内容だけでは判断できない取引や、顧問先への確認が必要な取引は残ります。自動化は、すべてをAIに任せるためではなく、人が確認すべき取引を減らすために使うものと考えましょう。

領収書・請求書の読み取り(OCR)

領収書や請求書の読み取り・データ化は、すでに多くの事務所で使われている方法です。具体的には、次のような作業に活用されています。

  • スマートフォンで撮影した領収書から、日付・金額・取引先を読み取る

  • PDFで届いた請求書を取り込み、そのままデータ化する

  • 読み取った内容を仕訳の入力欄に反映する

  • 電子帳簿保存法の要件に沿って保存し、後から検索できるようにする

読み取りの正確さは書式によって差があります。手書きの領収書や独自の形式で作られた請求書は読み取りミスが起きやすいため、金額や日付など重要な項目は人が確認することが欠かせません。

また、実務では読み取りそのものよりも、顧問先から証憑を集めたり、不足している資料を確認したりする作業のほうが手間として残りやすいでしょう。

定型的な税務書類の作成

様式や入力項目が決まっている税務書類は、AIや会計ソフトで作成を進めやすい業務です。

たとえば、書類の作成や確認では次のような使い方ができます。

  • 会計データをもとに、申告書の各欄へ数値を転記する

  • 法人設立届出書や青色申告承認申請書など、決まった様式の書類を作成する

  • 決算書と申告書の数値に食い違いがないか確認する

  • 過去年度と比べて、入力漏れや不自然な数値がないか確認する

一方で、個別事情を踏まえた税務上の判断や、例外的な処理への対応まで自動化できるとは限りません。また、AIが書類を作成した後は、その内容が本当に正しいかを人が判断しましょう。

「書類の作成はAIに任せ、税理士は内容の確認と判断に集中する。」今後は、こうした分担が増えていくと考えられます。

AIに代替されにくい業務

AIに置き換わりにくいのは、相手の状況をくみ取りながら、その場に応じた判断が求められる業務です。

AIの活用が進んでも、目的・ゴールの設定、生成物のレビュー、最終的に判断して責任を負うことは、人が担う部分として残ると考えられます。

  • 経営判断に関わるコンサルティング

  • 複雑な税務判断・税務調査対応

  • 顧問先との信頼関係構築

経営判断に関わるコンサルティング

同じ数字を見ていても、経営者の状況や考え方によって、必要なサポート内容は変わります。たとえば、次のような場面では、数字だけでなく経営者本人の意向まで踏まえて考える必要があります。

  • 設備投資のタイミングと、資金調達の組み合わせを検討する

  • 役員報酬の水準を、税負担と資金繰りの両面から考える

  • 事業承継の進め方を、家族関係や後継者の意向を踏まえて決める

  • 採算の合わない事業から撤退すべきか、経営者と一緒に判断する

AIは一般的な選択肢や考え方を示すことはできますが、その経営者が何を大切にしているかまで正確にくみ取るのは難しいです。長年続けてきた事業をやめる判断や、親族間の感情が関わる事業承継などは、数字だけで答えを出せるものではありません。

AIには選択肢の整理や比較を任せ、最終的にその会社に合った答えを決めるのは人が担う、という使い方がよいでしょう。

複雑な税務判断・税務調査対応

税務では、条文だけでは判断しきれず、個別の事情や過去の事例まで踏まえて考える場面があります。とくに、次のような業務では、税理士の知識や経験をもとにした判断が必要です。

  • 個別事情に応じて、特例を適用できるかどうかを判断する

  • 過去の裁決事例や立法趣旨に照らし、処理の妥当性を検証する

  • 税務調査に立ち会い、指摘に対して根拠を示しながら説明する

  • 修正申告に応じるか主張を続けるかを、顧問先と話し合って決める

税務の判断は、条文をそのまま当てはめれば答えが出るものばかりではありません。前例が少ないケースや、複数の考え方ができるケースでは、AIの回答だけで判断するのは難しいでしょう。

また、税務調査では、調査官の指摘をその場で確認し、どこまで説明するか、どのような根拠を示すかを判断する必要があります。こうした対応は一律の手順では進めにくく、税理士の経験や判断が重要になる場面もあるでしょう。

顧問先との信頼関係構築

顧問契約が続くかどうかは、処理の正確さだけで決まるものではありません。日々のやり取りのなかで相手の不安や悩みをくみ取り、相談しやすい関係をつくることも大切です。

たとえば、次のような場面では、人との関わりそのものがとくに重要になります。

  • 決算や資金繰りへの不安を、雑談のなかから拾い上げる

  • 言いにくい経営課題を伝えても、受け止めてもらえる関係を保つ

  • 判断に迷っている経営者の背中を押す

  • 社内では相談しにくい悩みの受け皿になる

「この人に相談したい」と思ってもらえるかどうかが、顧問先との関係を左右する場面は少なくありません。こうした信頼関係は、AIだけで築けるものではないでしょう。

その一方で、AIに任せられる作業が増えれば、顧問先と向き合う時間は取りやすくなります。人にしかできない仕事に時間を使うためにも、任せられる作業はAIに任せるという考え方が大切です。

税理士業務におけるAI活用シーンの整理

AIは、記帳や仕訳のような作業だけでなく、顧問先とのやり取りや経営分析、情報収集にも活用できます。

税理士業務でどのように役立つのか、主な活用場面を4つに分けて見ていきましょう。

  • 記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

  • 顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

  • 経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

  • 情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

記帳・仕訳などバックオフィス業務の自動化

記帳や仕訳などのバックオフィス業務は、AIによる自動化と相性のよい分野です。

入力や確認にかかる手間を減らす方法として、次のような活用が広がっています。

  • 領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

  • 勘定科目の自動仕訳・判定

  • 会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

領収書・請求書の読み取り(AI-OCR)とデータ化

AI-OCRを使えば、領収書や請求書に書かれた日付・金額・取引先などを読み取り、会計データとして取り込めます。

大切なのは、読み取りの精度だけでなく、以下のように領収書や請求書をどのように集めるかを決めておくことです。

  • 顧問先にスマホアプリを入れてもらい、その場で撮影・送信してもらう

  • メールで届く請求書は、専用アドレスへ転送するルールにして自動で取り込む

  • 紙の書類は月に一度まとめてスキャンし、フォルダごと取り込む

マネーフォワード クラウド会計では、PDFや画像形式の領収書・請求書をアップロードすれば、OCRで内容を読み取り、会計データとして取り込めます。

引用・参照:「『アップロード』機能の使い方」マネーフォワード クラウド会計

取り込んだデータを担当者が確認・修正する運用まで整えておくと、入力作業の効率化とデータ品質の安定につながります。

勘定科目の自動仕訳・判定

自動仕訳を使えば、取引先名や摘要などの情報から勘定科目や仕訳内容を判定し、その結果をもとに仕訳候補を自動で出せます。

以下のように、よく発生する取引のルールをあらかじめ設定し、判断が必要な取引だけを人が確認する運用にすると、自動仕訳を活用しやすくなるでしょう。

  • 取引先名や摘要のキーワードごとに、対応する勘定科目を登録する

  • 毎月同額で発生する取引は、定期取引としてあらかじめ設定する

  • 自動で判断できなかった取引だけを一覧で確認し、その処理内容を次回以降のルールに反映する

たとえば、マネーフォワード クラウド会計では、AI-OCRで読み取った証憑の内容をもとに仕訳候補を作成し、担当者は提案された内容を確認して登録できます。

引用・参照:「「仕訳候補」画面の使い方(AI-OCRから入力)」マネーフォワード クラウド会計

勘定科目の使い方は、顧問先の業種や取引内容によって異なります。導入直後は確認する件数が多くても、使い続けるうちにルールが増え、手作業で確認する取引は少しずつ減っていくでしょう。

会計ソフトとの自動連携によるデータ突合

会計ソフトと銀行口座や各種システムを連携すれば、データを自動で取り込み、数字のズレや重複がないかまで確認できます。複数のサービスに分かれているデータを自動で照らし合わせることで、確認作業の手間も減らせるでしょう。

たとえば、次のようにデータ連携を自動化できます。

  • 銀行口座・クレジットカード・決済サービスの明細を自動で取得する

  • 請求管理システムや販売管理システムの売上データと、会計データを照らし合わせる

  • 残高が合わない箇所や、二重計上の可能性がある取引を自動で見つける

マネーフォワード クラウド会計では、銀行口座やクレジットカードなどを会計ソフトと連携すれば、取引明細を自動で取り込み、仕訳候補の作成まで進められます。

引用・参照:「銀行・金融機関連携で経理がラクになる会計ソフト」マネーフォワード クラウド会計

こうした確認まで自動化できれば、担当者がすべての数字をひとつずつ見比べる必要はありません。問題がある箇所だけを確認し、その原因を調べることに時間を使えるようになります。

顧問先とのコミュニケーション・提案資料作成の支援

AIは、顧問先とのやり取りそのものを代わるのではなく、問い合わせへの回答準備や面談内容の整理、資料作成といった周辺作業をサポートする用途に向いています。

こうした作業をAIに任せることで、顧問先への説明や提案に使う時間を確保しやすくなります。

  • 顧問先からの問い合わせ対応

  • 面談記録・議事録の自動作成

  • 提案資料・レポートの下書き作成

顧問先からの問い合わせ対応

顧問先からの問い合わせでは、よくある質問への返信案をAIに作ってもらうことで、文章を一から考える手間を減らせます。

次のように、過去のやり取りや顧問先の情報をもとに、返信文の作成や説明内容の整理といった作業をAIに任せられます。

  • 過去の回答メールを参考に、同じ内容の質問への返信案を作る

  • 専門用語を含む説明を、経営者にも分かりやすい表現に書き換える

  • 制度の一般的な説明と、その顧問先に関係する内容を分けて整理する

  • よくある質問と回答をまとめ、事務所内で共有する

たとえば、ChatGPTでは顧問先の月次データを読み込ませ、数値の変化を踏まえた問い合わせへの返信案を作成することも可能です。

注意したいのは、AIが作った回答をそのまま顧問先へ送らないことです。たとえば税法の解釈が関わる内容は、AIには返信の下書きまでを任せ、最終的な内容は税理士自身で確認する必要があります。

面談記録・議事録の自動作成

AIを使えば、面談の録音や録画から文字起こしを行い、議事録や要点の整理までまとめて進められます。

具体的には、面談内容の記録から要点整理、その後の共有まで、次のような作業をAIで効率化できます。

  • オンライン面談の録音・録画から、文字起こしと要約を自動で作る

  • 決定事項・宿題・次回までの確認事項に分けて整理する

  • 顧問先へ送る報告メールの文面まで、続けて下書きする

たとえば、ChatGPTへ面談の文字起こしデータを読み込ませれば、決定事項や宿題、次回までの確認事項などに分けた議事録の作成が可能です。

面談中にメモを取る量が減れば、相手の話に集中しやすくなります。記録の形式もそろえやすいため、担当者が変わったときの引き継ぎにも使えるでしょう。ただし、録音する場合は、事前に顧問先の同意を得ておきましょう。

提案資料・レポートの下書き作成

AIを使えば、決算報告や月次レポート、サービス案内などのたたき台を作り、資料作成にかかる時間を減らせます。

具体的には、資料の構成づくりから数値に対するコメントの整理まで、次のようにAIで効率化できます。

  • 決算報告や月次報告の構成案を作る

  • 数値の推移をもとに、資料へ載せるコメントの候補を出す

  • 事務所のサービス案内や、顧問料改定の説明資料をまとめる

  • セミナー資料の構成と、話す内容のメモを作る

Claude Codeで過去に作成した資料を読み込ませれば、構成や表現を参考にしながら、新しい提案資料やレポートのたたき台作成が可能です。

過去に作った資料を参考として読み込ませておくと、事務所で普段使っている言い回しに近い下書きを作りやすくなります。毎月ほぼ同じ形式で作る資料なら、以前の資料を見本として使う方法もあります。

経営分析・予実管理などアドバイザリー業務の高度化

AIは、経営分析や予算管理でも、数字の整理や比較、将来の見通しを考えるための材料づくりに活用できます。

これまで時間がかかっていた分析や情報収集を効率化することで、税理士は顧問先への提案や判断により時間を使いやすくなるでしょう。

  • 財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

  • 予算策定・着地予測のシミュレーション

  • 補助金・助成金情報の収集と提案への活用

財務データに基づく経営分析・数値コメントの自動生成

財務データをAIで分析すると、数値の変化を見つけ、経営上の気になる点や月次報告に使うコメント案まで整理できます。

以下のように前月や前年と比べて大きく動いた数字を確認する作業は、自動化しやすい部分です。

  • 前月・前年同月と比較し、変化の大きい科目を見つける

  • 粗利率や固定費率の推移から、確認したい指標を絞り込む

  • 月次報告に載せるコメント案を、指標ごとに作る

  • 業種ごとのチェック項目に沿って、見落としがないか確認する

こうした分析には、専用ツールを使う方法もあります。当社が開発・運営するクラウド経営分析ツール「metrics」には、経営データの分析を支援する「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数値の大きな変化を見つけたり、確認すべきポイントを整理したりする点が特徴です。

顧問先ごとの確認方法や業種特有のチェック項目をあらかじめ設定しておけば、担当者が変わっても、事務所でこれまで培ってきた見方や確認方法を引き継ぎやすくなります。

予算策定・着地予測のシミュレーション

予算策定や着地予測では、過去の実績をもとに将来の売上や利益を見込み、条件を変えながら複数のケースを比較できます。

具体的には、過去の実績や予算データをもとに、将来の着地予測や条件を変えたシミュレーションなど、次のような検討に活用できます。

  • 過去の実績から、期末の売上や利益がどの程度になりそうか予測する

  • 売上を10%伸ばした場合や、人を1人増やした場合など、条件を変えて比較する

  • 予算と実績の差を月ごとに確認し、ズレが生じた原因を探る

  • 経営者の希望をもとに、予算案のたたき台を作る

metricsの予算管理画面では、数字を入力するたびに損益の見込みがその場で更新されることも特徴です。細かく予算を組む時間が取れない場合は、過去の実績をもとに期末の着地を見積もる「自動予測」モードを使う方法もあります。

経営者と同じ画面を見ながら数字を変えていけば、いくつかの選択肢をその場で比べながら、次に取るべき行動を考えやすくなります。

補助金・助成金情報の収集と提案への活用

補助金や助成金の情報収集では、顧問先の条件に合う制度を探し、申請要件や必要書類を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような使い方ができるでしょう。

  • 顧問先の業種・所在地・規模に合う制度を探す

  • 公募要領を読み込み、要件や必要書類を分かりやすく整理する

  • 締切や申請の流れを、スケジュールにまとめる

  • 事業計画書の構成案や、記載内容の下書きを作る

たとえば、Claude Codeで顧問先の所在地や業種、従業員数などの条件を指定すれば、利用できる可能性のある補助金・助成金を調べ、対象者や主な要件、申請期限などを一覧で整理できます。

ただし、補助金や助成金の情報は変更されることがあります。AIが古い内容をもとに回答する可能性もあるため、申請前には必ずjGrantsやミラサポplus、各自治体の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

情報収集・税制改正キャッチアップの効率化

AIは、税制改正や業界動向など、量の多い情報から必要な内容を探して整理する作業にも向いています。

情報収集にかかる時間を減らせれば、内容の確認や顧問先への説明に時間を回しやすくなるでしょう。

  • 最新の税制改正・通達のキャッチアップ

  • 業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

最新の税制改正・通達のキャッチアップ

税制改正や通達の確認では、長い資料から必要な部分を抜き出し、改正内容や影響を整理する作業にAIを活用できます。

具体的には、次のような作業にAIを活用できます。

  • 税制改正大綱や通達のPDFを読み込ませ、要点を項目ごとにまとめる

  • 改正前と改正後の違いを、表にして比較する

  • 自事務所の顧問先のうち、どの業種や規模に影響があるか整理する

  • 影響を受ける顧問先へ送る案内文を、改正内容に沿って作る

たとえば、ChatGPTに税制改正大綱などのPDFを読み込ませれば、改正前後の違いや対象者を項目ごとに整理し、比較しやすい形でまとめられます。

ただし、施行日や経過措置など、細かい条件までAIの要約だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。まず要約で内容をつかみ、実務に関わる部分は条文や国税庁などの公式資料で確認することが大切です。

業界動向・他事務所の取り組み事例のリサーチ

業界の動きや他事務所の事例を調べる際にも、必要な情報を集めて比較し、自事務所の参考になりそうな点を整理するためにAIを活用できます。

以下のように幅広い事例を確認できるため、検索や情報整理にかかる時間を減らせるでしょう。

  • 特定の分野に強い事務所を探し、サービス内容や料金体系を一覧にする

  • 会計業界のニュースを定期的に集め、要点をまとめる

  • SNSで話題になっている取り組みを探し、共通する特徴を整理する

  • 自事務所のサービスに取り入れられそうな点を探す

たとえば、Claude Codeで調べたいテーマや期間を指定すれば、会計・税理士業界の動向や他事務所の取り組み事例を収集し、概要や参考にできるポイントを整理できます。

調べた事例は、そのまま取り入れるのではなく、自事務所の顧客層や強みに合うかを見極めることが大切です。定期的に情報を整理しておけば、サービス改善や新しい施策を考える際の材料としても活用できます。

これまで見てきた活用方法を踏まえ、次の章では、実際にAIを取り入れるには何から始めればよいのかを3つの段階に分けて紹介します。

AIの取り入れ方:3つのレベル

AIを取り入れたいと思っても、事務所によって始めやすい方法は異なります。

ここでは自分で使うだけなのか、事務所で仕組みを作るのか、でき上がったツールを導入するのかという違いで3つに分けて考えます。

3つはどれかひとつを選ぶものではなく、業務ごとに組み合わせて使うようにしましょう。

  • スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

  • 自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

  • 導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

スポット活用(都度AIに相談・下書きを作ってもらう):チャット型AI

まず始めやすいのが、必要なときにチャット型AIへ質問したり、下書きを作ってもらったりする使い方です。ChatGPTGeminiClaudeなど選択肢が多く、無料で試せるサービスもあります。

チャット型AIには、次のような特徴があります。

  • 契約や細かな設定がほとんどなく、すぐに始められる

  • メール作成、資料の要約、制度の下調べなど、幅広い業務に使える

  • 合わなければ利用をやめやすく、導入時の負担も小さい

前章で紹介した活用例のうち、メールや資料作成、情報整理などは、この方法から始められます。まずは普段の業務で使ってみて、どの仕事に役立つのかを確かめるとよいでしょう。

一方で、使う人によって結果に差が出やすい点には注意が必要です。同じAIでも、質問や指示の内容によって返ってくる回答は変わります。

また、使い方が個人任せのままだと、便利な方法が事務所内に広がりにくいという課題もあります。

自作で仕組み化(定型業務が効率化する仕組みを自分たちで組む):AIエージェント

繰り返し発生する業務を、AIエージェントを使って自分たちで自動化する方法です。事務所のやり方に合わせて細かく調整できる一方、仕組みを作った後の改善や管理も自分たちで行う必要があります。

前章の事務所では、顧問先60社分の仕訳処理を自動化し、AIに任せる業務と人が判断する業務を明確に分けていました。「税務判断は人に回す」といったルールも設定しています。

また、最初から完成形を目指さず、問題が出るたびにルールを追加して改善していく運用が重要です。

ただし、この方法では、仕組みを作るだけでなく、その後の管理や改善も事務所側で行わなければなりません。ある程度の知識も必要になるため、誰でもすぐに取り入れられる方法とは言いにくいでしょう。

当社metrics導入事例のインタビューでも、次のような声が聞かれました。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
最初に作ることはできても、改善し続けること、複数のお客様に安定して展開すること、日々の業務の中で運用し続けることまで考えると、負担が大きいと感じます。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

一方で、日々繰り返している業務について、どの順番で進め、どこで確認が必要なのかを整理できれば、自動化を考える準備になります。こうして業務の流れを整理しておくことは、次に紹介する専用ツールを選ぶ際にも役立ちます。

導入して仕組み化(定型業務が効率化する仕組みをそのまま使う):専用ツール

すでに用意されている専用ツールを導入し、決まった業務を効率化する方法です。仕組みを一から作る必要がなく、開発や保守は提供元が行うため、事務所側は初期設定と使い方を覚えるところから始められます。

具体的には次のようなメリットがあります。

  • 初期設定を済ませれば、担当者が変わっても同じ流れで使いやすい

  • 機能の改善やアップデートを、自分たちで対応する必要がない

  • 作業の流れがツールに組み込まれているため、引き継ぎや教育の負担を減らしやすい

自分たちで仕組みを作る場合との違いについて、先ほどと同じインタビューでは次のように語られています。

市川秀税理士事務所様 metrics導入事例インタビュー
サービス自体が継続的にアップデートされているため、自社で一から内製するよりも、開発・運用・改善にかかるコストを大きく抑えられるのではないでしょうか。

引用・参照:「市川秀税理士事務所様 導入事例インタビュー」Metrics

効率化したい業務によって、適したツールは変わります。記帳や領収書・請求書の読み取りなら、会計ソフトに備わるAI機能で対応できる場合もあります。一方、月次報告や経営分析、予実管理まで効率化したい場合は、業務に特化したツールを検討するとよいでしょう。

専用ツールを取り入れれば、定型作業の時間を減らし、経営相談や提案など人が担う仕事に時間を使いやすくなります。

税理士事務所を差別化するなら「metrics」

月次報告や経営分析の流れを整えたい場合は、当社が開発・運営する「metrics」もご検討ください。

metricsは、会計データを分かりやすく整理し、経営判断に必要な数字をいつでも確認できるクラウド経営分析ツールです。全国の税理士法人・会計事務所をはじめ、BPO事業を手がける企業にもご利用いただいています。

本記事で見てきたように、AIに置き換わりにくいのは、経営者の状況を踏まえて一緒に考え、判断する仕事です。metricsは、そのために必要なデータの整理や分析、資料作成といった事前準備を効率化します。

2026年のアップデートではAI機能も強化され、AI CFOとのやり取りを通じて、予算管理やダッシュボードの作成まで進められるようになりました。

主な特徴は次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsでは、顧問先ごとに確認したい数字をダッシュボードにまとめて表示できます。一度設定しておけば最新の会計データが反映されるため、月次報告のたびにExcelで資料を作り直す必要がありません。

売上や費用、キャッシュの動きはグラフで表示でき、損益分岐点や利益の増減、月ごとの売上の偏り、貸借対照表の変化などもわかりやすく確認できます。

気になる数字があれば、その場で仕訳の明細まで確認できます。「持ち帰って調べます」となる場面を減らし、面談中に原因を確認したうえで、次にどうするかまで話を進めやすい点も特徴です。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字を確認するだけでなく、今のまま進んだ場合に売上や利益がどの程度になりそうかまで見通せます。AIサポートや入力ヘルパーを使って予算を入力すると、損益の見込みもその場で更新されるため、経営者と同じ画面を見ながら来期の計画を考えられます。

細かく予算を作る時間が取れない場合は、「自動予測」モードも利用できます。過去の実績をもとに期末の着地を自動で見積もるため、まず大まかな見通しを確認したいときにも使いやすい機能です。

作成した予算と自動予測は、ダッシュボード上ですぐに切り替えて確認できます。目標に対する進み具合や勘定科目ごとの増減も継続して追えるため、計画とのズレに早めに気づき、その後の対応を考えやすくなります。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データを読み取り、確認すべき数字や気になる変化を整理するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。分析だけでなく、ダッシュボードの作成や予算案づくりまで進められるため、経営者との面談前に必要な準備を減らせます。

顧問先ごとに見るべき指標や確認の順番、業界ごとのチェック項目なども登録できる点も特徴です。これまで担当者の経験に頼っていた見方を事務所内で共有しやすくなり、担当変更や引き継ぎの際にも、これまでの確認方法を残しておけます。

「売上と費用を並べて見たい」「来期は売上を20%伸ばしたい」と伝えると、その内容に合わせてダッシュボードや予算案を作成できます。経験が浅いスタッフでも確認すべき点を押さえやすくなり、分析のばらつきを抑えながら、顧問先への提案につなげやすくなるでしょう。

実際の操作画面は、次のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsはfreeeマネーフォワードとAPI連携しており、連携を許可するだけで仕訳や帳票を取り込み、勘定科目とキャッシュフロー項目の対応まで自動で設定できます。科目をひとつずつ手作業で設定する必要がないため、導入時の手間を抑えられます。

初回の連携では、過去分を含むすべての期間のデータをまとめて取得します。そのため、過去の会計データを別途整理して取り込む必要もなく、連携後はすぐにダッシュボードで数字を確認できます。

データはその後も定期的に自動更新されるため、月次面談のたびに会計ソフトから数字を取り出して資料を作り直す必要がありません。導入時の設定だけでなく、使い始めた後のデータ更新にかかる手間も減らせます。

AIを取り入れながら、顧問先への提案や経営支援をさらに充実させたい方は、まず無料デモでmetricsの画面や使い方をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

税理士事務所へのmetrics導入事例

metricsを導入した税理士事務所では、面談準備やレポート作成の手間を減らし、顧問先との話し合いや提案に使う時間を増やしています。

実際に業務がどのように変わったのか、4つの事務所の事例を見ていきます。

  • 伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

  • エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

  • スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

  • みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

伊藤会計事務所|属人化していた面談準備を定型化し、新人でも同じ品質の報告へ

項目

内容

課題

面談前の準備方法やかかる時間が担当者によって異なり、進め方が統一されていなかった

取り組み

面談前に「metricsで作成したウィジェットを確認する」という手順を決めた

成果

準備時間を大幅に短縮。担当者が変わっても、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げるようになった

伊藤会計事務所様で課題となっていたのは、面談前の準備をそれぞれの担当者のやり方に任せていたことでした。何をどこまで確認するかが決まっていなかったため、経験の浅いスタッフほど準備に時間がかかり、事務所全体の業務にも影響が出ていました。

そこで、面談前に確認する内容と順番をあらかじめ決め、metricsで作成したウィジェットを順に確認すれば準備が進められる形にしました。担当者の経験にかかわらず、必要な情報を確認しやすくなり、準備にかかる時間も減らせます。

担当者が変わった場合も、前任者が使っていたウィジェットをそのまま引き継げます。誰が担当しても同じ流れで準備できるようになり、面談前の負担を減らしながら、報告内容のばらつきも抑えられるようになりました。

エンジョイント税理士法人|試算表中心の報告会から、未来を話し合う場へ

項目

内容

課題

経験の浅い担当者ほど、過去や現在の数字の説明に時間がかかっていた

取り組み

面談で使うウィジェットを全社で統一し、必要な情報を整理した

成果

誰が担当しても一定水準で報告でき、将来について話す時間が増えた

エンジョイント税理士法人様では、クライアントとの面談を「過去→現在→未来」という流れで進めることを大切にしていました。しかし、試算表を中心にした従来の報告では、経験の浅い担当者ほど過去や現在の数字を説明するだけで時間がかかり、将来の話まで進めないことが課題でした。

そこで、面談で使うウィジェットを全社で統一し、誰が担当しても同じ流れで報告できるようにしました。あわせて、普段の業務でもmetricsでの報告を意識して必要な情報を整えることで、面談前の準備から報告まで進めやすい形にしています。

その結果、担当者の経験による報告内容のばらつきが減り、経験の浅いメンバーでも重要な数字を押さえて説明しやすくなりました。過去や現在の確認だけで終わる面談が減り、経営上の課題や今後の方向性について話す時間を取りやすくなりました。

スタートアップ税理士法人|コストと見られていた経理代行を、投資と呼べる支援へ

項目

内容

課題

試算表の提供にとどまり、数字を経営判断や資金調達に生かしにくかった

取り組み

freeeの各種情報をmetricsと連携し、レポートへ自動反映した

成果

面談準備の手間が減り、経営提案や資金調達の支援に集中できた

スタートアップ税理士法人様では、経理代行として試算表を渡した後、その数字を経営判断や資金調達にどう生かすかまで十分に支援できていませんでした。そのため、経営者から見ると経理代行が「必要なコスト」と受け取られやすく、経営に役立つサービスとしての価値を伝えにくいことが課題でした。

そこで、freeeに登録した部門・品目・取引先などの情報をmetricsと連携し、会計ソフトへの入力内容がそのままレポートに反映されるようにしました。担当者が毎回データを加工しなくても最新の数字を確認できるため、面談前の資料作成や確認にかかる手間を減らせます。

数字の動きが分かりやすく表示されることで、作成した画面をそのまま経営者との打ち合わせにも使えるようになりました。定例会議では数字の報告だけでなく、経営や資金調達について具体的に話す時間が増え、税理士や社労士などグループ内の専門家が連携した提案にもつながっています。

みらいと税理士法人|レポート作成の工数を削り、経営者との対話を能動的に

項目

内容

課題

財務分析とレポート作成に時間がかかり、担当者によるばらつきもあった

取り組み

API連携とウィジェット統一、AI CFOで分析を効率化した

成果

作成時間を約3分に短縮し、支援先の成果向上と担当社数の拡大につながった

みらいと税理士法人様で課題となっていたのは、財務分析とレポート作成に多くの時間がかかっていたことです。1社あたり1〜2時間、月次では最大30時間を費やしており、業種に合った分析ができるかどうかも担当者の経験に左右されていました。時間をかけて資料を作っても、面談が数字の説明だけで終わってしまうこともありました。

そこで、会計ソフトとのAPI連携でデータの取得・更新を自動化し、面談で使うウィジェットも統一しました。さらにAI CFOを使うことで、「なぜこの数字が下がっているのか」といった疑問をその場で確認しながら、数値の変化を詳しく見られるようになりました。

その結果、1〜2時間かかっていたレポート作成は約3分まで短縮されています。面談でも「人をもう一人雇ったらどうなるか」といった将来の話まで進めやすくなり、支援中の5社すべてが最高売上を更新しました。担当できる顧問先も、5社から10社程度まで増やせる見通しです。

まとめ

本記事では、AIの種類から、税理士業務への影響、具体的な活用方法、事務所への取り入れ方まで解説しました。

AIに置き換わりつつあるのは、記帳や領収書・請求書の読み取りなど、手順が決まっていて人の判断があまり必要ない作業です。

一方、経営者への助言や複雑な税務判断、税務調査への対応、顧問先との信頼関係づくりは、今後も人が担う部分として残るでしょう。税理士という仕事がなくなるのではなく、仕事の中身が変わっていくと考えるのが自然です。

また、AIの利用は顧問先となる事業者にも広がっています。経営者自身がAIで情報を調べられるようになるなか、作業を代行するだけでは、税理士としての価値を伝えにくくなっていくでしょう。

AIは、まず普段の業務で試し、同じような作業を繰り返すようになったら、自動化や専用ツールの導入を考える流れでも十分です。

すべてを一度に変えるのではなく、毎月繰り返している作業からひとつずつ試し、生まれた時間を経営相談や提案など、人にしかできない仕事に使っていくことが大切です。

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