経営分析とは?目的・種類・手法・指標と進め方をまとめて整理

経営分析の目的や財務分析との違い、比率・実数・趨勢・他社比較の4つの視点から、収益性・安全性など代表指標の計算式、SWOTなどの定性分析、進め方4STEPまで解説します。

「決算書はあるがどのように分析すればよいかわからない」「数字は見ているがどこを改善するべきか判断できない」。このような悩みを抱えている方は少なくありません。

自社の状況を十分に把握できないままでは、業績の変化に気づくのが遅れたり、その場しのぎの対応が増えたりしてしまいます。

そこで役立つのが、経営分析です。

経営分析とは、決算書などの数字を一定の基準で確認・分析し、自社の強みや弱み、抱えている課題を明確にし次の行動につなげることです。

本記事では、経営分析の意味や目的、分析するときの見方や方法、よく使われる指標、実際の進め方までわかりやすく解説します。

自社の数字をどのように見て、何から取り組めばよいのかがわかるための内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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経営分析とは

経営分析とは、財務データや非財務データをもとに、自社の現状や課題を客観的に把握し、今後の意思決定に役立てるための取り組みです。

売上や利益などの数字を見るだけでなく、なぜその結果になったのかを確認し、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにします。

また、分析する対象は、決算書に記載される財務情報だけではありません。商品ごとの利益や営業状況、顧客数や継続率、従業員の生産性や離職率、在庫や入金までの流れなども含まれます。

こうした幅広い情報を確認することで、決算書だけではわからない背景も可視化し、今後どこに力を入れるべきかを判断しやすくなるでしょう。

経営分析の目的

経営分析の目的は、数字を整理することではなく、自社の状況を正しく把握し今後の判断や行動につなげることです。

経営分析は、次の3つの流れで進めます。

  • 自社の強みや弱みを、感覚ではなく数字で客観的に把握する

  • どこに問題があるのか具体的な課題を明らかにする

  • 問題を解決するための打ち手を決め実行する

経営分析では、何を優先すべきかを判断しやすくし、意思決定の質を高めることが大切です。

また、実行したあとの結果を確認することで、その判断が正しかったのか、次に何を見直すべきかがわかります。経営分析は一度で終わらせず、判断と改善を繰り返すために活用します。

経営分析と財務分析の違い

財務分析は経営分析の一部であり、経営分析のほうが幅広い情報を扱います。

それぞれの違いを、確認する情報や役割、調べる範囲に分けて見てみましょう。

項目

財務分析

経営分析

確認する情報

売上や利益、資産、負債などの財務情報

財務情報に加え、市場や競合、顧客、組織などの情報

役割

決算書の数字から会社の状態を確認する

幅広い情報をもとに今後の判断につなげる

分析対象

主に決算書の数字

会社の内外に関する情報

財務分析では、決算書の数字を使って、利益が出ているか、支払いに問題がないかなどを確認します。

一方、経営分析では、市場の動きや競合の状況、顧客や従業員に関する情報もあわせて確認し、今後どのような対応が必要かまで考えるのが特徴です。

売上や利益などの数字を確認しなければ、会社の状態を正しく判断することはできないため、経営分析を行ううえで、財務分析は特に重要です。そのため、本記事では財務分析を中心に解説します。

AIを使って財務データを分析する方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

財務分析をAIで実施する方法とは?ツールやプロンプト、最新のAI活用法まで解説

経営分析における4つの視点

経営分析では、数字を単独で見るのではなく、過去の実績や他社・業界、計画や目標と比べて、その差を確認することが大切です。

ここでは、経営分析でよく使われる4つの見方を紹介します。

  • 比率分析

  • 実数分析

  • 趨勢(時系列)分析

  • 他社・業界比較分析

比率分析

比率分析とは、財務諸表にある数字を組みあわせて割合を出し、会社の収益性や安全性などを確認する方法です。

たとえば、売上に対してどれくらいの利益が出ているか、会社の資産のうち自己資本がどれくらいあるかを調べます。

計算例|売上高営業利益率
売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
例:売上高1億円、営業利益800万円の場合
800万円 ÷ 1億円 × 100 = 8%

ただし、比率だけを見てもその数字が高いのか低いのかは判断できません。上の例で営業利益率が8%だったとしても、前年の実績や同じ業界の平均と比べることで、よくなっているのか、改善が必要なのかがわかります。

そのため、比率分析は数字を出して終わりではなく、過去の実績や他社、目標などと比べて確認することが大切です。

実数分析

実数分析とは、売上や利益、現金などの金額が、前の期と比べてどれくらい増えたか、減ったかを確認する方法です。

割合ではなく、実際に動いた金額を見るため、会社の規模や変化の大きさを掴みやすいという特徴があります。

計算例|売上の増減額
増減額 = 当期の実績 − 前期の実績
例:当期の売上1億2,000万円、前期の売上1億円の場合
1億2,000万円 − 1億円 = +2,000万円

比率だけを見ていると、割合の変化はわかっても、実際にどれくらいの金額が動いたのかまではわかりません。たとえば、利益率が1%上がった場合でも、売上の大きい会社では利益が数千万円増えることがあります。

そのため、変化の大きさや会社への影響を確認したいときは、比率だけでなく、実際の金額もあわせて見ることが欠かせません。

趨勢(時系列)分析

趨勢分析とは、数年分の数字を並べて、売上や利益などの変化や傾向を確認する方法です。

時系列分析とも呼ばれ、1年分の数字だけではわからない、改善や悪化の流れをつかめます。

計算例|趨勢比率
趨勢比率(%)= 各年の数値 ÷ 基準年の数値 × 100
例:基準年の売上を100とした場合
翌年が110、翌々年が125であれば、売上が年々増えていることがわかります。

1か月や1年分の数字だけでは、その変化が一時的なものなのか、しばらく続いているものなのかを判断しにくいことがあります。3年分や5年分の数字を並べることで、少しずつ悪化しているのか、回復しているのかがわかりやすくなるでしょう。

そのため、趨勢分析では一時点の数字だけを見るのではなく、一定期間の流れを確認することが重要です。

他社・業界比較分析

他社・業界比較分析とは、自社の数字を同じ業界の会社や業界平均と比べて、自社がどのような位置にいるのかを確認する方法です。

自社の数字だけでは、その結果がよいのか悪いのかを判断しにくいため、他社や業界の数字と比べて確認します。

計算例|業界平均との比較
自社の売上高営業利益率:8%
業界平均の売上高営業利益率:5%
自社のほうが3%高いため、業界平均よりも利益を出せていると判断できます。

ただし、同じ業界にある他社の詳しい財務情報を、一社ずつ集めるのは簡単ではありません。そのような場合は、業界の平均値を調べられる公的なサービスが役立つでしょう。

たとえば、中小企業基盤整備機構が提供する経営自己診断システムでは、決算書の数字を入力すると、200万社以上のデータと比較できます。登録せずに無料で利用できるため、自社の数字が業界内でどの程度なのかを確認したいときに便利です。

比較に使えるサービスやツールをさらに知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

主に社内に目を向けた定量面での分析と代表指標・計算式

ここからは、会社の経営状態を数字で確認するときに使う主な指標を紹介します。

指標は、次の5つの視点に分けて考えると整理しやすいです。

項目

内容

代表的な指標

収益性

効率よく利益を稼げているか

売上高利益率(利益 ÷ 売上高 × 100)

安全性

倒産しにくく、支払いに困らないか

自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本 × 100)

生産性

ヒトがどれだけ価値を生んだか

一人当たり売上高(売上高 ÷ 従業員数)

成長性

前年からどれだけ伸びたか

売上高成長率
((当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100)

効率性・活動性

資産を無駄なく回せているか

総資本回転率(売上高 ÷ 総資本)

それぞれの指標が何を表しているのか、計算結果をどのように見ればよいのかを順番に説明します。

収益性分析(ROA・ROE 等)

収益性分析とは、売上や会社が持つ資産、事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出せているかを確認する分析です。

会社の「利益を生み出す力」を見るもので、経営分析のなかでも特に重要な視点です。

指標

計算式

確認できること

売上高利益率

利益 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、どれくらいが利益として残ったか

ROA(総資産利益率)

利益 ÷ 総資産 × 100

会社が持つ資産全体を使って、どれくらい利益を出したか

ROE(自己資本利益率)

当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主が出したお金を使って、どれくらい利益を出したか

ROIC(投下資本利益率)

税引後営業利益 ÷ 投下資本 × 100

事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出したか

総資産に対する利益の割合であるROAと、自己資本に対する利益の割合であるROEは名前が似ていますが、計算のもとになる金額が異なります。

ROAは会社が持つ資産全体を使い、ROEはそのうち株主が出したお金である自己資本を使って計算します。

また、収益性を確認するときは、「いくら売れば利益が出るのか」を指す損益分岐点を知ることも大切です。

売上が損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字になり、売上目標を決めたり、費用の見直しを考えたりするときの目安として使われます。

安全性分析(自己資本比率・流動比率 等)

安全性分析とは、会社に支払い能力があるか、借入金の返済に無理がないかを確認する分析です。

ただし、適切とされる数値は業種によって異なり、在庫を多く持つ業種と、ほとんど在庫を持たない業種では、資産や負債の持ち方が違います。

そのため、ひとつの数値だけでよい・悪いを判断せず、同じ業界の平均や同業他社と比べて確認することが大切です。

指標

計算式

確認できること

自己資本比率

自己資本 ÷ 総資本 × 100

会社の資金のうち、返済する必要のない自己資本がどれくらいあるか

流動比率

流動資産 ÷ 流動負債 × 100

1年以内の支払いに充てられる資産がどれくらいあるか

当座比率

当座資産 ÷ 流動負債 × 100

現金や売掛金など、短期間で現金にしやすい資産で支払いに対応できるか

安全性を確認するときは、借入金の返済期間を示す債務償還年数と、利息の支払い余力を示すICR(インタレストカバレッジレシオ)も役立ちます。

債務償還年数は、現在の利益をもとに、借入金を返し終えるまでに何年かかるかを示す指標です。年数が短いほど、借入金を返す力が高いと考えられます。

ICRは、会社の利益で借入金の利息をどの程度支払えるかを示す指標です。数値が高いほど、利息の支払いに余裕があると判断できます。

どちらも、金融機関が融資を判断する際に使うことがあるため、借入れを検討している場合は確認しておきたい指標です。

生産性分析(労働生産性・付加価値率 等)

生産性分析とは、従業員や設備などを使って、どれくらい売上や付加価値を生み出せているかを確認する分析です。

なかでもよく使われるのが、従業員一人あたりの売上や付加価値を見る指標です。ここでいう付加価値とは、売上から材料費や外注費などを差し引いた、会社が新たに生み出した価値を指します。

指標

計算式

確認できること

一人あたり売上高

売上高 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの売上を上げているか

労働生産性

付加価値 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの付加価値を生み出しているか

付加価値率

付加価値 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、会社が生み出した付加価値がどれくらいあるか

一人あたり売上高は計算しやすく、会社の生産性を簡単に確認できる指標です。ただし、外注を増やして売上を伸ばしている場合も数値が高くなるため、その数字だけで生産性が高いとは判断できません。

会社が実際にどれくらいの価値を生み出しているかを確認したい場合は、一人あたり売上高だけでなく、労働生産性や付加価値率もあわせて見ることが大切です。

成長性分析(売上高成長率 等)

成長性分析とは、売上や利益、自己資本が前年と比べてどれくらい増えたかを確認する分析です。

現在の会社の規模だけでなく、事業がどの程度伸びているかを見るために使います。

指標

計算式

確認できること

売上高成長率(増収率)

(当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100

売上が前年と比べてどれくらい増えたか

経常利益成長率

(当期経常利益 − 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100

経常利益が前年と比べてどれくらい増えたか

自己資本増減率

(当期自己資本 − 前期自己資本)÷ 前期自己資本 × 100

返済する必要のない自己資本がどれくらい増えたか

売上の伸びを示す売上高成長率や、自己資本の増減を示す自己資本増減率を計算するには、当期と前期のデータが必要です。単年度の数値だけで判断せず、数年間の変化も確認しましょう。

また、市場の変化や新規事業の開始など、数値が変動した理由もあわせて確認することが大切です。

効率性・活動性分析(総資本回転率 等)

効率性・活動性分析とは、会社が持つ資産を使って、どれくらい効率よく売上を上げているかを確認する分析です。

同じ売上を上げている場合でも、使っている資産が少ない会社のほうが、効率よく事業を行っていると考えられます。

指標

計算式

確認できること

総資本回転率

売上高 ÷ 総資本

会社が持つ資産全体を使って、1年間にどれくらい売上を上げたか

売上債権回転日数

売上債権 ÷ 売上高 × 365

売上が現金として入金されるまでに何日かかっているか

棚卸資産回転日数

棚卸資産 ÷ 売上高 × 365

仕入れた商品や材料が売れるまでに何日かかっているか

売上代金の回収にかかる日数を示す売上債権回転日数や、商品や材料を在庫として保有する日数を示す棚卸資産回転日数は、日数が短いほど、売上代金の回収や在庫の販売が早いと考えられます。一方で、入金までに時間がかかったり、在庫が長く残ったりすると、その間は現金が入ってきません。

利益が出ていても、入金が遅れたり在庫が増えたりすると、支払いに使える現金が不足することがあります。そのため、売上や利益だけでなく、売上代金をどのくらい早く回収できているかも確認することが大切です。

主に社内外に目を向けた定性面での分析

数字のみを使った分析では、会社が今どのような状態にあるかを確認できますが、なぜその結果になったのかまでは、わからないことがあります。

そこで役立つのが、市場や競合、自社の状況を整理する定性分析です。

ここでは、定性分析でよく使われる5つの方法を紹介しますので、自社の状況を当てはめながら確認してみてください。

  • SWOT分析

  • 3C分析

  • PEST分析

  • 5フォース分析

  • バリューチェーン分析

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を整理する方法です。

社内の状況と社外の状況を、よい面と悪い面に分けて確認することで、自社が置かれている状況を整理しやすくなります。


プラスの要素

マイナスの要素

社内の状況

強み(Strength)
例:駅前にあり、来店しやすい

弱み(Weakness)
例:席数が少なく、一度に多くの客を受け入れられない

社外の状況

機会(Opportunity)
例:在宅勤務をする人が増え、日中の利用が見込める

脅威(Threat)
例:近くに大手のカフェが出店する

たとえば、カフェの経営であれば、駅前にあることは強み、席数が少ないことは弱みとして整理できます。また、在宅勤務をする人が増えていることは機会、近くに大手のカフェが出店することは脅威になるでしょう。

それぞれの内容を書き出したあとは、自社の強みをどのように生かすか、弱みをどのように補うかを考えます。市場の変化とあわせて確認することで、今後どのような取り組みが必要かを考えやすくなります。

3C分析

3C分析とは、市場・顧客、競合、自社の3つの視点から、事業に影響する環境を整理する方法です。

それぞれの英語表記の頭文字がCで始まるため、3C分析と呼ばれています。

視点

確認すること

食品メーカーの例

Customer(市場・顧客)

市場の大きさや今後の伸び、顧客が求めている商品やサービス

健康を意識した食品や、手軽に食べられる商品を求める人が増えている

Competitor(競合)

競合する会社の強みや弱み、価格、商品の特徴

大手メーカーは価格や知名度に強く、地域のメーカーは地元の食材を使った商品を販売している

Company(自社)

自社の強みや弱み、使える人材や設備、他社と違う点

地元の農家とのつながりがあり、新鮮な食材を使った商品を作れる

たとえば、地域の食品メーカーであれば、顧客は健康や手軽さを重視する消費者、競合は大手メーカーやほかの地域メーカーとして整理できます。自社については、地元の農家とのつながりや、地域の食材を使えることなどが強みになるでしょう。

市場や顧客が求めていること、競合の特徴、自社の強みを順番に確認することで、どのような商品に力を入れるべきかを考えやすくなります。

PEST分析

PEST分析とは、政治・経済・社会・技術という4つのマクロ環境の視点から、自社に影響のある大きな変化を整理する方法です。

法律や景気、人口の変化、新しい技術など、自社だけでは変えにくい外部の動きを確認することで、今後の事業への影響を考えやすくなります。

要素

確認すること

学習塾の例

Politics(政治)

法改正や制度の変更、規制の強化・緩和

学習指導要領や入試制度が変わり、必要とされる授業内容も変わる

Economics(経済)

景気や物価、金利、原材料費などの動き

物価の上昇により、家庭が教育費を見直す可能性がある

Society(社会)

人口や暮らし方、考え方の変化

少子化が進む一方で、子ども一人あたりにかける教育費が増える

Technology(技術)

新しい技術やサービスの広がり

オンライン授業や学習アプリが普及し、通塾以外の選択肢が増える

たとえば学習塾であれば、入試制度の変更は政治、物価の上昇は経済、少子化は社会、オンライン授業の普及は技術の変化として整理できるでしょう。

こうした変化は、自社の努力だけで止めることはできません。数年先までの動きを考えながら、授業内容や料金、教室の運営方法などを見直すために活用します。

5フォース分析

5フォース分析とは、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、顧客の交渉力、仕入先の交渉力という5つの視点から、その業界で利益を出しやすいかを確認する方法です。

競争が激しい業界や、値下げを求められやすい業界では、売上があっても十分な利益を残せないことがあります。5つの力を整理することで、自社の利益に影響を与えているものがわかりやすくなるでしょう。

5つの力

確認すること

住宅リフォーム会社の例

業界内の競争

同じ業界にある会社どうしの競争がどれくらい激しいか

地域に多くのリフォーム会社があり、価格や工事内容の競争が起きている

新規参入の脅威

新しい会社が業界に入りやすいか

工務店や家電量販店など、別の業種から参入する会社が増えている

代替品の脅威

別の商品やサービスに置き換えられる可能性があるか

リフォームではなく、中古住宅の買い替えや建て替えを選ぶ人もいる

顧客の交渉力

顧客が価格や条件について、どれくらい強く交渉できるか

複数の会社から見積もりを取り、値下げを求める顧客が多い

仕入先の交渉力

仕入先が価格や取引条件に、どれくらい影響を与えられるか

建材や住宅設備の価格が上がると、工事にかかる費用も増える

たとえば住宅リフォーム業界では、地域の会社どうしの競争に加え、工務店や家電量販店などの新規参入も考えられます。また、顧客が複数の会社から見積もりを取るため、価格を下げなければ受注できない場合もあるでしょう。

5つの力が強い業界ほど、利益を残しにくいと考えられます。それぞれの力を確認することで、価格以外で他社と差をつける方法や、仕入れ費用を抑える方法などを考えやすくなります。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、商品やサービスを顧客に届けるまでの流れを分けて、どの仕事で価値が生まれ、どの仕事に費用や時間がかかっているかを確認する方法です。

仕入れや製造、販売などの仕事を順番に整理することで、自社の強みがどこにあるのか、どの部分を見直す必要があるのかがわかりやすくなります。

活動

確認すること

家具メーカーの例

仕入れ・受け入れ

材料を安定して仕入れられているか、品質や価格に問題がないか

木材や金具を仕入れ、品質を確認して保管する

製造

品質を保ちながら、効率よく商品を作れているか

木材の加工、組み立て、塗装、仕上げを行う

出荷・配送

商品を予定どおり、安全に届けられているか

完成した家具を梱包し、店舗や購入者に配送する

販売・集客

商品のよさを伝え、購入につなげられているか

店舗やWebサイトで販売し、広告や展示会で商品を紹介する

購入後の対応

購入後も顧客に満足してもらえているか

修理や部品交換、問い合わせへの対応を行う

たとえば家具メーカーであれば、木材の仕入れから製造、配送、販売、購入後の修理までの流れを順番に確認し、職人の加工技術や商品の品質、丁寧な修理対応など、顧客に選ばれている理由を整理します。

一方で、材料の仕入れ価格が高い、製造に時間がかかる、配送中の破損が多いといった問題も見つけやすくなるでしょう。それぞれの仕事を確認することで、どこを伸ばし、どこにかかる費用や時間を見直すべきかを考えやすくなります。

経営分析の進め方4STEP

経営分析は、目的を決めて必要なデータを集め、数字から課題を見つける流れで進めます。

ここでは、分析結果を具体的な取り組みやその後の確認につなげるまでの4つの手順を紹介します。

  • ①目的と見る指標を決める

  • ②財務・経営データを収集・整備する

  • ③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

  • ④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

①目的と見る指標を決める

最初に、経営分析で何を明らかにしたいのかを決め、その目的に合った指標を選ぶことが大事です。

会社の支払い能力を確認したいのか、顧客の変化を知りたいのか、従業員の生産性を調べたいのかによって、見るべき数字や分析方法は異なります。

目的が決まっていないと、確認する数字が増えすぎて、何を判断すればよいのかわからなくなります。「自己資本比率が下がった原因を知りたい」「売上が伸びない理由を調べたい」など、知りたいことをできるだけ具体的にしておきましょう。

また、目的を決めるときは、分析結果を見たあとにどのような対応ができるかも考えておくことが大切です。実際に取り組める内容をあらかじめ考えておくことで、現実的でない対策や一般的な案にならず、具体的な改善につなげやすくなります。

②財務・経営データを収集・整備する

目的を決めたら、決算書や会計ソフトから分析に必要な財務・経営データの数字を集め、比較しやすい形に整理します。必要に応じて、売上や利益だけでなく、顧客数や従業員数、在庫などの情報も用意しましょう。

データを整理するときは、集計する期間や部門、勘定科目の分け方をそろえることが大切です。年度ごとに集計方法が違っていたり、同じ費用を別の項目に分けていたりすると、数字を正しく比べられません。

分析結果の正しさはもとになるデータによって変わるため、数字に間違いや抜けがないかを確認し、同じ条件で比較できる状態にしておきましょう。

③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

データが整理できたら、収益性や安全性などの指標を計算し、自社の強みや課題を確認します。

計算した数字は、過去の実績や同業他社、業界平均、目標などと比べることで、よい状態なのか、改善が必要なのかを判断しやすくなるでしょう。

また、SWOT分析や3C分析などを使い、市場の変化や競合の動き、自社の特徴を整理することも大切です。数字とその背景をあわせて確認することで、なぜその結果になったのかを考えやすくなります。フレームワークは大変有用な一方で、当てはめることに拘りすぎると意味のない帰結が導かれる恐れもあります。目的に立ち返って考えることが重要です。

分析した内容は、経営者や担当者だけでなく、関係する部署とも共有しましょう。現場の状況と数字を照らしあわせることで、より実際の状況に合った課題を見つけやすくなります。

④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

さいごに、分析で見つかった課題に対して、具体的に何をするかを決め、その後の変化を継続的に確認していきます。経営分析は、数字を確認して終わりではなく、実際の改善につなげることが大切です。

たとえば、利益率が下がっている場合は、仕入れ先の見直しや価格の変更、経費の削減など、原因に合った対応を考えます。取り組む内容を決めるときは、担当者や期限、確認する指標もあわせて決めておきましょう。

対応を始めたあとは、売上や利益などの数字がどのように変化したかを毎月確認します。思うような結果が出ていない場合は、原因を見直し、別の方法を試すことも必要です。

このように、分析、実行、確認、見直しを繰り返すことで、経営分析を継続的な改善に役立てられます。

経営分析を効率化する3つのアプローチ

経営分析を続けていくためには、数字の集計や比較にかかる手間を減らし、確認や判断に時間を使えるようにすることが大切です。

継続的に経営分析を効率よく進めるための3つの方法を紹介します。

  • エクセルを活用する

  • チャット型AI・AIエージェントを活用する

  • 経営分析ツールを導入する

エクセルを活用する

エクセルは、経営分析を手軽に始めたいときに使いやすい方法です。

無料のひな形を使えば、指標の計算やグラフの作成をすぐに始められます。計算式や表の形を自由に変えられるため、自社の目的にあわせて使える点もメリットです。

一方で、毎月使い続ける場合は、数字の入力や更新に手間がかかります。また、計算式や使い方を一人の担当者しか把握していないと、その人がいないと更新できなくなることもあります。

複数人で同じファイルを使う場合は、入力の重複や古いファイルを編集するといったミスにも注意が必要です。

一度だけ行う分析や、確認する数字がそれほど多くない場合ではエクセルで十分に分析できます。

無料で使えるテンプレートやツールを具体的に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

チャット型AI・AIエージェントを活用する

チャット型AIやAIエージェントを使うと、経営分析にかかる作業を減らせます。

決算データの整理や要約、前月・前年との比較、確認すべき点の洗い出しなどをAIに任せられることがメリットです。

ChatGPTなどのチャット型AIは、決算書や売上データを読み込ませて質問するだけで利用できます。また、AIエージェントを使えば、データの取得や整理、指標の計算、レポートの作成までを続けて行えます。

準備には知識や手間が必要ですが、毎月同じ流れで分析する場合は、作業時間の削減につながりやすいです。

まずはチャット型AIで決算データの要約や比較から始め、必要に応じてAIエージェントによる自動化を検討するとよいでしょう。ただし、AIの回答には誤りが含まれることもあるため、計算結果や判断の理由は必ず確認する必要があります。

AIを経営管理に取り入れる方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

AIで経営管理を効率化する方法とは?活用シーンやポイントを解説

経営分析ツールを導入する

毎月経営分析を続ける場合は、専用の経営分析ツールを導入する方法があります。

会計ソフトとの連携や指標の計算、グラフの作成などを自動で行えるため、データの入力や集計にかかる手間を減らせるでしょう。

また、会計ソフトから最新のデータを取り込み、売上や利益の変化をすぐに確認できます。予算と実績の比較や、今後の売上・資金の見込みを確認できるものもあり、複数の情報をひとつの画面で管理できることも特徴です。

毎月エクセルに数字を入力したり、同じ資料を作り直したりしている場合は、作業時間を大幅に減らせる可能性があります。

そのため、経営分析を継続して行いたい会社や、複数の担当者で同じ数字を確認したい会社に向いています。導入する際は、自社が使っている会計ソフトと連携できるか、必要な指標や機能がそろっているかを確認しましょう。

経営分析に使えるさまざまなツールを比較したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

経営分析を学ぶための本・資格・サイトなど

経営分析を身につけるには、本や資格、学習サイトなどを使って、基本から順番に学ぶ方法があります。

自分の知識や目的に合った学び方を選べるように、役立つ本・資格・サービスを紹介します。

  • 経営分析が学べるおすすめの本

  • 経営分析に役立つ資格

  • 経営分析が学べるサイト・サービス

経営分析が学べるおすすめの本

経営分析を自分で学びたい場合は、まず本から始めるとよいでしょう。経営分析や決算書について学べる本は数多くありますが、最初の一冊として選びやすいものには、次の3冊があります。

本のタイトル

概要

「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」

財務三表の読み方をはじめ、ファイナンスや管理会計の基礎まで幅広く学べる。
会計とファイナンスのつながりを、一冊でまとめて理解したい方に向いています。

「決算書×ビジネスモデル大全 会社の数字から儲かる仕組みまでいっきにわかる」

41社の事例と図解を通して、決算書の数字と会社が利益を生み出す仕組みの関係を学べる。
実際の企業を例に、決算書の読み方をわかりやすく学びたい方に向いています。

「ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略」

経営に悩む会社を題材にしたストーリーを通して、会社の将来を考えるためのファイナンス思考を学べる。
難しい内容を物語形式で読み進めたい方に向いています。


引用・参照:「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」Amazon

いずれも、決算書の読み方や会社のお金に関する考え方を学べる本です。専門知識が少ない方でも、基本から読み進めやすい内容になっています。

本や講座を選ぶときは、口コミだけで決めず、出版社の紹介ページや試験・サービスの公式サイトも確認しましょう。学べる内容や対象者、費用などを事前に確認しておくと、自分に合ったものを選びやすくなります。

決算書の読み方を学びたいのか、経営判断に生かしたいのかなど、自社の状況をふまえ、現在の知識や学ぶ目的を確認したうえで目的に合った本を選びましょう。

経営分析に役立つ資格

経営分析を基礎から順番に学びたい場合は、資格の勉強も大切です。試験に向けて学ぶことで、決算書の読み方や会計、経営に関する知識を整理しながら身につけられます。

たとえば、経営分析に役立つ資格の一つに、決算書の読み方や会計の基礎を学べる「ビジネス会計検定試験」があります。

引用・参照:「ビジネス会計検定試験」大阪商工会議所、施行商工会議所

資格

どのような資格か

学べること

ビジネス会計検定

決算書を読む力を身につける検定

財務諸表の読み方や分析方法

日商簿記検定

簿記や会計の知識を学ぶ検定

日々の取引を記録し、決算書を作るまでの流れ

中小企業診断士

経営に関する幅広い知識を学ぶ国家資格

経営戦略や財務、マーケティング、組織運営など

FASS検定

経理や財務の仕事に必要な知識を確認する検定

経理・財務の実務や財務分析に関する知識

どの資格を選ぶかは、学ぶ目的によって異なるため、決算書を読む力を身につけたい場合はビジネス会計検定、会計の仕組みから学びたい場合は日商簿記検定など、自分に必要な知識にあわせて選びましょう。

ただし、資格を取るだけで経営分析ができるようになるとは限りません。学んだ知識を自社の決算書や実際の経営課題に当てはめ、どのように判断や改善に役立てるかまで考えることが大切です。

経営分析が学べるサイト・サービス

まとまった勉強時間を取りにくい場合は、オンラインの学習サービスが便利です。動画を使って、自分の都合にあわせて少しずつ学べます。

たとえば、経営分析の基礎となる会計知識をオンラインで学べるサービスの一つに、「cpa learning」があります。

引用・参照:「cpa learning」CPA

たとえば「cpa learning」では、簿記や会計に関する講義を無料で受けられ、経営分析の基本となる会計の知識を、費用をかけずに学びたい方に向いているでしょう。

必要な内容に絞って学びたい場合は、Udemyなどのオンライン学習サービスもあります。財務分析やExcelを使ったデータ分析など、テーマごとに講座を選べるため、仕事に必要な内容から学び始められます。

学びやすい方法は、使える時間や現在の知識によって異なるため、まずは無料で利用できるサービスを試し、無理なく続けられるものを選ぶとよいでしょう。

経営分析を効率化するなら「metrics」

これまで、経営分析の考え方や主な指標、進め方、作業を効率化する方法を紹介してきました。データを集めて分析し、改善に向けた対応を考えるまでの作業をまとめて行いたい場合は、経営分析ツールの利用が便利です。

そのなかでも当社が開発・運営する「metrics」は、会計データをわかりやすく表示し、経営判断に必要な情報をすぐに確認できるクラウド型の経営分析ツールです。税理士事務所や企業など、さまざまな場面で利用されています。

metricsの主な特徴は、次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsのダッシュボードでは、経営判断に必要な数字をひとつの画面にまとめて確認できます。Excelで毎月レポートを作り直す必要がなくなり、月次報告の準備にかかる時間を減らせます。

売上や利益の変化、費用の内訳、現金の動きなどがグラフで表示されるため、会計に詳しくない方にも会社の状況を伝えやすくなるでしょう。

気になる数字をクリックすると、もとになった仕訳の明細まで確認できるため、会議中に出た疑問もその場で調べられます。

資料作成にかかる時間を減らすことで、会議では数字の報告だけでなく、課題の確認や今後の対応について話し合う時間を増やせます。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字だけでなく、このまま進んだ場合に売上や利益がどうなるかも確認できます。予算の数字を入力すると損益の見込みがすぐに更新されるため、画面を見ながら来期の計画を作れることも特徴です。

細かい予算を作る時間がない場合は、過去の実績をもとに期末の売上や利益を見積もる「自動予測」も利用できます。作成した予算と自動予測はダッシュボード上で切り替えられるため、現在の実績と今後の見込みを比べながら、予算と実績を管理できる便利なツールです。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データの分析やダッシュボードの作成、予算案の作成を支援するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数字の大きな変化や確認が必要な点を整理するため、重要な内容を見つけやすくなります。

たとえば、「売上と費用を並べて確認したい」と入力することで、必要なグラフを使ったダッシュボードの作成が可能です。また、「来期は売上を20%増やしたい」といった目標を伝えることで、予算案の作成も進められます。

これまで担当者が時間をかけて行っていた数字の確認や課題の整理をAIが支援するため、経験が少ない担当者でも分析を進めやすくなります。

実際の操作画面は、以下のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsは、freeeマネーフォワードと連携できます。連携を許可すると、仕訳や帳票のデータが自動で取り込まれ、勘定科目とキャッシュフロー項目の振り分けも行われ、担当者がひとつずつ入力したり、データを整理したりする必要はありません。

会計ソフトで数字を更新すると、その内容がmetricsにも自動で反映されます。毎回データを入力し直す必要がないため、いつでも最新の数字を確認できます。

データの入力や整理にかかる時間を減らすことで、数字の分析や今後の対応を考える仕事に時間を使いやすくなるでしょう。

経営分析にかかる手間を減らしたい企業の方や、顧客への提案に力を入れたい税理士の方は、無料デモで実際の画面や操作方法をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

まとめ

本記事では、経営分析の意味や目的、主な分析方法や指標、進め方、作業を効率化する方法について紹介しました。

経営分析では、数字を確認するだけではなく、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにし、具体的な対応につなげることが大切です。

分析するときは、比率や実際の金額、過去からの変化、他社や業界平均との比較などを使って数字を確認します。さらに、収益性や安全性、生産性、成長性、効率性などの指標に加え、SWOT分析や3C分析なども使うことで、数字が変化した理由を考えやすくなるでしょう。

経営分析は、目的と確認する指標を決め、必要なデータを集めて整理し、数字とその背景を分析したうえで、改善に向けた対応を決める流れで進めます。

ただし、毎月のデータ入力や集計、資料作成をすべて手作業で行うと、大きな負担になります。エクセルやAI、経営分析ツールを使って作業を減らし、数字を集める時間よりも、結果を確認して今後の対応を考える時間を増やしましょう。

経営分析にかかる作業を減らし、数字の確認や改善策の検討に時間を使いたい方は、会計データの分析や予算管理をまとめて行えるmetricsをご活用ください。

metricsサービスサイト

「決算書はあるがどのように分析すればよいかわからない」「数字は見ているがどこを改善するべきか判断できない」。このような悩みを抱えている方は少なくありません。

自社の状況を十分に把握できないままでは、業績の変化に気づくのが遅れたり、その場しのぎの対応が増えたりしてしまいます。

そこで役立つのが、経営分析です。

経営分析とは、決算書などの数字を一定の基準で確認・分析し、自社の強みや弱み、抱えている課題を明確にし次の行動につなげることです。

本記事では、経営分析の意味や目的、分析するときの見方や方法、よく使われる指標、実際の進め方までわかりやすく解説します。

自社の数字をどのように見て、何から取り組めばよいのかがわかるための内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

経営支援ツールで付加価値を創出

metricsは、税理士・中小企業向けのクラウド経営分析ツールです。
freeeやマネーフォワードとのAPI連携で財務データを自動取得し、月次レポートの作成や顧問先への経営報告をスムーズにします。
経営分析をAIで効率化したい方は、こちらをご覧ください。

経営分析とは

経営分析とは、財務データや非財務データをもとに、自社の現状や課題を客観的に把握し、今後の意思決定に役立てるための取り組みです。

売上や利益などの数字を見るだけでなく、なぜその結果になったのかを確認し、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにします。

また、分析する対象は、決算書に記載される財務情報だけではありません。商品ごとの利益や営業状況、顧客数や継続率、従業員の生産性や離職率、在庫や入金までの流れなども含まれます。

こうした幅広い情報を確認することで、決算書だけではわからない背景も可視化し、今後どこに力を入れるべきかを判断しやすくなるでしょう。

経営分析の目的

経営分析の目的は、数字を整理することではなく、自社の状況を正しく把握し今後の判断や行動につなげることです。

経営分析は、次の3つの流れで進めます。

  • 自社の強みや弱みを、感覚ではなく数字で客観的に把握する

  • どこに問題があるのか具体的な課題を明らかにする

  • 問題を解決するための打ち手を決め実行する

経営分析では、何を優先すべきかを判断しやすくし、意思決定の質を高めることが大切です。

また、実行したあとの結果を確認することで、その判断が正しかったのか、次に何を見直すべきかがわかります。経営分析は一度で終わらせず、判断と改善を繰り返すために活用します。

経営分析と財務分析の違い

財務分析は経営分析の一部であり、経営分析のほうが幅広い情報を扱います。

それぞれの違いを、確認する情報や役割、調べる範囲に分けて見てみましょう。

項目

財務分析

経営分析

確認する情報

売上や利益、資産、負債などの財務情報

財務情報に加え、市場や競合、顧客、組織などの情報

役割

決算書の数字から会社の状態を確認する

幅広い情報をもとに今後の判断につなげる

分析対象

主に決算書の数字

会社の内外に関する情報

財務分析では、決算書の数字を使って、利益が出ているか、支払いに問題がないかなどを確認します。

一方、経営分析では、市場の動きや競合の状況、顧客や従業員に関する情報もあわせて確認し、今後どのような対応が必要かまで考えるのが特徴です。

売上や利益などの数字を確認しなければ、会社の状態を正しく判断することはできないため、経営分析を行ううえで、財務分析は特に重要です。そのため、本記事では財務分析を中心に解説します。

AIを使って財務データを分析する方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

財務分析をAIで実施する方法とは?ツールやプロンプト、最新のAI活用法まで解説

経営分析における4つの視点

経営分析では、数字を単独で見るのではなく、過去の実績や他社・業界、計画や目標と比べて、その差を確認することが大切です。

ここでは、経営分析でよく使われる4つの見方を紹介します。

  • 比率分析

  • 実数分析

  • 趨勢(時系列)分析

  • 他社・業界比較分析

比率分析

比率分析とは、財務諸表にある数字を組みあわせて割合を出し、会社の収益性や安全性などを確認する方法です。

たとえば、売上に対してどれくらいの利益が出ているか、会社の資産のうち自己資本がどれくらいあるかを調べます。

計算例|売上高営業利益率
売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
例:売上高1億円、営業利益800万円の場合
800万円 ÷ 1億円 × 100 = 8%

ただし、比率だけを見てもその数字が高いのか低いのかは判断できません。上の例で営業利益率が8%だったとしても、前年の実績や同じ業界の平均と比べることで、よくなっているのか、改善が必要なのかがわかります。

そのため、比率分析は数字を出して終わりではなく、過去の実績や他社、目標などと比べて確認することが大切です。

実数分析

実数分析とは、売上や利益、現金などの金額が、前の期と比べてどれくらい増えたか、減ったかを確認する方法です。

割合ではなく、実際に動いた金額を見るため、会社の規模や変化の大きさを掴みやすいという特徴があります。

計算例|売上の増減額
増減額 = 当期の実績 − 前期の実績
例:当期の売上1億2,000万円、前期の売上1億円の場合
1億2,000万円 − 1億円 = +2,000万円

比率だけを見ていると、割合の変化はわかっても、実際にどれくらいの金額が動いたのかまではわかりません。たとえば、利益率が1%上がった場合でも、売上の大きい会社では利益が数千万円増えることがあります。

そのため、変化の大きさや会社への影響を確認したいときは、比率だけでなく、実際の金額もあわせて見ることが欠かせません。

趨勢(時系列)分析

趨勢分析とは、数年分の数字を並べて、売上や利益などの変化や傾向を確認する方法です。

時系列分析とも呼ばれ、1年分の数字だけではわからない、改善や悪化の流れをつかめます。

計算例|趨勢比率
趨勢比率(%)= 各年の数値 ÷ 基準年の数値 × 100
例:基準年の売上を100とした場合
翌年が110、翌々年が125であれば、売上が年々増えていることがわかります。

1か月や1年分の数字だけでは、その変化が一時的なものなのか、しばらく続いているものなのかを判断しにくいことがあります。3年分や5年分の数字を並べることで、少しずつ悪化しているのか、回復しているのかがわかりやすくなるでしょう。

そのため、趨勢分析では一時点の数字だけを見るのではなく、一定期間の流れを確認することが重要です。

他社・業界比較分析

他社・業界比較分析とは、自社の数字を同じ業界の会社や業界平均と比べて、自社がどのような位置にいるのかを確認する方法です。

自社の数字だけでは、その結果がよいのか悪いのかを判断しにくいため、他社や業界の数字と比べて確認します。

計算例|業界平均との比較
自社の売上高営業利益率:8%
業界平均の売上高営業利益率:5%
自社のほうが3%高いため、業界平均よりも利益を出せていると判断できます。

ただし、同じ業界にある他社の詳しい財務情報を、一社ずつ集めるのは簡単ではありません。そのような場合は、業界の平均値を調べられる公的なサービスが役立つでしょう。

たとえば、中小企業基盤整備機構が提供する経営自己診断システムでは、決算書の数字を入力すると、200万社以上のデータと比較できます。登録せずに無料で利用できるため、自社の数字が業界内でどの程度なのかを確認したいときに便利です。

比較に使えるサービスやツールをさらに知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

主に社内に目を向けた定量面での分析と代表指標・計算式

ここからは、会社の経営状態を数字で確認するときに使う主な指標を紹介します。

指標は、次の5つの視点に分けて考えると整理しやすいです。

項目

内容

代表的な指標

収益性

効率よく利益を稼げているか

売上高利益率(利益 ÷ 売上高 × 100)

安全性

倒産しにくく、支払いに困らないか

自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本 × 100)

生産性

ヒトがどれだけ価値を生んだか

一人当たり売上高(売上高 ÷ 従業員数)

成長性

前年からどれだけ伸びたか

売上高成長率
((当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100)

効率性・活動性

資産を無駄なく回せているか

総資本回転率(売上高 ÷ 総資本)

それぞれの指標が何を表しているのか、計算結果をどのように見ればよいのかを順番に説明します。

収益性分析(ROA・ROE 等)

収益性分析とは、売上や会社が持つ資産、事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出せているかを確認する分析です。

会社の「利益を生み出す力」を見るもので、経営分析のなかでも特に重要な視点です。

指標

計算式

確認できること

売上高利益率

利益 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、どれくらいが利益として残ったか

ROA(総資産利益率)

利益 ÷ 総資産 × 100

会社が持つ資産全体を使って、どれくらい利益を出したか

ROE(自己資本利益率)

当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主が出したお金を使って、どれくらい利益を出したか

ROIC(投下資本利益率)

税引後営業利益 ÷ 投下資本 × 100

事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出したか

総資産に対する利益の割合であるROAと、自己資本に対する利益の割合であるROEは名前が似ていますが、計算のもとになる金額が異なります。

ROAは会社が持つ資産全体を使い、ROEはそのうち株主が出したお金である自己資本を使って計算します。

また、収益性を確認するときは、「いくら売れば利益が出るのか」を指す損益分岐点を知ることも大切です。

売上が損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字になり、売上目標を決めたり、費用の見直しを考えたりするときの目安として使われます。

安全性分析(自己資本比率・流動比率 等)

安全性分析とは、会社に支払い能力があるか、借入金の返済に無理がないかを確認する分析です。

ただし、適切とされる数値は業種によって異なり、在庫を多く持つ業種と、ほとんど在庫を持たない業種では、資産や負債の持ち方が違います。

そのため、ひとつの数値だけでよい・悪いを判断せず、同じ業界の平均や同業他社と比べて確認することが大切です。

指標

計算式

確認できること

自己資本比率

自己資本 ÷ 総資本 × 100

会社の資金のうち、返済する必要のない自己資本がどれくらいあるか

流動比率

流動資産 ÷ 流動負債 × 100

1年以内の支払いに充てられる資産がどれくらいあるか

当座比率

当座資産 ÷ 流動負債 × 100

現金や売掛金など、短期間で現金にしやすい資産で支払いに対応できるか

安全性を確認するときは、借入金の返済期間を示す債務償還年数と、利息の支払い余力を示すICR(インタレストカバレッジレシオ)も役立ちます。

債務償還年数は、現在の利益をもとに、借入金を返し終えるまでに何年かかるかを示す指標です。年数が短いほど、借入金を返す力が高いと考えられます。

ICRは、会社の利益で借入金の利息をどの程度支払えるかを示す指標です。数値が高いほど、利息の支払いに余裕があると判断できます。

どちらも、金融機関が融資を判断する際に使うことがあるため、借入れを検討している場合は確認しておきたい指標です。

生産性分析(労働生産性・付加価値率 等)

生産性分析とは、従業員や設備などを使って、どれくらい売上や付加価値を生み出せているかを確認する分析です。

なかでもよく使われるのが、従業員一人あたりの売上や付加価値を見る指標です。ここでいう付加価値とは、売上から材料費や外注費などを差し引いた、会社が新たに生み出した価値を指します。

指標

計算式

確認できること

一人あたり売上高

売上高 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの売上を上げているか

労働生産性

付加価値 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの付加価値を生み出しているか

付加価値率

付加価値 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、会社が生み出した付加価値がどれくらいあるか

一人あたり売上高は計算しやすく、会社の生産性を簡単に確認できる指標です。ただし、外注を増やして売上を伸ばしている場合も数値が高くなるため、その数字だけで生産性が高いとは判断できません。

会社が実際にどれくらいの価値を生み出しているかを確認したい場合は、一人あたり売上高だけでなく、労働生産性や付加価値率もあわせて見ることが大切です。

成長性分析(売上高成長率 等)

成長性分析とは、売上や利益、自己資本が前年と比べてどれくらい増えたかを確認する分析です。

現在の会社の規模だけでなく、事業がどの程度伸びているかを見るために使います。

指標

計算式

確認できること

売上高成長率(増収率)

(当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100

売上が前年と比べてどれくらい増えたか

経常利益成長率

(当期経常利益 − 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100

経常利益が前年と比べてどれくらい増えたか

自己資本増減率

(当期自己資本 − 前期自己資本)÷ 前期自己資本 × 100

返済する必要のない自己資本がどれくらい増えたか

売上の伸びを示す売上高成長率や、自己資本の増減を示す自己資本増減率を計算するには、当期と前期のデータが必要です。単年度の数値だけで判断せず、数年間の変化も確認しましょう。

また、市場の変化や新規事業の開始など、数値が変動した理由もあわせて確認することが大切です。

効率性・活動性分析(総資本回転率 等)

効率性・活動性分析とは、会社が持つ資産を使って、どれくらい効率よく売上を上げているかを確認する分析です。

同じ売上を上げている場合でも、使っている資産が少ない会社のほうが、効率よく事業を行っていると考えられます。

指標

計算式

確認できること

総資本回転率

売上高 ÷ 総資本

会社が持つ資産全体を使って、1年間にどれくらい売上を上げたか

売上債権回転日数

売上債権 ÷ 売上高 × 365

売上が現金として入金されるまでに何日かかっているか

棚卸資産回転日数

棚卸資産 ÷ 売上高 × 365

仕入れた商品や材料が売れるまでに何日かかっているか

売上代金の回収にかかる日数を示す売上債権回転日数や、商品や材料を在庫として保有する日数を示す棚卸資産回転日数は、日数が短いほど、売上代金の回収や在庫の販売が早いと考えられます。一方で、入金までに時間がかかったり、在庫が長く残ったりすると、その間は現金が入ってきません。

利益が出ていても、入金が遅れたり在庫が増えたりすると、支払いに使える現金が不足することがあります。そのため、売上や利益だけでなく、売上代金をどのくらい早く回収できているかも確認することが大切です。

主に社内外に目を向けた定性面での分析

数字のみを使った分析では、会社が今どのような状態にあるかを確認できますが、なぜその結果になったのかまでは、わからないことがあります。

そこで役立つのが、市場や競合、自社の状況を整理する定性分析です。

ここでは、定性分析でよく使われる5つの方法を紹介しますので、自社の状況を当てはめながら確認してみてください。

  • SWOT分析

  • 3C分析

  • PEST分析

  • 5フォース分析

  • バリューチェーン分析

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を整理する方法です。

社内の状況と社外の状況を、よい面と悪い面に分けて確認することで、自社が置かれている状況を整理しやすくなります。


プラスの要素

マイナスの要素

社内の状況

強み(Strength)
例:駅前にあり、来店しやすい

弱み(Weakness)
例:席数が少なく、一度に多くの客を受け入れられない

社外の状況

機会(Opportunity)
例:在宅勤務をする人が増え、日中の利用が見込める

脅威(Threat)
例:近くに大手のカフェが出店する

たとえば、カフェの経営であれば、駅前にあることは強み、席数が少ないことは弱みとして整理できます。また、在宅勤務をする人が増えていることは機会、近くに大手のカフェが出店することは脅威になるでしょう。

それぞれの内容を書き出したあとは、自社の強みをどのように生かすか、弱みをどのように補うかを考えます。市場の変化とあわせて確認することで、今後どのような取り組みが必要かを考えやすくなります。

3C分析

3C分析とは、市場・顧客、競合、自社の3つの視点から、事業に影響する環境を整理する方法です。

それぞれの英語表記の頭文字がCで始まるため、3C分析と呼ばれています。

視点

確認すること

食品メーカーの例

Customer(市場・顧客)

市場の大きさや今後の伸び、顧客が求めている商品やサービス

健康を意識した食品や、手軽に食べられる商品を求める人が増えている

Competitor(競合)

競合する会社の強みや弱み、価格、商品の特徴

大手メーカーは価格や知名度に強く、地域のメーカーは地元の食材を使った商品を販売している

Company(自社)

自社の強みや弱み、使える人材や設備、他社と違う点

地元の農家とのつながりがあり、新鮮な食材を使った商品を作れる

たとえば、地域の食品メーカーであれば、顧客は健康や手軽さを重視する消費者、競合は大手メーカーやほかの地域メーカーとして整理できます。自社については、地元の農家とのつながりや、地域の食材を使えることなどが強みになるでしょう。

市場や顧客が求めていること、競合の特徴、自社の強みを順番に確認することで、どのような商品に力を入れるべきかを考えやすくなります。

PEST分析

PEST分析とは、政治・経済・社会・技術という4つのマクロ環境の視点から、自社に影響のある大きな変化を整理する方法です。

法律や景気、人口の変化、新しい技術など、自社だけでは変えにくい外部の動きを確認することで、今後の事業への影響を考えやすくなります。

要素

確認すること

学習塾の例

Politics(政治)

法改正や制度の変更、規制の強化・緩和

学習指導要領や入試制度が変わり、必要とされる授業内容も変わる

Economics(経済)

景気や物価、金利、原材料費などの動き

物価の上昇により、家庭が教育費を見直す可能性がある

Society(社会)

人口や暮らし方、考え方の変化

少子化が進む一方で、子ども一人あたりにかける教育費が増える

Technology(技術)

新しい技術やサービスの広がり

オンライン授業や学習アプリが普及し、通塾以外の選択肢が増える

たとえば学習塾であれば、入試制度の変更は政治、物価の上昇は経済、少子化は社会、オンライン授業の普及は技術の変化として整理できるでしょう。

こうした変化は、自社の努力だけで止めることはできません。数年先までの動きを考えながら、授業内容や料金、教室の運営方法などを見直すために活用します。

5フォース分析

5フォース分析とは、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、顧客の交渉力、仕入先の交渉力という5つの視点から、その業界で利益を出しやすいかを確認する方法です。

競争が激しい業界や、値下げを求められやすい業界では、売上があっても十分な利益を残せないことがあります。5つの力を整理することで、自社の利益に影響を与えているものがわかりやすくなるでしょう。

5つの力

確認すること

住宅リフォーム会社の例

業界内の競争

同じ業界にある会社どうしの競争がどれくらい激しいか

地域に多くのリフォーム会社があり、価格や工事内容の競争が起きている

新規参入の脅威

新しい会社が業界に入りやすいか

工務店や家電量販店など、別の業種から参入する会社が増えている

代替品の脅威

別の商品やサービスに置き換えられる可能性があるか

リフォームではなく、中古住宅の買い替えや建て替えを選ぶ人もいる

顧客の交渉力

顧客が価格や条件について、どれくらい強く交渉できるか

複数の会社から見積もりを取り、値下げを求める顧客が多い

仕入先の交渉力

仕入先が価格や取引条件に、どれくらい影響を与えられるか

建材や住宅設備の価格が上がると、工事にかかる費用も増える

たとえば住宅リフォーム業界では、地域の会社どうしの競争に加え、工務店や家電量販店などの新規参入も考えられます。また、顧客が複数の会社から見積もりを取るため、価格を下げなければ受注できない場合もあるでしょう。

5つの力が強い業界ほど、利益を残しにくいと考えられます。それぞれの力を確認することで、価格以外で他社と差をつける方法や、仕入れ費用を抑える方法などを考えやすくなります。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、商品やサービスを顧客に届けるまでの流れを分けて、どの仕事で価値が生まれ、どの仕事に費用や時間がかかっているかを確認する方法です。

仕入れや製造、販売などの仕事を順番に整理することで、自社の強みがどこにあるのか、どの部分を見直す必要があるのかがわかりやすくなります。

活動

確認すること

家具メーカーの例

仕入れ・受け入れ

材料を安定して仕入れられているか、品質や価格に問題がないか

木材や金具を仕入れ、品質を確認して保管する

製造

品質を保ちながら、効率よく商品を作れているか

木材の加工、組み立て、塗装、仕上げを行う

出荷・配送

商品を予定どおり、安全に届けられているか

完成した家具を梱包し、店舗や購入者に配送する

販売・集客

商品のよさを伝え、購入につなげられているか

店舗やWebサイトで販売し、広告や展示会で商品を紹介する

購入後の対応

購入後も顧客に満足してもらえているか

修理や部品交換、問い合わせへの対応を行う

たとえば家具メーカーであれば、木材の仕入れから製造、配送、販売、購入後の修理までの流れを順番に確認し、職人の加工技術や商品の品質、丁寧な修理対応など、顧客に選ばれている理由を整理します。

一方で、材料の仕入れ価格が高い、製造に時間がかかる、配送中の破損が多いといった問題も見つけやすくなるでしょう。それぞれの仕事を確認することで、どこを伸ばし、どこにかかる費用や時間を見直すべきかを考えやすくなります。

経営分析の進め方4STEP

経営分析は、目的を決めて必要なデータを集め、数字から課題を見つける流れで進めます。

ここでは、分析結果を具体的な取り組みやその後の確認につなげるまでの4つの手順を紹介します。

  • ①目的と見る指標を決める

  • ②財務・経営データを収集・整備する

  • ③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

  • ④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

①目的と見る指標を決める

最初に、経営分析で何を明らかにしたいのかを決め、その目的に合った指標を選ぶことが大事です。

会社の支払い能力を確認したいのか、顧客の変化を知りたいのか、従業員の生産性を調べたいのかによって、見るべき数字や分析方法は異なります。

目的が決まっていないと、確認する数字が増えすぎて、何を判断すればよいのかわからなくなります。「自己資本比率が下がった原因を知りたい」「売上が伸びない理由を調べたい」など、知りたいことをできるだけ具体的にしておきましょう。

また、目的を決めるときは、分析結果を見たあとにどのような対応ができるかも考えておくことが大切です。実際に取り組める内容をあらかじめ考えておくことで、現実的でない対策や一般的な案にならず、具体的な改善につなげやすくなります。

②財務・経営データを収集・整備する

目的を決めたら、決算書や会計ソフトから分析に必要な財務・経営データの数字を集め、比較しやすい形に整理します。必要に応じて、売上や利益だけでなく、顧客数や従業員数、在庫などの情報も用意しましょう。

データを整理するときは、集計する期間や部門、勘定科目の分け方をそろえることが大切です。年度ごとに集計方法が違っていたり、同じ費用を別の項目に分けていたりすると、数字を正しく比べられません。

分析結果の正しさはもとになるデータによって変わるため、数字に間違いや抜けがないかを確認し、同じ条件で比較できる状態にしておきましょう。

③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

データが整理できたら、収益性や安全性などの指標を計算し、自社の強みや課題を確認します。

計算した数字は、過去の実績や同業他社、業界平均、目標などと比べることで、よい状態なのか、改善が必要なのかを判断しやすくなるでしょう。

また、SWOT分析や3C分析などを使い、市場の変化や競合の動き、自社の特徴を整理することも大切です。数字とその背景をあわせて確認することで、なぜその結果になったのかを考えやすくなります。フレームワークは大変有用な一方で、当てはめることに拘りすぎると意味のない帰結が導かれる恐れもあります。目的に立ち返って考えることが重要です。

分析した内容は、経営者や担当者だけでなく、関係する部署とも共有しましょう。現場の状況と数字を照らしあわせることで、より実際の状況に合った課題を見つけやすくなります。

④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

さいごに、分析で見つかった課題に対して、具体的に何をするかを決め、その後の変化を継続的に確認していきます。経営分析は、数字を確認して終わりではなく、実際の改善につなげることが大切です。

たとえば、利益率が下がっている場合は、仕入れ先の見直しや価格の変更、経費の削減など、原因に合った対応を考えます。取り組む内容を決めるときは、担当者や期限、確認する指標もあわせて決めておきましょう。

対応を始めたあとは、売上や利益などの数字がどのように変化したかを毎月確認します。思うような結果が出ていない場合は、原因を見直し、別の方法を試すことも必要です。

このように、分析、実行、確認、見直しを繰り返すことで、経営分析を継続的な改善に役立てられます。

経営分析を効率化する3つのアプローチ

経営分析を続けていくためには、数字の集計や比較にかかる手間を減らし、確認や判断に時間を使えるようにすることが大切です。

継続的に経営分析を効率よく進めるための3つの方法を紹介します。

  • エクセルを活用する

  • チャット型AI・AIエージェントを活用する

  • 経営分析ツールを導入する

エクセルを活用する

エクセルは、経営分析を手軽に始めたいときに使いやすい方法です。

無料のひな形を使えば、指標の計算やグラフの作成をすぐに始められます。計算式や表の形を自由に変えられるため、自社の目的にあわせて使える点もメリットです。

一方で、毎月使い続ける場合は、数字の入力や更新に手間がかかります。また、計算式や使い方を一人の担当者しか把握していないと、その人がいないと更新できなくなることもあります。

複数人で同じファイルを使う場合は、入力の重複や古いファイルを編集するといったミスにも注意が必要です。

一度だけ行う分析や、確認する数字がそれほど多くない場合ではエクセルで十分に分析できます。

無料で使えるテンプレートやツールを具体的に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

チャット型AI・AIエージェントを活用する

チャット型AIやAIエージェントを使うと、経営分析にかかる作業を減らせます。

決算データの整理や要約、前月・前年との比較、確認すべき点の洗い出しなどをAIに任せられることがメリットです。

ChatGPTなどのチャット型AIは、決算書や売上データを読み込ませて質問するだけで利用できます。また、AIエージェントを使えば、データの取得や整理、指標の計算、レポートの作成までを続けて行えます。

準備には知識や手間が必要ですが、毎月同じ流れで分析する場合は、作業時間の削減につながりやすいです。

まずはチャット型AIで決算データの要約や比較から始め、必要に応じてAIエージェントによる自動化を検討するとよいでしょう。ただし、AIの回答には誤りが含まれることもあるため、計算結果や判断の理由は必ず確認する必要があります。

AIを経営管理に取り入れる方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

AIで経営管理を効率化する方法とは?活用シーンやポイントを解説

経営分析ツールを導入する

毎月経営分析を続ける場合は、専用の経営分析ツールを導入する方法があります。

会計ソフトとの連携や指標の計算、グラフの作成などを自動で行えるため、データの入力や集計にかかる手間を減らせるでしょう。

また、会計ソフトから最新のデータを取り込み、売上や利益の変化をすぐに確認できます。予算と実績の比較や、今後の売上・資金の見込みを確認できるものもあり、複数の情報をひとつの画面で管理できることも特徴です。

毎月エクセルに数字を入力したり、同じ資料を作り直したりしている場合は、作業時間を大幅に減らせる可能性があります。

そのため、経営分析を継続して行いたい会社や、複数の担当者で同じ数字を確認したい会社に向いています。導入する際は、自社が使っている会計ソフトと連携できるか、必要な指標や機能がそろっているかを確認しましょう。

経営分析に使えるさまざまなツールを比較したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

経営分析を学ぶための本・資格・サイトなど

経営分析を身につけるには、本や資格、学習サイトなどを使って、基本から順番に学ぶ方法があります。

自分の知識や目的に合った学び方を選べるように、役立つ本・資格・サービスを紹介します。

  • 経営分析が学べるおすすめの本

  • 経営分析に役立つ資格

  • 経営分析が学べるサイト・サービス

経営分析が学べるおすすめの本

経営分析を自分で学びたい場合は、まず本から始めるとよいでしょう。経営分析や決算書について学べる本は数多くありますが、最初の一冊として選びやすいものには、次の3冊があります。

本のタイトル

概要

「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」

財務三表の読み方をはじめ、ファイナンスや管理会計の基礎まで幅広く学べる。
会計とファイナンスのつながりを、一冊でまとめて理解したい方に向いています。

「決算書×ビジネスモデル大全 会社の数字から儲かる仕組みまでいっきにわかる」

41社の事例と図解を通して、決算書の数字と会社が利益を生み出す仕組みの関係を学べる。
実際の企業を例に、決算書の読み方をわかりやすく学びたい方に向いています。

「ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略」

経営に悩む会社を題材にしたストーリーを通して、会社の将来を考えるためのファイナンス思考を学べる。
難しい内容を物語形式で読み進めたい方に向いています。


引用・参照:「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」Amazon

いずれも、決算書の読み方や会社のお金に関する考え方を学べる本です。専門知識が少ない方でも、基本から読み進めやすい内容になっています。

本や講座を選ぶときは、口コミだけで決めず、出版社の紹介ページや試験・サービスの公式サイトも確認しましょう。学べる内容や対象者、費用などを事前に確認しておくと、自分に合ったものを選びやすくなります。

決算書の読み方を学びたいのか、経営判断に生かしたいのかなど、自社の状況をふまえ、現在の知識や学ぶ目的を確認したうえで目的に合った本を選びましょう。

経営分析に役立つ資格

経営分析を基礎から順番に学びたい場合は、資格の勉強も大切です。試験に向けて学ぶことで、決算書の読み方や会計、経営に関する知識を整理しながら身につけられます。

たとえば、経営分析に役立つ資格の一つに、決算書の読み方や会計の基礎を学べる「ビジネス会計検定試験」があります。

引用・参照:「ビジネス会計検定試験」大阪商工会議所、施行商工会議所

資格

どのような資格か

学べること

ビジネス会計検定

決算書を読む力を身につける検定

財務諸表の読み方や分析方法

日商簿記検定

簿記や会計の知識を学ぶ検定

日々の取引を記録し、決算書を作るまでの流れ

中小企業診断士

経営に関する幅広い知識を学ぶ国家資格

経営戦略や財務、マーケティング、組織運営など

FASS検定

経理や財務の仕事に必要な知識を確認する検定

経理・財務の実務や財務分析に関する知識

どの資格を選ぶかは、学ぶ目的によって異なるため、決算書を読む力を身につけたい場合はビジネス会計検定、会計の仕組みから学びたい場合は日商簿記検定など、自分に必要な知識にあわせて選びましょう。

ただし、資格を取るだけで経営分析ができるようになるとは限りません。学んだ知識を自社の決算書や実際の経営課題に当てはめ、どのように判断や改善に役立てるかまで考えることが大切です。

経営分析が学べるサイト・サービス

まとまった勉強時間を取りにくい場合は、オンラインの学習サービスが便利です。動画を使って、自分の都合にあわせて少しずつ学べます。

たとえば、経営分析の基礎となる会計知識をオンラインで学べるサービスの一つに、「cpa learning」があります。

引用・参照:「cpa learning」CPA

たとえば「cpa learning」では、簿記や会計に関する講義を無料で受けられ、経営分析の基本となる会計の知識を、費用をかけずに学びたい方に向いているでしょう。

必要な内容に絞って学びたい場合は、Udemyなどのオンライン学習サービスもあります。財務分析やExcelを使ったデータ分析など、テーマごとに講座を選べるため、仕事に必要な内容から学び始められます。

学びやすい方法は、使える時間や現在の知識によって異なるため、まずは無料で利用できるサービスを試し、無理なく続けられるものを選ぶとよいでしょう。

経営分析を効率化するなら「metrics」

これまで、経営分析の考え方や主な指標、進め方、作業を効率化する方法を紹介してきました。データを集めて分析し、改善に向けた対応を考えるまでの作業をまとめて行いたい場合は、経営分析ツールの利用が便利です。

そのなかでも当社が開発・運営する「metrics」は、会計データをわかりやすく表示し、経営判断に必要な情報をすぐに確認できるクラウド型の経営分析ツールです。税理士事務所や企業など、さまざまな場面で利用されています。

metricsの主な特徴は、次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsのダッシュボードでは、経営判断に必要な数字をひとつの画面にまとめて確認できます。Excelで毎月レポートを作り直す必要がなくなり、月次報告の準備にかかる時間を減らせます。

売上や利益の変化、費用の内訳、現金の動きなどがグラフで表示されるため、会計に詳しくない方にも会社の状況を伝えやすくなるでしょう。

気になる数字をクリックすると、もとになった仕訳の明細まで確認できるため、会議中に出た疑問もその場で調べられます。

資料作成にかかる時間を減らすことで、会議では数字の報告だけでなく、課題の確認や今後の対応について話し合う時間を増やせます。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字だけでなく、このまま進んだ場合に売上や利益がどうなるかも確認できます。予算の数字を入力すると損益の見込みがすぐに更新されるため、画面を見ながら来期の計画を作れることも特徴です。

細かい予算を作る時間がない場合は、過去の実績をもとに期末の売上や利益を見積もる「自動予測」も利用できます。作成した予算と自動予測はダッシュボード上で切り替えられるため、現在の実績と今後の見込みを比べながら、予算と実績を管理できる便利なツールです。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データの分析やダッシュボードの作成、予算案の作成を支援するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数字の大きな変化や確認が必要な点を整理するため、重要な内容を見つけやすくなります。

たとえば、「売上と費用を並べて確認したい」と入力することで、必要なグラフを使ったダッシュボードの作成が可能です。また、「来期は売上を20%増やしたい」といった目標を伝えることで、予算案の作成も進められます。

これまで担当者が時間をかけて行っていた数字の確認や課題の整理をAIが支援するため、経験が少ない担当者でも分析を進めやすくなります。

実際の操作画面は、以下のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsは、freeeマネーフォワードと連携できます。連携を許可すると、仕訳や帳票のデータが自動で取り込まれ、勘定科目とキャッシュフロー項目の振り分けも行われ、担当者がひとつずつ入力したり、データを整理したりする必要はありません。

会計ソフトで数字を更新すると、その内容がmetricsにも自動で反映されます。毎回データを入力し直す必要がないため、いつでも最新の数字を確認できます。

データの入力や整理にかかる時間を減らすことで、数字の分析や今後の対応を考える仕事に時間を使いやすくなるでしょう。

経営分析にかかる手間を減らしたい企業の方や、顧客への提案に力を入れたい税理士の方は、無料デモで実際の画面や操作方法をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

まとめ

本記事では、経営分析の意味や目的、主な分析方法や指標、進め方、作業を効率化する方法について紹介しました。

経営分析では、数字を確認するだけではなく、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにし、具体的な対応につなげることが大切です。

分析するときは、比率や実際の金額、過去からの変化、他社や業界平均との比較などを使って数字を確認します。さらに、収益性や安全性、生産性、成長性、効率性などの指標に加え、SWOT分析や3C分析なども使うことで、数字が変化した理由を考えやすくなるでしょう。

経営分析は、目的と確認する指標を決め、必要なデータを集めて整理し、数字とその背景を分析したうえで、改善に向けた対応を決める流れで進めます。

ただし、毎月のデータ入力や集計、資料作成をすべて手作業で行うと、大きな負担になります。エクセルやAI、経営分析ツールを使って作業を減らし、数字を集める時間よりも、結果を確認して今後の対応を考える時間を増やしましょう。

経営分析にかかる作業を減らし、数字の確認や改善策の検討に時間を使いたい方は、会計データの分析や予算管理をまとめて行えるmetricsをご活用ください。

metricsサービスサイト

「決算書はあるがどのように分析すればよいかわからない」「数字は見ているがどこを改善するべきか判断できない」。このような悩みを抱えている方は少なくありません。

自社の状況を十分に把握できないままでは、業績の変化に気づくのが遅れたり、その場しのぎの対応が増えたりしてしまいます。

そこで役立つのが、経営分析です。

経営分析とは、決算書などの数字を一定の基準で確認・分析し、自社の強みや弱み、抱えている課題を明確にし次の行動につなげることです。

本記事では、経営分析の意味や目的、分析するときの見方や方法、よく使われる指標、実際の進め方までわかりやすく解説します。

自社の数字をどのように見て、何から取り組めばよいのかがわかるための内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

経営支援ツールで付加価値を創出

metricsは、税理士・中小企業向けのクラウド経営分析ツールです。
freeeやマネーフォワードとのAPI連携で財務データを自動取得し、月次レポートの作成や顧問先への経営報告をスムーズにします。
経営分析をAIで効率化したい方は、こちらをご覧ください。

経営分析とは

経営分析とは、財務データや非財務データをもとに、自社の現状や課題を客観的に把握し、今後の意思決定に役立てるための取り組みです。

売上や利益などの数字を見るだけでなく、なぜその結果になったのかを確認し、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにします。

また、分析する対象は、決算書に記載される財務情報だけではありません。商品ごとの利益や営業状況、顧客数や継続率、従業員の生産性や離職率、在庫や入金までの流れなども含まれます。

こうした幅広い情報を確認することで、決算書だけではわからない背景も可視化し、今後どこに力を入れるべきかを判断しやすくなるでしょう。

経営分析の目的

経営分析の目的は、数字を整理することではなく、自社の状況を正しく把握し今後の判断や行動につなげることです。

経営分析は、次の3つの流れで進めます。

  • 自社の強みや弱みを、感覚ではなく数字で客観的に把握する

  • どこに問題があるのか具体的な課題を明らかにする

  • 問題を解決するための打ち手を決め実行する

経営分析では、何を優先すべきかを判断しやすくし、意思決定の質を高めることが大切です。

また、実行したあとの結果を確認することで、その判断が正しかったのか、次に何を見直すべきかがわかります。経営分析は一度で終わらせず、判断と改善を繰り返すために活用します。

経営分析と財務分析の違い

財務分析は経営分析の一部であり、経営分析のほうが幅広い情報を扱います。

それぞれの違いを、確認する情報や役割、調べる範囲に分けて見てみましょう。

項目

財務分析

経営分析

確認する情報

売上や利益、資産、負債などの財務情報

財務情報に加え、市場や競合、顧客、組織などの情報

役割

決算書の数字から会社の状態を確認する

幅広い情報をもとに今後の判断につなげる

分析対象

主に決算書の数字

会社の内外に関する情報

財務分析では、決算書の数字を使って、利益が出ているか、支払いに問題がないかなどを確認します。

一方、経営分析では、市場の動きや競合の状況、顧客や従業員に関する情報もあわせて確認し、今後どのような対応が必要かまで考えるのが特徴です。

売上や利益などの数字を確認しなければ、会社の状態を正しく判断することはできないため、経営分析を行ううえで、財務分析は特に重要です。そのため、本記事では財務分析を中心に解説します。

AIを使って財務データを分析する方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

財務分析をAIで実施する方法とは?ツールやプロンプト、最新のAI活用法まで解説

経営分析における4つの視点

経営分析では、数字を単独で見るのではなく、過去の実績や他社・業界、計画や目標と比べて、その差を確認することが大切です。

ここでは、経営分析でよく使われる4つの見方を紹介します。

  • 比率分析

  • 実数分析

  • 趨勢(時系列)分析

  • 他社・業界比較分析

比率分析

比率分析とは、財務諸表にある数字を組みあわせて割合を出し、会社の収益性や安全性などを確認する方法です。

たとえば、売上に対してどれくらいの利益が出ているか、会社の資産のうち自己資本がどれくらいあるかを調べます。

計算例|売上高営業利益率
売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
例:売上高1億円、営業利益800万円の場合
800万円 ÷ 1億円 × 100 = 8%

ただし、比率だけを見てもその数字が高いのか低いのかは判断できません。上の例で営業利益率が8%だったとしても、前年の実績や同じ業界の平均と比べることで、よくなっているのか、改善が必要なのかがわかります。

そのため、比率分析は数字を出して終わりではなく、過去の実績や他社、目標などと比べて確認することが大切です。

実数分析

実数分析とは、売上や利益、現金などの金額が、前の期と比べてどれくらい増えたか、減ったかを確認する方法です。

割合ではなく、実際に動いた金額を見るため、会社の規模や変化の大きさを掴みやすいという特徴があります。

計算例|売上の増減額
増減額 = 当期の実績 − 前期の実績
例:当期の売上1億2,000万円、前期の売上1億円の場合
1億2,000万円 − 1億円 = +2,000万円

比率だけを見ていると、割合の変化はわかっても、実際にどれくらいの金額が動いたのかまではわかりません。たとえば、利益率が1%上がった場合でも、売上の大きい会社では利益が数千万円増えることがあります。

そのため、変化の大きさや会社への影響を確認したいときは、比率だけでなく、実際の金額もあわせて見ることが欠かせません。

趨勢(時系列)分析

趨勢分析とは、数年分の数字を並べて、売上や利益などの変化や傾向を確認する方法です。

時系列分析とも呼ばれ、1年分の数字だけではわからない、改善や悪化の流れをつかめます。

計算例|趨勢比率
趨勢比率(%)= 各年の数値 ÷ 基準年の数値 × 100
例:基準年の売上を100とした場合
翌年が110、翌々年が125であれば、売上が年々増えていることがわかります。

1か月や1年分の数字だけでは、その変化が一時的なものなのか、しばらく続いているものなのかを判断しにくいことがあります。3年分や5年分の数字を並べることで、少しずつ悪化しているのか、回復しているのかがわかりやすくなるでしょう。

そのため、趨勢分析では一時点の数字だけを見るのではなく、一定期間の流れを確認することが重要です。

他社・業界比較分析

他社・業界比較分析とは、自社の数字を同じ業界の会社や業界平均と比べて、自社がどのような位置にいるのかを確認する方法です。

自社の数字だけでは、その結果がよいのか悪いのかを判断しにくいため、他社や業界の数字と比べて確認します。

計算例|業界平均との比較
自社の売上高営業利益率:8%
業界平均の売上高営業利益率:5%
自社のほうが3%高いため、業界平均よりも利益を出せていると判断できます。

ただし、同じ業界にある他社の詳しい財務情報を、一社ずつ集めるのは簡単ではありません。そのような場合は、業界の平均値を調べられる公的なサービスが役立つでしょう。

たとえば、中小企業基盤整備機構が提供する経営自己診断システムでは、決算書の数字を入力すると、200万社以上のデータと比較できます。登録せずに無料で利用できるため、自社の数字が業界内でどの程度なのかを確認したいときに便利です。

比較に使えるサービスやツールをさらに知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

主に社内に目を向けた定量面での分析と代表指標・計算式

ここからは、会社の経営状態を数字で確認するときに使う主な指標を紹介します。

指標は、次の5つの視点に分けて考えると整理しやすいです。

項目

内容

代表的な指標

収益性

効率よく利益を稼げているか

売上高利益率(利益 ÷ 売上高 × 100)

安全性

倒産しにくく、支払いに困らないか

自己資本比率(自己資本 ÷ 総資本 × 100)

生産性

ヒトがどれだけ価値を生んだか

一人当たり売上高(売上高 ÷ 従業員数)

成長性

前年からどれだけ伸びたか

売上高成長率
((当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100)

効率性・活動性

資産を無駄なく回せているか

総資本回転率(売上高 ÷ 総資本)

それぞれの指標が何を表しているのか、計算結果をどのように見ればよいのかを順番に説明します。

収益性分析(ROA・ROE 等)

収益性分析とは、売上や会社が持つ資産、事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出せているかを確認する分析です。

会社の「利益を生み出す力」を見るもので、経営分析のなかでも特に重要な視点です。

指標

計算式

確認できること

売上高利益率

利益 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、どれくらいが利益として残ったか

ROA(総資産利益率)

利益 ÷ 総資産 × 100

会社が持つ資産全体を使って、どれくらい利益を出したか

ROE(自己資本利益率)

当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主が出したお金を使って、どれくらい利益を出したか

ROIC(投下資本利益率)

税引後営業利益 ÷ 投下資本 × 100

事業に使った資金に対して、どれくらい利益を出したか

総資産に対する利益の割合であるROAと、自己資本に対する利益の割合であるROEは名前が似ていますが、計算のもとになる金額が異なります。

ROAは会社が持つ資産全体を使い、ROEはそのうち株主が出したお金である自己資本を使って計算します。

また、収益性を確認するときは、「いくら売れば利益が出るのか」を指す損益分岐点を知ることも大切です。

売上が損益分岐点を上回ると黒字、下回ると赤字になり、売上目標を決めたり、費用の見直しを考えたりするときの目安として使われます。

安全性分析(自己資本比率・流動比率 等)

安全性分析とは、会社に支払い能力があるか、借入金の返済に無理がないかを確認する分析です。

ただし、適切とされる数値は業種によって異なり、在庫を多く持つ業種と、ほとんど在庫を持たない業種では、資産や負債の持ち方が違います。

そのため、ひとつの数値だけでよい・悪いを判断せず、同じ業界の平均や同業他社と比べて確認することが大切です。

指標

計算式

確認できること

自己資本比率

自己資本 ÷ 総資本 × 100

会社の資金のうち、返済する必要のない自己資本がどれくらいあるか

流動比率

流動資産 ÷ 流動負債 × 100

1年以内の支払いに充てられる資産がどれくらいあるか

当座比率

当座資産 ÷ 流動負債 × 100

現金や売掛金など、短期間で現金にしやすい資産で支払いに対応できるか

安全性を確認するときは、借入金の返済期間を示す債務償還年数と、利息の支払い余力を示すICR(インタレストカバレッジレシオ)も役立ちます。

債務償還年数は、現在の利益をもとに、借入金を返し終えるまでに何年かかるかを示す指標です。年数が短いほど、借入金を返す力が高いと考えられます。

ICRは、会社の利益で借入金の利息をどの程度支払えるかを示す指標です。数値が高いほど、利息の支払いに余裕があると判断できます。

どちらも、金融機関が融資を判断する際に使うことがあるため、借入れを検討している場合は確認しておきたい指標です。

生産性分析(労働生産性・付加価値率 等)

生産性分析とは、従業員や設備などを使って、どれくらい売上や付加価値を生み出せているかを確認する分析です。

なかでもよく使われるのが、従業員一人あたりの売上や付加価値を見る指標です。ここでいう付加価値とは、売上から材料費や外注費などを差し引いた、会社が新たに生み出した価値を指します。

指標

計算式

確認できること

一人あたり売上高

売上高 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの売上を上げているか

労働生産性

付加価値 ÷ 従業員数

従業員一人あたり、どれくらいの付加価値を生み出しているか

付加価値率

付加価値 ÷ 売上高 × 100

売上のうち、会社が生み出した付加価値がどれくらいあるか

一人あたり売上高は計算しやすく、会社の生産性を簡単に確認できる指標です。ただし、外注を増やして売上を伸ばしている場合も数値が高くなるため、その数字だけで生産性が高いとは判断できません。

会社が実際にどれくらいの価値を生み出しているかを確認したい場合は、一人あたり売上高だけでなく、労働生産性や付加価値率もあわせて見ることが大切です。

成長性分析(売上高成長率 等)

成長性分析とは、売上や利益、自己資本が前年と比べてどれくらい増えたかを確認する分析です。

現在の会社の規模だけでなく、事業がどの程度伸びているかを見るために使います。

指標

計算式

確認できること

売上高成長率(増収率)

(当期売上高 − 前期売上高)÷ 前期売上高 × 100

売上が前年と比べてどれくらい増えたか

経常利益成長率

(当期経常利益 − 前期経常利益)÷ 前期経常利益 × 100

経常利益が前年と比べてどれくらい増えたか

自己資本増減率

(当期自己資本 − 前期自己資本)÷ 前期自己資本 × 100

返済する必要のない自己資本がどれくらい増えたか

売上の伸びを示す売上高成長率や、自己資本の増減を示す自己資本増減率を計算するには、当期と前期のデータが必要です。単年度の数値だけで判断せず、数年間の変化も確認しましょう。

また、市場の変化や新規事業の開始など、数値が変動した理由もあわせて確認することが大切です。

効率性・活動性分析(総資本回転率 等)

効率性・活動性分析とは、会社が持つ資産を使って、どれくらい効率よく売上を上げているかを確認する分析です。

同じ売上を上げている場合でも、使っている資産が少ない会社のほうが、効率よく事業を行っていると考えられます。

指標

計算式

確認できること

総資本回転率

売上高 ÷ 総資本

会社が持つ資産全体を使って、1年間にどれくらい売上を上げたか

売上債権回転日数

売上債権 ÷ 売上高 × 365

売上が現金として入金されるまでに何日かかっているか

棚卸資産回転日数

棚卸資産 ÷ 売上高 × 365

仕入れた商品や材料が売れるまでに何日かかっているか

売上代金の回収にかかる日数を示す売上債権回転日数や、商品や材料を在庫として保有する日数を示す棚卸資産回転日数は、日数が短いほど、売上代金の回収や在庫の販売が早いと考えられます。一方で、入金までに時間がかかったり、在庫が長く残ったりすると、その間は現金が入ってきません。

利益が出ていても、入金が遅れたり在庫が増えたりすると、支払いに使える現金が不足することがあります。そのため、売上や利益だけでなく、売上代金をどのくらい早く回収できているかも確認することが大切です。

主に社内外に目を向けた定性面での分析

数字のみを使った分析では、会社が今どのような状態にあるかを確認できますが、なぜその結果になったのかまでは、わからないことがあります。

そこで役立つのが、市場や競合、自社の状況を整理する定性分析です。

ここでは、定性分析でよく使われる5つの方法を紹介しますので、自社の状況を当てはめながら確認してみてください。

  • SWOT分析

  • 3C分析

  • PEST分析

  • 5フォース分析

  • バリューチェーン分析

SWOT分析

SWOT分析とは、自社の強みと弱み、市場の機会と脅威を整理する方法です。

社内の状況と社外の状況を、よい面と悪い面に分けて確認することで、自社が置かれている状況を整理しやすくなります。


プラスの要素

マイナスの要素

社内の状況

強み(Strength)
例:駅前にあり、来店しやすい

弱み(Weakness)
例:席数が少なく、一度に多くの客を受け入れられない

社外の状況

機会(Opportunity)
例:在宅勤務をする人が増え、日中の利用が見込める

脅威(Threat)
例:近くに大手のカフェが出店する

たとえば、カフェの経営であれば、駅前にあることは強み、席数が少ないことは弱みとして整理できます。また、在宅勤務をする人が増えていることは機会、近くに大手のカフェが出店することは脅威になるでしょう。

それぞれの内容を書き出したあとは、自社の強みをどのように生かすか、弱みをどのように補うかを考えます。市場の変化とあわせて確認することで、今後どのような取り組みが必要かを考えやすくなります。

3C分析

3C分析とは、市場・顧客、競合、自社の3つの視点から、事業に影響する環境を整理する方法です。

それぞれの英語表記の頭文字がCで始まるため、3C分析と呼ばれています。

視点

確認すること

食品メーカーの例

Customer(市場・顧客)

市場の大きさや今後の伸び、顧客が求めている商品やサービス

健康を意識した食品や、手軽に食べられる商品を求める人が増えている

Competitor(競合)

競合する会社の強みや弱み、価格、商品の特徴

大手メーカーは価格や知名度に強く、地域のメーカーは地元の食材を使った商品を販売している

Company(自社)

自社の強みや弱み、使える人材や設備、他社と違う点

地元の農家とのつながりがあり、新鮮な食材を使った商品を作れる

たとえば、地域の食品メーカーであれば、顧客は健康や手軽さを重視する消費者、競合は大手メーカーやほかの地域メーカーとして整理できます。自社については、地元の農家とのつながりや、地域の食材を使えることなどが強みになるでしょう。

市場や顧客が求めていること、競合の特徴、自社の強みを順番に確認することで、どのような商品に力を入れるべきかを考えやすくなります。

PEST分析

PEST分析とは、政治・経済・社会・技術という4つのマクロ環境の視点から、自社に影響のある大きな変化を整理する方法です。

法律や景気、人口の変化、新しい技術など、自社だけでは変えにくい外部の動きを確認することで、今後の事業への影響を考えやすくなります。

要素

確認すること

学習塾の例

Politics(政治)

法改正や制度の変更、規制の強化・緩和

学習指導要領や入試制度が変わり、必要とされる授業内容も変わる

Economics(経済)

景気や物価、金利、原材料費などの動き

物価の上昇により、家庭が教育費を見直す可能性がある

Society(社会)

人口や暮らし方、考え方の変化

少子化が進む一方で、子ども一人あたりにかける教育費が増える

Technology(技術)

新しい技術やサービスの広がり

オンライン授業や学習アプリが普及し、通塾以外の選択肢が増える

たとえば学習塾であれば、入試制度の変更は政治、物価の上昇は経済、少子化は社会、オンライン授業の普及は技術の変化として整理できるでしょう。

こうした変化は、自社の努力だけで止めることはできません。数年先までの動きを考えながら、授業内容や料金、教室の運営方法などを見直すために活用します。

5フォース分析

5フォース分析とは、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威、顧客の交渉力、仕入先の交渉力という5つの視点から、その業界で利益を出しやすいかを確認する方法です。

競争が激しい業界や、値下げを求められやすい業界では、売上があっても十分な利益を残せないことがあります。5つの力を整理することで、自社の利益に影響を与えているものがわかりやすくなるでしょう。

5つの力

確認すること

住宅リフォーム会社の例

業界内の競争

同じ業界にある会社どうしの競争がどれくらい激しいか

地域に多くのリフォーム会社があり、価格や工事内容の競争が起きている

新規参入の脅威

新しい会社が業界に入りやすいか

工務店や家電量販店など、別の業種から参入する会社が増えている

代替品の脅威

別の商品やサービスに置き換えられる可能性があるか

リフォームではなく、中古住宅の買い替えや建て替えを選ぶ人もいる

顧客の交渉力

顧客が価格や条件について、どれくらい強く交渉できるか

複数の会社から見積もりを取り、値下げを求める顧客が多い

仕入先の交渉力

仕入先が価格や取引条件に、どれくらい影響を与えられるか

建材や住宅設備の価格が上がると、工事にかかる費用も増える

たとえば住宅リフォーム業界では、地域の会社どうしの競争に加え、工務店や家電量販店などの新規参入も考えられます。また、顧客が複数の会社から見積もりを取るため、価格を下げなければ受注できない場合もあるでしょう。

5つの力が強い業界ほど、利益を残しにくいと考えられます。それぞれの力を確認することで、価格以外で他社と差をつける方法や、仕入れ費用を抑える方法などを考えやすくなります。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、商品やサービスを顧客に届けるまでの流れを分けて、どの仕事で価値が生まれ、どの仕事に費用や時間がかかっているかを確認する方法です。

仕入れや製造、販売などの仕事を順番に整理することで、自社の強みがどこにあるのか、どの部分を見直す必要があるのかがわかりやすくなります。

活動

確認すること

家具メーカーの例

仕入れ・受け入れ

材料を安定して仕入れられているか、品質や価格に問題がないか

木材や金具を仕入れ、品質を確認して保管する

製造

品質を保ちながら、効率よく商品を作れているか

木材の加工、組み立て、塗装、仕上げを行う

出荷・配送

商品を予定どおり、安全に届けられているか

完成した家具を梱包し、店舗や購入者に配送する

販売・集客

商品のよさを伝え、購入につなげられているか

店舗やWebサイトで販売し、広告や展示会で商品を紹介する

購入後の対応

購入後も顧客に満足してもらえているか

修理や部品交換、問い合わせへの対応を行う

たとえば家具メーカーであれば、木材の仕入れから製造、配送、販売、購入後の修理までの流れを順番に確認し、職人の加工技術や商品の品質、丁寧な修理対応など、顧客に選ばれている理由を整理します。

一方で、材料の仕入れ価格が高い、製造に時間がかかる、配送中の破損が多いといった問題も見つけやすくなるでしょう。それぞれの仕事を確認することで、どこを伸ばし、どこにかかる費用や時間を見直すべきかを考えやすくなります。

経営分析の進め方4STEP

経営分析は、目的を決めて必要なデータを集め、数字から課題を見つける流れで進めます。

ここでは、分析結果を具体的な取り組みやその後の確認につなげるまでの4つの手順を紹介します。

  • ①目的と見る指標を決める

  • ②財務・経営データを収集・整備する

  • ③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

  • ④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

①目的と見る指標を決める

最初に、経営分析で何を明らかにしたいのかを決め、その目的に合った指標を選ぶことが大事です。

会社の支払い能力を確認したいのか、顧客の変化を知りたいのか、従業員の生産性を調べたいのかによって、見るべき数字や分析方法は異なります。

目的が決まっていないと、確認する数字が増えすぎて、何を判断すればよいのかわからなくなります。「自己資本比率が下がった原因を知りたい」「売上が伸びない理由を調べたい」など、知りたいことをできるだけ具体的にしておきましょう。

また、目的を決めるときは、分析結果を見たあとにどのような対応ができるかも考えておくことが大切です。実際に取り組める内容をあらかじめ考えておくことで、現実的でない対策や一般的な案にならず、具体的な改善につなげやすくなります。

②財務・経営データを収集・整備する

目的を決めたら、決算書や会計ソフトから分析に必要な財務・経営データの数字を集め、比較しやすい形に整理します。必要に応じて、売上や利益だけでなく、顧客数や従業員数、在庫などの情報も用意しましょう。

データを整理するときは、集計する期間や部門、勘定科目の分け方をそろえることが大切です。年度ごとに集計方法が違っていたり、同じ費用を別の項目に分けていたりすると、数字を正しく比べられません。

分析結果の正しさはもとになるデータによって変わるため、数字に間違いや抜けがないかを確認し、同じ条件で比較できる状態にしておきましょう。

③指標を算出し、手法・フレームワークで読み解く

データが整理できたら、収益性や安全性などの指標を計算し、自社の強みや課題を確認します。

計算した数字は、過去の実績や同業他社、業界平均、目標などと比べることで、よい状態なのか、改善が必要なのかを判断しやすくなるでしょう。

また、SWOT分析や3C分析などを使い、市場の変化や競合の動き、自社の特徴を整理することも大切です。数字とその背景をあわせて確認することで、なぜその結果になったのかを考えやすくなります。フレームワークは大変有用な一方で、当てはめることに拘りすぎると意味のない帰結が導かれる恐れもあります。目的に立ち返って考えることが重要です。

分析した内容は、経営者や担当者だけでなく、関係する部署とも共有しましょう。現場の状況と数字を照らしあわせることで、より実際の状況に合った課題を見つけやすくなります。

④課題を特定し、打ち手とモニタリングにつなげる

さいごに、分析で見つかった課題に対して、具体的に何をするかを決め、その後の変化を継続的に確認していきます。経営分析は、数字を確認して終わりではなく、実際の改善につなげることが大切です。

たとえば、利益率が下がっている場合は、仕入れ先の見直しや価格の変更、経費の削減など、原因に合った対応を考えます。取り組む内容を決めるときは、担当者や期限、確認する指標もあわせて決めておきましょう。

対応を始めたあとは、売上や利益などの数字がどのように変化したかを毎月確認します。思うような結果が出ていない場合は、原因を見直し、別の方法を試すことも必要です。

このように、分析、実行、確認、見直しを繰り返すことで、経営分析を継続的な改善に役立てられます。

経営分析を効率化する3つのアプローチ

経営分析を続けていくためには、数字の集計や比較にかかる手間を減らし、確認や判断に時間を使えるようにすることが大切です。

継続的に経営分析を効率よく進めるための3つの方法を紹介します。

  • エクセルを活用する

  • チャット型AI・AIエージェントを活用する

  • 経営分析ツールを導入する

エクセルを活用する

エクセルは、経営分析を手軽に始めたいときに使いやすい方法です。

無料のひな形を使えば、指標の計算やグラフの作成をすぐに始められます。計算式や表の形を自由に変えられるため、自社の目的にあわせて使える点もメリットです。

一方で、毎月使い続ける場合は、数字の入力や更新に手間がかかります。また、計算式や使い方を一人の担当者しか把握していないと、その人がいないと更新できなくなることもあります。

複数人で同じファイルを使う場合は、入力の重複や古いファイルを編集するといったミスにも注意が必要です。

一度だけ行う分析や、確認する数字がそれほど多くない場合ではエクセルで十分に分析できます。

無料で使えるテンプレートやツールを具体的に知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

チャット型AI・AIエージェントを活用する

チャット型AIやAIエージェントを使うと、経営分析にかかる作業を減らせます。

決算データの整理や要約、前月・前年との比較、確認すべき点の洗い出しなどをAIに任せられることがメリットです。

ChatGPTなどのチャット型AIは、決算書や売上データを読み込ませて質問するだけで利用できます。また、AIエージェントを使えば、データの取得や整理、指標の計算、レポートの作成までを続けて行えます。

準備には知識や手間が必要ですが、毎月同じ流れで分析する場合は、作業時間の削減につながりやすいです。

まずはチャット型AIで決算データの要約や比較から始め、必要に応じてAIエージェントによる自動化を検討するとよいでしょう。ただし、AIの回答には誤りが含まれることもあるため、計算結果や判断の理由は必ず確認する必要があります。

AIを経営管理に取り入れる方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

AIで経営管理を効率化する方法とは?活用シーンやポイントを解説

経営分析ツールを導入する

毎月経営分析を続ける場合は、専用の経営分析ツールを導入する方法があります。

会計ソフトとの連携や指標の計算、グラフの作成などを自動で行えるため、データの入力や集計にかかる手間を減らせるでしょう。

また、会計ソフトから最新のデータを取り込み、売上や利益の変化をすぐに確認できます。予算と実績の比較や、今後の売上・資金の見込みを確認できるものもあり、複数の情報をひとつの画面で管理できることも特徴です。

毎月エクセルに数字を入力したり、同じ資料を作り直したりしている場合は、作業時間を大幅に減らせる可能性があります。

そのため、経営分析を継続して行いたい会社や、複数の担当者で同じ数字を確認したい会社に向いています。導入する際は、自社が使っている会計ソフトと連携できるか、必要な指標や機能がそろっているかを確認しましょう。

経営分析に使えるさまざまなツールを比較したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

経営分析ツールとは?無料で使えるツール含む21選とエクセル・AIの活用法を紹介

経営分析を学ぶための本・資格・サイトなど

経営分析を身につけるには、本や資格、学習サイトなどを使って、基本から順番に学ぶ方法があります。

自分の知識や目的に合った学び方を選べるように、役立つ本・資格・サービスを紹介します。

  • 経営分析が学べるおすすめの本

  • 経営分析に役立つ資格

  • 経営分析が学べるサイト・サービス

経営分析が学べるおすすめの本

経営分析を自分で学びたい場合は、まず本から始めるとよいでしょう。経営分析や決算書について学べる本は数多くありますが、最初の一冊として選びやすいものには、次の3冊があります。

本のタイトル

概要

「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」

財務三表の読み方をはじめ、ファイナンスや管理会計の基礎まで幅広く学べる。
会計とファイナンスのつながりを、一冊でまとめて理解したい方に向いています。

「決算書×ビジネスモデル大全 会社の数字から儲かる仕組みまでいっきにわかる」

41社の事例と図解を通して、決算書の数字と会社が利益を生み出す仕組みの関係を学べる。
実際の企業を例に、決算書の読み方をわかりやすく学びたい方に向いています。

「ゼロからわかるファイナンス思考 働く人と会社の成長戦略」

経営に悩む会社を題材にしたストーリーを通して、会社の将来を考えるためのファイナンス思考を学べる。
難しい内容を物語形式で読み進めたい方に向いています。


引用・参照:「『専門家』以外の人のための決算書&ファイナンスの教科書」Amazon

いずれも、決算書の読み方や会社のお金に関する考え方を学べる本です。専門知識が少ない方でも、基本から読み進めやすい内容になっています。

本や講座を選ぶときは、口コミだけで決めず、出版社の紹介ページや試験・サービスの公式サイトも確認しましょう。学べる内容や対象者、費用などを事前に確認しておくと、自分に合ったものを選びやすくなります。

決算書の読み方を学びたいのか、経営判断に生かしたいのかなど、自社の状況をふまえ、現在の知識や学ぶ目的を確認したうえで目的に合った本を選びましょう。

経営分析に役立つ資格

経営分析を基礎から順番に学びたい場合は、資格の勉強も大切です。試験に向けて学ぶことで、決算書の読み方や会計、経営に関する知識を整理しながら身につけられます。

たとえば、経営分析に役立つ資格の一つに、決算書の読み方や会計の基礎を学べる「ビジネス会計検定試験」があります。

引用・参照:「ビジネス会計検定試験」大阪商工会議所、施行商工会議所

資格

どのような資格か

学べること

ビジネス会計検定

決算書を読む力を身につける検定

財務諸表の読み方や分析方法

日商簿記検定

簿記や会計の知識を学ぶ検定

日々の取引を記録し、決算書を作るまでの流れ

中小企業診断士

経営に関する幅広い知識を学ぶ国家資格

経営戦略や財務、マーケティング、組織運営など

FASS検定

経理や財務の仕事に必要な知識を確認する検定

経理・財務の実務や財務分析に関する知識

どの資格を選ぶかは、学ぶ目的によって異なるため、決算書を読む力を身につけたい場合はビジネス会計検定、会計の仕組みから学びたい場合は日商簿記検定など、自分に必要な知識にあわせて選びましょう。

ただし、資格を取るだけで経営分析ができるようになるとは限りません。学んだ知識を自社の決算書や実際の経営課題に当てはめ、どのように判断や改善に役立てるかまで考えることが大切です。

経営分析が学べるサイト・サービス

まとまった勉強時間を取りにくい場合は、オンラインの学習サービスが便利です。動画を使って、自分の都合にあわせて少しずつ学べます。

たとえば、経営分析の基礎となる会計知識をオンラインで学べるサービスの一つに、「cpa learning」があります。

引用・参照:「cpa learning」CPA

たとえば「cpa learning」では、簿記や会計に関する講義を無料で受けられ、経営分析の基本となる会計の知識を、費用をかけずに学びたい方に向いているでしょう。

必要な内容に絞って学びたい場合は、Udemyなどのオンライン学習サービスもあります。財務分析やExcelを使ったデータ分析など、テーマごとに講座を選べるため、仕事に必要な内容から学び始められます。

学びやすい方法は、使える時間や現在の知識によって異なるため、まずは無料で利用できるサービスを試し、無理なく続けられるものを選ぶとよいでしょう。

経営分析を効率化するなら「metrics」

これまで、経営分析の考え方や主な指標、進め方、作業を効率化する方法を紹介してきました。データを集めて分析し、改善に向けた対応を考えるまでの作業をまとめて行いたい場合は、経営分析ツールの利用が便利です。

そのなかでも当社が開発・運営する「metrics」は、会計データをわかりやすく表示し、経営判断に必要な情報をすぐに確認できるクラウド型の経営分析ツールです。税理士事務所や企業など、さまざまな場面で利用されています。

metricsの主な特徴は、次の4つです。

  • 見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

  • 予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

  • AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

  • ストレスフリーな初期設定と自動API連携

見やすいダッシュボードでスマートな経営支援を実現

metricsのダッシュボードでは、経営判断に必要な数字をひとつの画面にまとめて確認できます。Excelで毎月レポートを作り直す必要がなくなり、月次報告の準備にかかる時間を減らせます。

売上や利益の変化、費用の内訳、現金の動きなどがグラフで表示されるため、会計に詳しくない方にも会社の状況を伝えやすくなるでしょう。

気になる数字をクリックすると、もとになった仕訳の明細まで確認できるため、会議中に出た疑問もその場で調べられます。

資料作成にかかる時間を減らすことで、会議では数字の報告だけでなく、課題の確認や今後の対応について話し合う時間を増やせます。

予算管理と将来予測で未来に繋がる経営を支援

metricsでは、過去や現在の数字だけでなく、このまま進んだ場合に売上や利益がどうなるかも確認できます。予算の数字を入力すると損益の見込みがすぐに更新されるため、画面を見ながら来期の計画を作れることも特徴です。

細かい予算を作る時間がない場合は、過去の実績をもとに期末の売上や利益を見積もる「自動予測」も利用できます。作成した予算と自動予測はダッシュボード上で切り替えられるため、現在の実績と今後の見込みを比べながら、予算と実績を管理できる便利なツールです。

AIが経営データを読み解き意思決定をサポート

metricsには、経営データの分析やダッシュボードの作成、予算案の作成を支援するAIエージェント「AI CFO」が搭載されています。資料を読み込み、数字の大きな変化や確認が必要な点を整理するため、重要な内容を見つけやすくなります。

たとえば、「売上と費用を並べて確認したい」と入力することで、必要なグラフを使ったダッシュボードの作成が可能です。また、「来期は売上を20%増やしたい」といった目標を伝えることで、予算案の作成も進められます。

これまで担当者が時間をかけて行っていた数字の確認や課題の整理をAIが支援するため、経験が少ない担当者でも分析を進めやすくなります。

実際の操作画面は、以下のYouTube動画でも確認できます。

metrics AI CFO 機能紹介プレイリスト|YouTube

ストレスフリーな初期設定と自動API連携

metricsは、freeeマネーフォワードと連携できます。連携を許可すると、仕訳や帳票のデータが自動で取り込まれ、勘定科目とキャッシュフロー項目の振り分けも行われ、担当者がひとつずつ入力したり、データを整理したりする必要はありません。

会計ソフトで数字を更新すると、その内容がmetricsにも自動で反映されます。毎回データを入力し直す必要がないため、いつでも最新の数字を確認できます。

データの入力や整理にかかる時間を減らすことで、数字の分析や今後の対応を考える仕事に時間を使いやすくなるでしょう。

経営分析にかかる手間を減らしたい企業の方や、顧客への提案に力を入れたい税理士の方は、無料デモで実際の画面や操作方法をご確認ください。

クラウド経営分析「metrics」の無料デモはこちら

リンクをクリックすると日程調整のページに移りますので、ご都合の合う日時を選んでご予約ください。

まとめ

本記事では、経営分析の意味や目的、主な分析方法や指標、進め方、作業を効率化する方法について紹介しました。

経営分析では、数字を確認するだけではなく、自社の強みや弱み、改善すべき点を明らかにし、具体的な対応につなげることが大切です。

分析するときは、比率や実際の金額、過去からの変化、他社や業界平均との比較などを使って数字を確認します。さらに、収益性や安全性、生産性、成長性、効率性などの指標に加え、SWOT分析や3C分析なども使うことで、数字が変化した理由を考えやすくなるでしょう。

経営分析は、目的と確認する指標を決め、必要なデータを集めて整理し、数字とその背景を分析したうえで、改善に向けた対応を決める流れで進めます。

ただし、毎月のデータ入力や集計、資料作成をすべて手作業で行うと、大きな負担になります。エクセルやAI、経営分析ツールを使って作業を減らし、数字を集める時間よりも、結果を確認して今後の対応を考える時間を増やしましょう。

経営分析にかかる作業を減らし、数字の確認や改善策の検討に時間を使いたい方は、会計データの分析や予算管理をまとめて行えるmetricsをご活用ください。

metricsサービスサイト

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